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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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これは、桜見ながらラブラブ天ジュノ書くしか!と思ったのですが、窓の外を見たら、ごくごく自然に吹雪いていて、「春が待ち遠しいですね」って今中先生の台詞が浮かんだため、極ラプ話。今世良というか、世良→今中?

拍手[7回]


「関東では桜が満開みたいですね」
 事務室のテレビでワイドショーを見ていた今中が言うと、世良が窓の外に目を向けた。
「極北はまだ雪が降ってるのにねぇ」
「春が待ち遠しいですね。そうだ、桜が咲いたら、今年は皆でお花見しませんか?」
 今中の言葉に、角田師長が超音波ボイスで応じる。
「あら、良いですわねぇ。この近くの河川敷は桜並木になっているんですよ。如何です、花房さん?」
 お茶を飲んでいた花房は答えながら、微かに院長を伺うような表情を見せた。
「ええ、私は構いませんが……」
「どうですか、世良先生?」
「……」
 明らかな沈黙に今中が振り返ると、世良は取り繕うように笑ってみせた。
「世良先生?」
「悪いけど、僕は遠慮するよ。桜には少々、嫌な思い出があってね」
「そうですか」
 引き下がった今中の目の前で、花房が黙って立ち上がった。
「世良先生」
「はい?」
 じっと見つめられた世良の声が微かに上ずる。
「行きましょう、お花見に」
「花房さん?」
 そのただならぬ空気に、今中も立ち上がる。
「だから、僕は……」
「桜はあの人を思い出すから、ですか?貴方は、私がトライアルに参加したとき、十八年もの長い間、私たちは何をしていたのか、とおっしゃいましたが、その言葉、そっくりお返しします」
「美和ちゃん……」
 世良の花房への呼び方がかつてのものに変わり、気圧されていることが分かった。
「あ、あの……!」
「何ですか、今中先生?」
「お花見は良いですから、普通に飲み会しましょう!」
 今中の言葉に、花房は呆れたように言った。
「今中先生、私の話を聞いていました?」
「聞いてましたが……。私は、その……、親睦を深めたかっただけで、世良先生にとって嫌なことなら無理に、とは……」
「くくく」
 吹き出した世良に、花房は憮然とした表情を浮かべた。
「良いよねぇ。ホント、今中先生は。あ、そうそう。3時から記者会見があったんだ。それじゃ」
 世良が白衣の裾を翻し、するりと院長室を出て行った。
「今中先生、余り世良先生を甘やかさないで下さいます」
 世良を逃がしてしまった矛先は、今度は、今中へと向けられる。
「え、えーと、でも、やっぱり……」
「私は今中先生のためにも言ってるんですよ!」
 花房の言葉に、今中は目を丸くした。
「え?それは……」
 尋ねようとした今中を見るなり、花房は一言断じた。
「もう、良いです!」
 そのまま、つかつかと院長室を出て行く。
「あ、えーと……。ど、どうしましょう?」
 今中は困り果て、角田師長を振り返った。
「飲み会でよろしいんじゃありませんの」
 差し出された空の茶碗に、今中は急須を傾ける。
「そうですね」
 確かに、普通の飲み会なら、世良も来てくれるような気がした。
 ――そうやって、少しずつ……。
 世良が此処に根を張ってくれれば良い、と思いながら、今中はやがて来る春を思った。


 院長室を出た世良は、待合室の椅子に座り、だらしなく足を投げ出す。
 かつて、あの人が良くしていたように――
 ずるりと腰が滑り、頭が固い背もたれにぶつかる。
 不意に、笑いが込み上げてきた。
「……だって、桜の木の下で、今中先生と一緒に居るなんて、何か、咎められてる気持ちになるものねぇ……」
 桜を見ながら、流した涙もいつか枯れた。
 自分は確かに、病院再建請負人として再生し、歩き続け、この極北の地で彼らと出会った。そして、もう一度、やり直すことを決めた。
 今では、冷たく凍りついた心を解かし、逃げずに生きていきたいと思っている。
 ――ねえ、天城先生。良いんでしょうか?僕が今更、こんな思いを抱いても。
 生まれた思いは、かつてあのエトワールに対して持ったものと同じもの。無我夢中で追いかけていたあのときと良く似た思いを、本当に穏やかに、何時の間にか。大学病院を追い出されてしまうような要領の悪い人間に感じるなんて。
 世良は身体を起こし、微かに微笑んだ。
 桜――切なくて、美しいあの花はこの北の地にも咲くのだろうか。
 あの故郷より1月近く遅れても、きちんと咲いて、何かを残して散っていけるのだろうか――
 ふと横へと目を転じれば、窓の外には、未だ冷たい雪。けれど、昼間は少しずつ伸び、日差しは緩やかに明るくなっている。
 ――春が待ち遠しいですね。
 ふと、そんな言葉を思い出し、微かに熱を持った頬に世良は冷えた手の平を押し付けた。


極ラプを天ジュノ視点で読むのが好きです。極ラプの世良ちゃんは、変人属性の癖に、一途で恨み抱えててキュートとか、好み過ぎて、どうしたら良いか分からない!!
まあ、成り行きで書いたんですが、一度、「十八年も何してた」発言にはツッコまねば、と思っていたので、良かったかな、と(笑)お前もな、と全力でツッコみたい。
今中先生と美和ちゃんはアメムチで、基本、市民病院は世良ちゃんラバーばっかりで、スタッフ皆に愛される院長であって欲しい。
ところで、割と本気で、今世良推奨してるんですが、これこそ、オンリーワンな気がします。まあ、天ジュノで良いんだけど。あと、桜宮サーガ完結までに一度、高階病院長と再会して欲しかったりする。

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