テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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処置を終え、医局に戻ってきたところで、速水は動きを止めた。
「ええ、本当に助かっています。こちらはこちらでやるべきことを一つずつ進めていますから……」
ぺらぺらと喋るその口調が、何処かで聞いたものだと思ったら、最近、やたらとテレビで取り上げられている男のものだった。
「ああ、将軍ちゃん。極北市民病院の新院長がご挨拶に来てるよ」
桃倉センター長は、機嫌よく彼に笑いかけていたが、看護師に呼ばれて、まあ、積もる話でもしてくれ、などと言って去って行った。
「……来るなら来るで、連絡くらいしてくれませんか?」
やっとのことでそれだけ言うと、「だって、僕、速水の連絡先知らないし」と、けたけたと笑う声が返ってきた。速水は、テレビと同じ調子で喋る男を盗み見る。
あれはマスコミ用のキャラクターなのかと思っていたが、違っていたようだ。速水の知る若い世良は、いつも何処か不機嫌そうな雰囲気をまとっていた。速水に対していつも不満そうな目で一瞬こちらを見てから、それを飲み込む。
元々、偏見や噂の多い問題児だったから、そういう態度には慣れっこだったが、特に理由も分からず、あからさまに嫌がられるというのは気になるものだ。
増してや、ある日を境に突然消えてしまったりしたら――医局長失踪の噂はひっそりと佐伯外科内を駆け巡った。
「良く言いますよ。しょっちゅう、彦根と悪巧みしてる癖に」
「あれは、付き纏われてるだけだって」
けろりと返してくる、その姿を改めて見る。
少し痩せただろうか。確かに、年は取ったが、実年齢より遥かに若い。服装は至ってラフで、黙っていれば、そんな厄介なことをしている人間には到底見えない。
「世良先生って、俺のこと、嫌いだったんじゃなかったんですか?」
単刀直入に聞くと、世良は目を丸くした。
「まあ、確かに、あんまり好きじゃなかったよ、問題児のじゃじゃ馬くん」
医局長だけに、速水の問題行動に苦労させられることも多かったのだと、世良は可笑しそうに笑って言う。
「……俺は好きでしたよ」
ぽつりと言うと、世良は今度こそ茫然となった。
「……でもさぁ、もう、あの僕は居ないから」
暫くして、ふとそんな言葉が返ってきた。
「人は、そんなに簡単には変われませんよ」
変われる訳がない。変わりたくても、変われないのだから――
「試してみる?」
挑発的にこちらを見た顎を掴み、噛み付くように口付けてみた。
「まあ、こんな感じです」
語りたいだけ語った佐竹は、いつもの地味で控えめな雰囲気に戻っていた。
そうこうしているうちに、極北号は、我らが極北市民病院へと戻って来た。二人はいつもの駐車場に車を入れ、病院内へと戻る。
「院長はやっぱり、基本は誘い受よね」
「攻側リードでも、その先で、笑顔浮かべて待ち構えてそうですよね」
「院長が嫌がって抵抗することなんて、あるのかしら?」
そんなことを話しながら、事務室に足を踏み入れると、事務の蟹江が「お疲れ様です」と顔を上げた。
「楽しそうな話なさってますね」
「角田師長が、そんな陵辱的な話を読みたがるなんて珍しいですね。普段は、ほのぼの~っとしたのが好きなのに」
「陵辱とかまではいかないけど、たまには、動揺した顔も見てみたいかしらって」
おほほと笑う角田に、すかさず蟹江が割り込む。
「それなら、良い人が居ますよ。東城大医学部付属病院の高階病院長!世良院長の指導医だった人です」
「東城大って、何とかセンターが火事になったとかでニュースになってた、あの病院?」
「そんな凄い人と繋がりがあるんですか?」
「いいえ、ないんです」
「ないって?」
「全く、ないんです。指導医で、当時は、相当に仲が良かったみたいなんですけど、世良院長が辞表を出して以降はそれっきり」
3人はそれぞれに目を見合わせる。何かがあったことがきっかけで、辞表を出した――それに間違いはないようだ。
「それは、想像力を掻き立てられる話ですね」
「何かあって、院長が出て行ったのかしら?それがもっともな理由だから、追いかけることも出来なかったりしたら、切ないわねぇ」
「でしょう。会っただけで、世良院長が動揺しそうな人の第一候補ですよ」
それだけじゃなくて、と蟹江は手元のパソコンを叩き始めた。
「世良院長って、経歴にも殆んど、「東城大出身」って入れていないんです。どうしても、書かなくてはいけないときに書くくらいで。母校から来るメールの類も読まずに全部ゴミ箱行き」
「まあ、辞めた大学病院になんて、行き辛いものでしょうけどね。今中先生も極北大には殆んど行ってないでしょう?」
「でも、郵便物はちゃんと届きますよ。まるで、過去を消したいみたい……」
呟いた蟹江は、自分の考えた物語を披露した。
若いときって、世良ちゃんは、天城先生が速水を気に入っているのと、医局長で、色々注意したりしなきゃいけない立場だったと思うので、きっとあんまり良い感情はなかったんじゃないかなぁ、と。
極北では、役割分担みたいなことを言ってるから、それなりに信頼してるんじゃないかなぁ、とは思う。大人になった、のかな(笑)
世良ちゃんは一見、天城先生の影響受けて物凄く変わったみたいだけど、実際は真似してるだけで、根底は全然変わってないってのが私の考えで、速水は本能的にそれを理解してそう、とか。
佐竹さんは、大人しいけど、妄想語り始めると熱いタイプ。
「ええ、本当に助かっています。こちらはこちらでやるべきことを一つずつ進めていますから……」
ぺらぺらと喋るその口調が、何処かで聞いたものだと思ったら、最近、やたらとテレビで取り上げられている男のものだった。
「ああ、将軍ちゃん。極北市民病院の新院長がご挨拶に来てるよ」
桃倉センター長は、機嫌よく彼に笑いかけていたが、看護師に呼ばれて、まあ、積もる話でもしてくれ、などと言って去って行った。
「……来るなら来るで、連絡くらいしてくれませんか?」
やっとのことでそれだけ言うと、「だって、僕、速水の連絡先知らないし」と、けたけたと笑う声が返ってきた。速水は、テレビと同じ調子で喋る男を盗み見る。
あれはマスコミ用のキャラクターなのかと思っていたが、違っていたようだ。速水の知る若い世良は、いつも何処か不機嫌そうな雰囲気をまとっていた。速水に対していつも不満そうな目で一瞬こちらを見てから、それを飲み込む。
元々、偏見や噂の多い問題児だったから、そういう態度には慣れっこだったが、特に理由も分からず、あからさまに嫌がられるというのは気になるものだ。
増してや、ある日を境に突然消えてしまったりしたら――医局長失踪の噂はひっそりと佐伯外科内を駆け巡った。
「良く言いますよ。しょっちゅう、彦根と悪巧みしてる癖に」
「あれは、付き纏われてるだけだって」
けろりと返してくる、その姿を改めて見る。
少し痩せただろうか。確かに、年は取ったが、実年齢より遥かに若い。服装は至ってラフで、黙っていれば、そんな厄介なことをしている人間には到底見えない。
「世良先生って、俺のこと、嫌いだったんじゃなかったんですか?」
単刀直入に聞くと、世良は目を丸くした。
「まあ、確かに、あんまり好きじゃなかったよ、問題児のじゃじゃ馬くん」
医局長だけに、速水の問題行動に苦労させられることも多かったのだと、世良は可笑しそうに笑って言う。
「……俺は好きでしたよ」
ぽつりと言うと、世良は今度こそ茫然となった。
「……でもさぁ、もう、あの僕は居ないから」
暫くして、ふとそんな言葉が返ってきた。
「人は、そんなに簡単には変われませんよ」
変われる訳がない。変わりたくても、変われないのだから――
「試してみる?」
挑発的にこちらを見た顎を掴み、噛み付くように口付けてみた。
「まあ、こんな感じです」
語りたいだけ語った佐竹は、いつもの地味で控えめな雰囲気に戻っていた。
そうこうしているうちに、極北号は、我らが極北市民病院へと戻って来た。二人はいつもの駐車場に車を入れ、病院内へと戻る。
「院長はやっぱり、基本は誘い受よね」
「攻側リードでも、その先で、笑顔浮かべて待ち構えてそうですよね」
「院長が嫌がって抵抗することなんて、あるのかしら?」
そんなことを話しながら、事務室に足を踏み入れると、事務の蟹江が「お疲れ様です」と顔を上げた。
「楽しそうな話なさってますね」
「角田師長が、そんな陵辱的な話を読みたがるなんて珍しいですね。普段は、ほのぼの~っとしたのが好きなのに」
「陵辱とかまではいかないけど、たまには、動揺した顔も見てみたいかしらって」
おほほと笑う角田に、すかさず蟹江が割り込む。
「それなら、良い人が居ますよ。東城大医学部付属病院の高階病院長!世良院長の指導医だった人です」
「東城大って、何とかセンターが火事になったとかでニュースになってた、あの病院?」
「そんな凄い人と繋がりがあるんですか?」
「いいえ、ないんです」
「ないって?」
「全く、ないんです。指導医で、当時は、相当に仲が良かったみたいなんですけど、世良院長が辞表を出して以降はそれっきり」
3人はそれぞれに目を見合わせる。何かがあったことがきっかけで、辞表を出した――それに間違いはないようだ。
「それは、想像力を掻き立てられる話ですね」
「何かあって、院長が出て行ったのかしら?それがもっともな理由だから、追いかけることも出来なかったりしたら、切ないわねぇ」
「でしょう。会っただけで、世良院長が動揺しそうな人の第一候補ですよ」
それだけじゃなくて、と蟹江は手元のパソコンを叩き始めた。
「世良院長って、経歴にも殆んど、「東城大出身」って入れていないんです。どうしても、書かなくてはいけないときに書くくらいで。母校から来るメールの類も読まずに全部ゴミ箱行き」
「まあ、辞めた大学病院になんて、行き辛いものでしょうけどね。今中先生も極北大には殆んど行ってないでしょう?」
「でも、郵便物はちゃんと届きますよ。まるで、過去を消したいみたい……」
呟いた蟹江は、自分の考えた物語を披露した。
若いときって、世良ちゃんは、天城先生が速水を気に入っているのと、医局長で、色々注意したりしなきゃいけない立場だったと思うので、きっとあんまり良い感情はなかったんじゃないかなぁ、と。
極北では、役割分担みたいなことを言ってるから、それなりに信頼してるんじゃないかなぁ、とは思う。大人になった、のかな(笑)
世良ちゃんは一見、天城先生の影響受けて物凄く変わったみたいだけど、実際は真似してるだけで、根底は全然変わってないってのが私の考えで、速水は本能的にそれを理解してそう、とか。
佐竹さんは、大人しいけど、妄想語り始めると熱いタイプ。
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