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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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スリジエの表紙の黒に桜がすっごく綺麗だった。何か、色っぽいカラーリングですよねvvv後ろの方の桜が散ってるっぽいのも切なくて美しい…。
で、SSは全く関係なくて、今世良です。デキてる設定で、ツンデレ世良です。
一人でずっと妄想ばっかりしてたら、世良ちゃんって、今中先生の前でだけ我が儘言ったり、子供っぽいことしたりするんだよね、って思い込んで、極ラプ読み返して、あれ?これ?自分設定?と気づくという…。修正しようとしたけど、もう無理でした(汗)うちはこれでいきます(笑)
という訳で、酔っ払いでツンデレな世良ちゃんと振り回される今中先生でGO!

拍手[4回]


「今中先生、何か、面白いものないのー?」
 いつもながらの世良院長の無茶振りである。
 気持ち、目が据わって、頬が赤くなっている。先程、缶ビールの3本目を開けたところ。
 余り酒に強くない人間なら、そろそろほろ酔い状態になる頃合いだ。今中の部屋に上がり込んでいる世良もそうらしく、良い感じに出来上がってきていた。
 それは構わないのだが、どうも毒舌の方も磨きがかかってきているような……。摘みが乾き物しかないことに文句を言い、今中の話がつまらないと勝手なことをのたまい、挙句、自分を楽しませろと仰る。いかに辛抱強い今中といえど、いい加減、ちょっと待て、とツッコみたい。
 これまで何処にも留まろうとしなかったこの人が、生きる場所としてこの地を選んでくれたのだから、自分のことも少しは認めてくれているのだとは思う。まして、肌を重ねる関係になっているのだ。それ以上の感情もあるのだと信じてはいるが……。
「ねえ、今中先生ってば」
「ありませんよ、そんなもの」
 冷たく答えると、世良は本当につまらなそうな顔になった。
「ないならないで何かあるでしょー、興味深い話の一つや二つ。何で、今中先生ってこう面白みのない人なのかなぁ。天城先生と大違いだよ」
 アマギセンセイ――初めて聞く名前だったが、何だか、背がひやりとした。
「まあ、比べるのも失礼だけどねぇ、今中先生みたいな凡才とは」
「はあ……」
「世界で一人しか出来ない手術をする天才外科医で、見た目も物凄く格好良くて。しかも、大金持ちで、モンテカルロのカジノの顔役だなんて、何処の漫画のキャラクターかって話だよねぇ」
 何だ、そのツッコミ待ちみたいな人物像は?!と思ったが、世良は至って真面目で、特に冗談を言っている風でもない。
 それどころか、その目はすっかり蕩けて、想像の中のその人にすっかり骨抜きにされているようだ。貶された上に、惚気られ、愉快なはずもないが、かといって、この酔っ払いに水を差すのもどうかという立場に追いやられた今中は溜め息混じりに、「それは凄いですねぇ」とお愛想にも程がある台詞を呟く。
「凄いよねぇ……」
 喜ぶかと思ったら、今度はテンションダウン。何が気に触ったのか分からず、今中は突然暗雲の立ち込めた上司の顔色を伺う。
「僕は……、何してるんだろう……?あの人の思いを継ぎたいのに、何処まで行っても、届かない……」
 真に自問自答して欲しいのは、部下相手に酔って、くだを巻いているこの状態じゃないのかと内心でぼやきつつも、口には出せないのが今中の長所であり、短所である。小さく息を吐き、今にも泣き出しそうな世良へと語りかけた。
「世良先生はいつも精一杯頑張っているじゃないですか。そんな凄い人には届かなくても、自分に出来ることをして、自分なりの結果を出せば良いと思います」
 今中が言うと、世良は思いがけないことを言われたように、彼を正面から見た。
 少し涙ぐんだのだろうか、瞳が潤んで、安い蛍光灯の明かりの下できらきら輝いていてどきりとする。
「今中先生も天城先生と同じことを言うんだねぇ。って言っても、あの人の足元にも及ばないけど。でも、まあ、今中先生のそういうとこ嫌いじゃないよ」
 褒められたのか、貶されたのか、さっぱり分からないその言葉の意味を考えていると、突然、世良の頭が今中の膝の上にことりと落ちた。焦って見れば、気持ち良さそうに寝息を立てる世良が居る。世良はそんなに酒に強くない。酔うと直ぐに寝てしまう。そして、寝てしまえば、殆んど朝まで起きない。つまり、今日の酒宴は終了ということだ。
 今中は世良を抱き上げ、自分の万年床へと運ぶ。その身体はぎょっとするほど軽く、それを感じる度、今中は触れてはいけないことを知ってしまったような気分になる。こんなになるほど、精も根も振り絞り、その身一つで、医療の最終防衛ラインに立っている人なのだといつも思い知らされる。
 布団をかけてやると、くさいとか何とか不満を述べたので、干しっ放しのバスタオルを放ったら、それを握り締めて、再び眠りに落ちた。
「……まぎ……せんせ……」
 時々、彼が寝言で呟く名が、今日ははっきりと聞き取れた。
 こんなに慕っているのに、会えないのならば、それなりの事情があるのだろう。
 それでも、今中は、会ったこともない天城先生とやらに願わずにはいられない。
 ――何してるんですか、天城先生?この人は、貴方に「良くやった」って一言いってもらえれば、どんなことがあっても生きていけるんですよ。頼むから、認めてあげてくださいよ……。
 そんな今中の思いは、虚しく宵闇に吸い込まれる。
『あの人の足元にも及ばないけど。でも、まあ、今中先生のそういうとこ嫌いじゃないよ』
 一瞬、喧嘩を売られているのかと思うようなその言い方が、滅多に聞くことのない、世良の最大限の賛辞だと今中は知っている。
 極北救命センターから戻って来たときのことを思い出す。あのときの自分の判断は決して間違っていなかったと心の奥が確かに共鳴していた。
 ――私は、傍に居ますから……。
 この、世界中を敵に回しているような人を支えるなんて、おこがましいかも知れないけど、せめて、傍に――
 そっと、その柔らかい髪を撫でたら、世良がひどく安心したような顔で、今中の手に頬を摺り寄せ、微笑んだ。


やってること、言ってることだけ見ると、世良ちゃんがホントに最低…。でも、今中先生に甘えてるだけなんだ、と言い張る。美和ちゃん相手にはここまでしないだろうから、やっぱり、今中先生ポジは必要だと思うんだ。
ツンデレで暴言な世良ちゃんと、内心でツッコみながらもいちいち振り回される今中先生だと、ドラマ・しらぐちみたいになるかな、と思ったけど、むしろ、コムリバに近い気がする。
いつも振り回されてて、時には、我慢ならなくなることもあるけど、その人が心の底からの願いのためにその身を捧げていることを知っているから、誰より近くで支えようって覚悟を決めてる感じ。
天城先生を思っているのも、世良ちゃんの一部だと思ってるから、容認してる。でも、少しだけ嫉妬もしてる。
まあ、私が世良ちゃんを甘やかしたいだけの話なのですけども。
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