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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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更に続き。今回は、蟹江さんの妄想で、高世良。

拍手[5回]



 講演会の日は、生憎の雨だった。連日、しんしんと雪の降り積もる地から折角逃れてきたのに、太陽を拝めないのは残念だと、世良は思った。
 会場に着くと、主催の医療機器メーカーの、顔なじみの営業が、控え室に案内してくれる。
 簡単な段取りの打ち合わせを終え、渡されたパンフレットに目を落とした世良は、そこに書かれた名前に仰天した。
「ちょっと、坂上さん。これ!」
 呼ばれた営業は、得意そうな笑みを浮かべた。
「極北市民病院の救世主・世良院長と、日本で初めてのAiセンターを設立する東城大の高階病院長、今話題の二人を呼ぶことが出来て、満員御礼。世良先生様々です」
「……」
 世良は、パンフレットを手にしたまま、一言も発することが出来なかった。
 ――高階先生が来る。
 18年前、世良は、彼を憎んで背を向けた。彼さえ居なければ、全ての望みは叶ったに違いないと、恨みをぶつける相手として定め、その気持ちを薄っぺらい辞表に載せて押し付けた。全部、彼が悪い、と。こんなところにもう用はない、と。
「あれ?そういえば、世良先生って、東城大出身じゃなかったでしたっけ?高階先生のことはご存知ないですか?」
 そんな、営業の言葉など、世良の耳に届いては居なかった。世良は、ちょっと外の空気を吸ってくる、と言うなり、控え室を飛び出した。躊躇いなく非常口を開け、外に出る。冷たい雨が世良を打った。
「……悪いのは……、僕だ……」
 ――何も出来なかったのは。助けられなかったのは。守れなかったのは。止められなかったのは。
 どんなに恨んでも、憎んでも、許せない。無力で、愚かで、独り善がりな青二才。消してしまいたかったのは、本当は自分だ。それなのに、その心の中に、彼が生きた証しを宿しているのは、何という皮肉なのだろう。一方で、あの人の為しえなかった桜の木を植える、気が付けば、そんな運命を背負わされていたのは、きっと、彼も同じで――
「風邪をひきますよ」
 背後から差し伸べられた傘の正体は、世良にはとっくに分かっていた。
「……構わないで下さい」
「医者として、病んでいるものを見過ごす訳にはいきません」
 今も、自分達はあの桜の木に魅せられ続けている。世良は、小さく自嘲する。
「根深い重病なもので」
「奇遇ですね」
 同病相哀れむのも良いのではないですか、という言葉に、世良はそっと目頭を押さえた。


意外と、世良ちゃんの中では、このくらいに消化されてんじゃないかなぁ、と思ってたりする。いや、未だに盲目的に恨んでても萌えるけど(笑)私は、高階さんが何をしてもしなくても、スリジエは出来なかったと思ってます。味方だったら別だけど。
そして、厳しいようだけど、世良ちゃんだって、そんな高階さんを責められるほど、助けた訳でも、守った訳でもない。っていうくらい、天城先生と、彼のやろうとしていたことが凄いことだったんじゃないかなぁ、結局。
助けられなかった者と阻もうとした者――結局、二人とも今も、植えられなかった桜の幻影に取り憑かれたまま、今を生きてる、そんなイメージ。
蟹江さんは、事務→パソコン使う→ネットで情報検索、からの、情報を自在に操るサイバー担当の怖い人的イメージを勝手に付けた(笑)南雲杏子的な。

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