テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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「今中先生!今中先生……!」
――あれ?また、世良先生だ。今日は良く、世良先生に起こされる日だなぁ。何かもう、疲れたんだけど……。
「今中先生!!」
――痛いですってば。そんなに顔を叩かないで下さいよ。さっきの世良先生は優しく揺り起こしてくれたのに……。
「今中先生、しっかりして……!」
――何で、そんな泣きそうな顔してるんですか?天城先生は、世良先生のことをとても大事に思っていましたよ。……あれ?眼鏡?良く見ると、顔に皺も結構……。
「世良、先生……」
「今中先生……。良かった、生きてた……」
世良がへたりと地面に座り込む。
「勝手に殺さないで下さいよ」
今中がむくりと上体を起こすと、世良は対抗するように立ち上がって見下ろした。
「片道5分のコンビニに行ったはずが、1時間経っても戻って来ない。様子を見に来たら、気温5度の野外でお休み中。断言しても良い、朝まで放置したら死んでたよ」
「う……」
どうやら、本当に世良は命の恩人らしい。
「ああ、今中先生の所為で最悪の気分だよ。結構、気持ち良く酔ってたのに……」
世良はぶつぶつ言いながら、先に立って歩き始めた。
「あの、お酒がまだ……」
「要らないよ、もう。すっかり醒めちゃった」
むすっとしているが、この人が、さっきは泣きそうな顔で自分の名前を呼んでいたのかと思ったら、何だか嬉しくなってきた。
「世良先生、心配かけてすみませんでした」
頭を下げると、世良はばつの悪そうな顔でぷいっとそっぽを向いた。
「心配なんかしてないよ。今中先生に何かあったら、今度は、極北市民病院の院長が、酔った部下をパワハラで外に追い出して凍死させた、とか言われかねないなぁ、と思っただけ」
「当たってるじゃないですか」
「前提が違うんだよ。可愛い恋人が、ちょっとお酒をねだっただけじゃない」
可愛い恋人ってのは、あの若い世良先生みたいなのを言うんじゃないだろうか、と今中は思う。時々、憎まれ口も叩くけど、笑顔も素直な言い方も物凄く可愛かった。
――一体、何があるとこんなになってしまうんだろう……?
今中は時の流れというものの残酷さに思いを馳せた。そんなことを思われてるとは露知らず、世良がコートの裾をはためかせながら振り返って笑う。
「今中先生、寒いから温かい飲み物買ってよ」
「……言ってる先から……」
そう言いながらも、言うなりになる自分も相当問題があるに違いない。
自動販売機の前で暫し思案した今中は、缶コーヒーを押した。
『これを飲んで暖まったら、早く帰ってゆっくり休んでくださいね』
夢か幻か、マッチ売りの少女じゃないけど、キーワードになるそのアイテムが、有りもしないものを具現化してくれたら、なんて、小さな祈りを込めるような気持ちで。
「酔い醒めに缶コーヒー?」
覗き込んだ世良は、直ぐ様ケチをつけてきた。
「でも、温かいですよ」
世良に差し出すと、受け取るなり、頬に押し当てられる。
「熱っ!」
「ちょっとは温まった?」
「あの……」
「今中先生にあげる」
「私のお金で買ったんですけど……」
そんな突っ込みは無視して、世良は背を向けて歩き出す。今中も仕方なく、缶コーヒーをポケットに入れて、それに続く。
「その、さ……。ちょっとは、悪かったとは思ってるよ」
ぽつり、と世良が呟いた。
唐突に耳に入った謝罪の言葉に、今中はぽかんとする。
「今中先生の気持ちも考えずに、天城先生の話ばっかりして……。今中先生が聞いてくれるから、ついつい話しちゃって。まさか、こんな寒い外で時間潰すほど嫌だなんて……」
ぼそぼそ言う世良の口調からは、いつもの傲慢な調子が完全に成りを潜めていて、今中を唖然とさせた。
しかし、その内容は、多少の勘違いはあれど、確かに自分が感じていたもので、それを世良自身も分かっていたのだということだけで、今中には十分だった。
「嫌じゃないです」
「でも、今中先生だって、嫌なら嫌って……、え?」
世良が驚いて振り返る。
「もっと教えてください、世良先生が凄く影響を受けた人のことを。それを知って、もっともっと世良先生のことを深く知りたいです」
世良は茫然としたまま今中を見ていた。
だが、直ぐに気を取り直したようで、小さく咳払いをした。
「10年早い!」
ぴしりと指を突きつけてくる表情はいつもの世良で。
「は?」
「僕の深いところまで知ろうなんて、10年早いよ、今中先生」
今日一日で数年分くらいは分かった気がしますけどね、などと思いつつ、今中は真っ直ぐに世良を見る。
「それは、10年は隣りに居ても良いということでしょうか?」
怯まない今中に、世良は小さく肩を竦めた。
「本当にバカだな、今中先生は」
極北救急救命センターから戻って来たときと同じ言葉で答える。
「選りにも寄って、満開の桜の木の下でそんなことを言うなんて、恨まれても知らないよ」
そう言って、咲き誇る桜を見上げる。
『此処の桜はお気に入りなんだ』
幸せそうに桜を見るあの男を憧憬の思いと共に見ていただろう表情で。
「……託されましたから」
今中は口の中でぽつりと呟いた。
「え?」
「いえ……。そういえば、桜を見るのは嫌だって言ってましたよね?」
泣きそうな顔で、外には行きたくないと言い張っていた世良が穏やかな顔になっているのを見て、今中は尋ねた。
「うん……。もっと、痛いと思ってた、けど……」
世良は今中に向き直った。
「帰ろうか、今中先生」
世良はふわりと凪いだ表情で笑った。
『これを飲んで暖まったら、早く帰ってゆっくり休んでくださいね』
夢の中の笑顔と、目の前の世良のものが重なる。
――マッチ売りの少女じゃないけど、キーワードになるそのアイテムが、有りもしないものを具現化してくれたら。
そんな戯言を思い出しながら――
ポケットの指先に触れた熱を、今中は思いを込めて握り締めた。
別バージョンとして、世良ちゃんが原作で高階さんと和解したら、「高階先生は世良先生のことを昔からよくご存知なんですよね」なんて話を皮切りに、「そうそう、あの頃の世良君は本当に可愛くて…」と当時の写真とかを持ち出してくる高階さんに真っ青になる世良ちゃんとかいうネタを仕込んでます。だから、早くゴン太と仲直りしてくれ。
灰皿割ったエピソードとか、中二過ぎて世良ちゃん逃げ出すレベルですよね。ま、今も結構中二だけど(汗)
でも、今書いてて思いましたが、今中先生って世良ちゃんの元カレ(笑)たちと結構仲良くなれそうなタイプですよね。渡海先生すら、「つまらない男選んだんだな、危険な男には懲りたか?」とか散々嫌味言った後、「世良ちゃんをよろしくな」って言われそうな気がするもの!
今中先生を良い男に書き過ぎてたら、すみません…。まあ、世良ちゃんを救いたいファンのたわ言と思ってもらえれば…。
――あれ?また、世良先生だ。今日は良く、世良先生に起こされる日だなぁ。何かもう、疲れたんだけど……。
「今中先生!!」
――痛いですってば。そんなに顔を叩かないで下さいよ。さっきの世良先生は優しく揺り起こしてくれたのに……。
「今中先生、しっかりして……!」
――何で、そんな泣きそうな顔してるんですか?天城先生は、世良先生のことをとても大事に思っていましたよ。……あれ?眼鏡?良く見ると、顔に皺も結構……。
「世良、先生……」
「今中先生……。良かった、生きてた……」
世良がへたりと地面に座り込む。
「勝手に殺さないで下さいよ」
今中がむくりと上体を起こすと、世良は対抗するように立ち上がって見下ろした。
「片道5分のコンビニに行ったはずが、1時間経っても戻って来ない。様子を見に来たら、気温5度の野外でお休み中。断言しても良い、朝まで放置したら死んでたよ」
「う……」
どうやら、本当に世良は命の恩人らしい。
「ああ、今中先生の所為で最悪の気分だよ。結構、気持ち良く酔ってたのに……」
世良はぶつぶつ言いながら、先に立って歩き始めた。
「あの、お酒がまだ……」
「要らないよ、もう。すっかり醒めちゃった」
むすっとしているが、この人が、さっきは泣きそうな顔で自分の名前を呼んでいたのかと思ったら、何だか嬉しくなってきた。
「世良先生、心配かけてすみませんでした」
頭を下げると、世良はばつの悪そうな顔でぷいっとそっぽを向いた。
「心配なんかしてないよ。今中先生に何かあったら、今度は、極北市民病院の院長が、酔った部下をパワハラで外に追い出して凍死させた、とか言われかねないなぁ、と思っただけ」
「当たってるじゃないですか」
「前提が違うんだよ。可愛い恋人が、ちょっとお酒をねだっただけじゃない」
可愛い恋人ってのは、あの若い世良先生みたいなのを言うんじゃないだろうか、と今中は思う。時々、憎まれ口も叩くけど、笑顔も素直な言い方も物凄く可愛かった。
――一体、何があるとこんなになってしまうんだろう……?
今中は時の流れというものの残酷さに思いを馳せた。そんなことを思われてるとは露知らず、世良がコートの裾をはためかせながら振り返って笑う。
「今中先生、寒いから温かい飲み物買ってよ」
「……言ってる先から……」
そう言いながらも、言うなりになる自分も相当問題があるに違いない。
自動販売機の前で暫し思案した今中は、缶コーヒーを押した。
『これを飲んで暖まったら、早く帰ってゆっくり休んでくださいね』
夢か幻か、マッチ売りの少女じゃないけど、キーワードになるそのアイテムが、有りもしないものを具現化してくれたら、なんて、小さな祈りを込めるような気持ちで。
「酔い醒めに缶コーヒー?」
覗き込んだ世良は、直ぐ様ケチをつけてきた。
「でも、温かいですよ」
世良に差し出すと、受け取るなり、頬に押し当てられる。
「熱っ!」
「ちょっとは温まった?」
「あの……」
「今中先生にあげる」
「私のお金で買ったんですけど……」
そんな突っ込みは無視して、世良は背を向けて歩き出す。今中も仕方なく、缶コーヒーをポケットに入れて、それに続く。
「その、さ……。ちょっとは、悪かったとは思ってるよ」
ぽつり、と世良が呟いた。
唐突に耳に入った謝罪の言葉に、今中はぽかんとする。
「今中先生の気持ちも考えずに、天城先生の話ばっかりして……。今中先生が聞いてくれるから、ついつい話しちゃって。まさか、こんな寒い外で時間潰すほど嫌だなんて……」
ぼそぼそ言う世良の口調からは、いつもの傲慢な調子が完全に成りを潜めていて、今中を唖然とさせた。
しかし、その内容は、多少の勘違いはあれど、確かに自分が感じていたもので、それを世良自身も分かっていたのだということだけで、今中には十分だった。
「嫌じゃないです」
「でも、今中先生だって、嫌なら嫌って……、え?」
世良が驚いて振り返る。
「もっと教えてください、世良先生が凄く影響を受けた人のことを。それを知って、もっともっと世良先生のことを深く知りたいです」
世良は茫然としたまま今中を見ていた。
だが、直ぐに気を取り直したようで、小さく咳払いをした。
「10年早い!」
ぴしりと指を突きつけてくる表情はいつもの世良で。
「は?」
「僕の深いところまで知ろうなんて、10年早いよ、今中先生」
今日一日で数年分くらいは分かった気がしますけどね、などと思いつつ、今中は真っ直ぐに世良を見る。
「それは、10年は隣りに居ても良いということでしょうか?」
怯まない今中に、世良は小さく肩を竦めた。
「本当にバカだな、今中先生は」
極北救急救命センターから戻って来たときと同じ言葉で答える。
「選りにも寄って、満開の桜の木の下でそんなことを言うなんて、恨まれても知らないよ」
そう言って、咲き誇る桜を見上げる。
『此処の桜はお気に入りなんだ』
幸せそうに桜を見るあの男を憧憬の思いと共に見ていただろう表情で。
「……託されましたから」
今中は口の中でぽつりと呟いた。
「え?」
「いえ……。そういえば、桜を見るのは嫌だって言ってましたよね?」
泣きそうな顔で、外には行きたくないと言い張っていた世良が穏やかな顔になっているのを見て、今中は尋ねた。
「うん……。もっと、痛いと思ってた、けど……」
世良は今中に向き直った。
「帰ろうか、今中先生」
世良はふわりと凪いだ表情で笑った。
『これを飲んで暖まったら、早く帰ってゆっくり休んでくださいね』
夢の中の笑顔と、目の前の世良のものが重なる。
――マッチ売りの少女じゃないけど、キーワードになるそのアイテムが、有りもしないものを具現化してくれたら。
そんな戯言を思い出しながら――
ポケットの指先に触れた熱を、今中は思いを込めて握り締めた。
別バージョンとして、世良ちゃんが原作で高階さんと和解したら、「高階先生は世良先生のことを昔からよくご存知なんですよね」なんて話を皮切りに、「そうそう、あの頃の世良君は本当に可愛くて…」と当時の写真とかを持ち出してくる高階さんに真っ青になる世良ちゃんとかいうネタを仕込んでます。だから、早くゴン太と仲直りしてくれ。
灰皿割ったエピソードとか、中二過ぎて世良ちゃん逃げ出すレベルですよね。ま、今も結構中二だけど(汗)
でも、今書いてて思いましたが、今中先生って世良ちゃんの元カレ(笑)たちと結構仲良くなれそうなタイプですよね。渡海先生すら、「つまらない男選んだんだな、危険な男には懲りたか?」とか散々嫌味言った後、「世良ちゃんをよろしくな」って言われそうな気がするもの!
今中先生を良い男に書き過ぎてたら、すみません…。まあ、世良ちゃんを救いたいファンのたわ言と思ってもらえれば…。
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