テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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思いついたときは、結構面白いんじゃないかなって思ったけど、なかなか筆が進まないので、あんまり面白くないかも知れない…。しかも、前編部分仕掛けだけで、凄くまだるっこしい…。
まあ、一応、上げてみます。つまらなかったらすみません…。
ペアンネタバレ。スリジエ要素も所々に。
まあ、一応、上げてみます。つまらなかったらすみません…。
ペアンネタバレ。スリジエ要素も所々に。
ストレスを感じる――
自分の状態も、原因も百も承知している。但し、対処法はない。いや、正確にはあるのだが、多大な労力と時間を要するため、即効性がないのだ。
高階権太は大きな溜め息を吐いた。
他人に対する好き嫌いを基準に判断するのは決して良いことではない。
しかし、物には限度というものがある。
外科の本道たる東城大学医学部付属病院総合外科学教室、などと黒崎のようなことを言うつもりはないが、それでも今の佐伯外科の有り様に高階は満足している。
その形、価値観、信念――そういったものを粉々に粉砕してしまうような存在を容認する訳にはいかない。
これは、断じて、『好き嫌い』などという、単純な感情に端を発している訳ではないのだ。
高階はちらりと医局の一角、無人の机に目を遣った。
その机が使われている日は1週間の中で何時間もない。
因みに、若手医師達は日々病院の下働きに追われ、ゆっくり席に付くことなど殆んどないが、そういう意味ではない。
彼は、高階も薄々感じていた、人の心を動かす能力を最大限発揮して、この佐伯外科にとんでもない疫病神をもたらした。
そして、同時にその生贄となった。
少しでも将来への肥やしとするべく、手術の経験を積んでいかなくてはならないこの大切な時期に。あの疫病神の言いつけを守り、我が儘を聞き、走り回る。最近では、徐々に彼の話に共感し、絆され、病院内の噂では『天城先生とコンタクトを取れるのは世良先生だけ』などとまで言われているらしい――全くもって、許しがたい。
そう。
これは、断じて、『好き嫌い』などという、単純な感情に端を発している訳ではないのだ。
「クイーンが此処へ尋ねてくるなんて珍しい」
いつも全身全霊で天城への嫌悪感を押し出している高階の、赤煉瓦棟・旧教授室への訪問は天城を驚かせた。
しかし、自分に向けられる悪意を受け流す術に長けている天城は、表面上は至って穏やかに対応した。
「そちらへどうぞ」
ソファを勧め、カップにサーバーからコーヒーを注ぐ。高階の前に置くと、「天城先生がコーヒーを入れてくださるとは思いませんでした」という、嫌味と純粋な感嘆が7対3くらいの感想が返ってきた。
「先程、ジュノが作っていってくれたんですよ。これだけあれば、夜まで持つでしょう、などと言って。煮詰まったコーヒーは嫌だといつも言っているんですが」
「世良君は、明日のカンファレンスの準備でばたばたしていますからね。コーヒーを入れている暇などないのでしょう」
スマートな返事だが、隠し切れない棘が言葉の端々に滲む。本来の業務に忙しい世良に下らない雑務をやらせるな――メッセージを受け取った天城は小さく肩を竦めた。
「ジュノ以上に忙しいジュノの上司がこちらに何の御用ですか?」
気づけば、天城も好戦的になっている。そもそも、高階が世良の身柄を佐伯外科に戻したりしなければ、世良が此処で天城にコーヒーを入れることはそう難しいことではなかったはずだ。
「その世良君のことで」
「ジュノの?」
大して真剣に聞く気もなさそうにソファに身を凭せ掛けていた天城の目の焦点が合う。
「世良君の過去のことです。天城先生にも知っておいてもらった方が良いかと思いまして」
高階は至極真面目な顔で、内緒話をするように声を潜めた。
「以前、速水君が渡海先生という人物の名を出したことを覚えていらっしゃいますか?」
天城は、何かを探すように数秒間視界を天井に彷徨わせた。
「ああ、言っていましたね。あのとき、彼は誰かという私の質問に誰も答えてはくれなかった」
高階は大きく頷く。
「渡海征司郎――彼は、かつてこの佐伯外科に所属した天才的な技術の持ち主で、佐伯教授の後継者と目されていた人物でした。通り名は『オペ室の悪魔』」
「『悪魔』とは、これまた随分と大仰な呼び名をつけられたものだ。ゴッドハンドの下に傅く悪魔か」
天城は茶々を入れる。その話だけでは自分に何の関わりがあるのか判然としない。素直な感想を口にした。
「後継者候補でありながら佐伯外科の異端児でもあった彼は、不思議と世良君と共鳴するものがあったようです。世良君は入局後直ぐに彼に近づくようになり、随分と親しくしていたようです」
「それで、今は何処に?」
高階は、一瞬視線を虚空に彷徨わせた。
「分かりません。半年ほど前、突然姿を消しました。行方不明といっても差し支えないでしょうね」
「それと私に何の関係が?」
『親しくしていた』という言葉には少々、いや、大分引っかかりを感じたが、それが現在進行形でないのであれば、どうでも良い。天城は、高階らしくない持って回った言い方に結論を急かす。
「プライベートな話なので、あまり大っぴらにしたくはないのですが、世良君と渡海先生は所謂恋仲でした。身体の関係もあったようです。そんな人が突然姿を消した――それは、大変な衝撃だったことでしょう」
「恋仲……?身体の関係……?!あの、確認しますが、その渡海とかいう医師の性別は……」
「男性ですよ、勿論。私も知ったときは驚きましたが。天城先生は海外での暮らしが長いので、こういう話には慣れていらっしゃるかと思って言ったのですが」
勿論、日本よりはカミングアウトされている件数も多いし、他人の趣味に口を出すつもりもない。だが、それは、あくまで他人の場合だ。
世良雅志――彼は、天城を日本に連れ帰った張本人であり、天城の所属するスリジエセンターのただ一人の構成員でもある。もっとも、厳密には、現在の組織としての上司は、目の前の高階講師であるようだが、それでも、スリジエの業務に世良が動き回っているのは事実だ。
天城は世良に惹かれていた。モンテカルロから日本に来たときも、彼の行動に心動かされ、大いに好奇心を揺さぶられたものだが、行動を共にするようになってから、一層その気持ちは強くなった。
世良にそちらの嗜好があるというのは、天城にとって僥倖だ。そういった対象として見る上で垣根がないということは、最大の障害がないということに等しい。
過去の相手には少々嫉妬も感じるが、新しい思いを持って綺麗さっぱり忘れてもらえば良い。
だが、それは『過去の』相手に対して、だ。高階の言い方は、それはまだ現在のものであることを匂わせている。そうでなければ、極力話もしたくない天城のところにこんな話をしにくる訳がない。
「それで、クイーン高階は、ジュノの秘匿されるべきプライベートを告げ口してまで、私に何をお望みかな?」
溢れる疑問、喜び、不安――それらを全て抑え込み、天城は、そんなことは自分には何一つ関係ないという顔で質問した。
「ええ、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、天城先生にとって、世良君は大事な部下でしょう。それを踏まえた上で接してもらえればと浅薄な知恵を巡らせた次第です」
「と言いますと?」
「世良君は傷ついているんです。先日、随分と落ち込んで、物思いに沈んでいる様も目撃しています。きちんと別れたのであれば前へ進むことも出来るでしょう、しかし、一方的に消えてしまったというのは、死別と大差ありません」
「私が見る限り、ジュノは呑気そのものだがなぁ。さっきも、大欠伸していたし」
「それが眠れぬ夜を過ごしていることの何よりの証拠です。世良君は無関係な天城先生に私情で迷惑をかけてはならないと気丈に振舞っているんです。もし、天城先生に心があるなら、世良君の負担を減らして、そっとしておいてあげて欲しいんです」
「『負担を減らして、そっとして』おくというのは、ジュノを使っている雑務から解放しろと言うことですか?」
「そこまでは言いません。思いやりを持って接してくださって、後は、多少仕事を酌量していただければ十分です」
それはつまり、そういうことだろうと思ったが、天城は敢えてそこには言及しなかった。
それより、聞きたいことがあったからだ。
「ジュノとその相手とは、どんな感じだったんですか?いや、失踪したということは上手くいっていなかった可能性も……」
情報は出せるだけ引き出しておきたい。天城はさり気無く高階に尋ねた。
「私の見る限り、仲は良かったです。世良君はああいう性格ですし、大っぴらに出来る関係でもありませんから、人前でべたべたするようなことはなかったですが、随分と慕っていましたよ。詳しくは言えませんが、失踪の件には佐伯教授が絡んでいるんです」
「で、貴方はどういう経緯でそれを?」
「世良君本人から相談を受けました。天城先生に話したのは、その信頼を裏切る行為だとは分かっていたのですが、何分、心配で……」
高階は真顔で天城を見た。
「天城先生に一つお願いがあります。世良君の前で、渡海先生の話は絶対にしないで下さい。心の準備もなく、何も知らないと思っていた相手から彼の名前を聞いたら、どんなに取り乱してしまうか分かりませんから」
「分かった。約束しますよ」
「よろしくお願いしますね」
コーヒーご馳走様でした、とその場を辞した帝華大の阿修羅の後姿を見送りながら、天城はぼんやりと、此処には居ない愛しい相手のことを思った。
天城vs高階は結構好きなんだけど、間で右往左往する二股忠犬が居ないと何となく物足りない…。
そういえば、公開手術前夜の二人の会話、天城先生、凄いタメ口だったけど、違和感が凄すぎたので、佐伯教授の前と同じ感じで敬語にしてます。あんまりこの二人を喋らせてる人を見たことがないんだけど、どっちで書いてる人が多いのかな?
自分の状態も、原因も百も承知している。但し、対処法はない。いや、正確にはあるのだが、多大な労力と時間を要するため、即効性がないのだ。
高階権太は大きな溜め息を吐いた。
他人に対する好き嫌いを基準に判断するのは決して良いことではない。
しかし、物には限度というものがある。
外科の本道たる東城大学医学部付属病院総合外科学教室、などと黒崎のようなことを言うつもりはないが、それでも今の佐伯外科の有り様に高階は満足している。
その形、価値観、信念――そういったものを粉々に粉砕してしまうような存在を容認する訳にはいかない。
これは、断じて、『好き嫌い』などという、単純な感情に端を発している訳ではないのだ。
高階はちらりと医局の一角、無人の机に目を遣った。
その机が使われている日は1週間の中で何時間もない。
因みに、若手医師達は日々病院の下働きに追われ、ゆっくり席に付くことなど殆んどないが、そういう意味ではない。
彼は、高階も薄々感じていた、人の心を動かす能力を最大限発揮して、この佐伯外科にとんでもない疫病神をもたらした。
そして、同時にその生贄となった。
少しでも将来への肥やしとするべく、手術の経験を積んでいかなくてはならないこの大切な時期に。あの疫病神の言いつけを守り、我が儘を聞き、走り回る。最近では、徐々に彼の話に共感し、絆され、病院内の噂では『天城先生とコンタクトを取れるのは世良先生だけ』などとまで言われているらしい――全くもって、許しがたい。
そう。
これは、断じて、『好き嫌い』などという、単純な感情に端を発している訳ではないのだ。
「クイーンが此処へ尋ねてくるなんて珍しい」
いつも全身全霊で天城への嫌悪感を押し出している高階の、赤煉瓦棟・旧教授室への訪問は天城を驚かせた。
しかし、自分に向けられる悪意を受け流す術に長けている天城は、表面上は至って穏やかに対応した。
「そちらへどうぞ」
ソファを勧め、カップにサーバーからコーヒーを注ぐ。高階の前に置くと、「天城先生がコーヒーを入れてくださるとは思いませんでした」という、嫌味と純粋な感嘆が7対3くらいの感想が返ってきた。
「先程、ジュノが作っていってくれたんですよ。これだけあれば、夜まで持つでしょう、などと言って。煮詰まったコーヒーは嫌だといつも言っているんですが」
「世良君は、明日のカンファレンスの準備でばたばたしていますからね。コーヒーを入れている暇などないのでしょう」
スマートな返事だが、隠し切れない棘が言葉の端々に滲む。本来の業務に忙しい世良に下らない雑務をやらせるな――メッセージを受け取った天城は小さく肩を竦めた。
「ジュノ以上に忙しいジュノの上司がこちらに何の御用ですか?」
気づけば、天城も好戦的になっている。そもそも、高階が世良の身柄を佐伯外科に戻したりしなければ、世良が此処で天城にコーヒーを入れることはそう難しいことではなかったはずだ。
「その世良君のことで」
「ジュノの?」
大して真剣に聞く気もなさそうにソファに身を凭せ掛けていた天城の目の焦点が合う。
「世良君の過去のことです。天城先生にも知っておいてもらった方が良いかと思いまして」
高階は至極真面目な顔で、内緒話をするように声を潜めた。
「以前、速水君が渡海先生という人物の名を出したことを覚えていらっしゃいますか?」
天城は、何かを探すように数秒間視界を天井に彷徨わせた。
「ああ、言っていましたね。あのとき、彼は誰かという私の質問に誰も答えてはくれなかった」
高階は大きく頷く。
「渡海征司郎――彼は、かつてこの佐伯外科に所属した天才的な技術の持ち主で、佐伯教授の後継者と目されていた人物でした。通り名は『オペ室の悪魔』」
「『悪魔』とは、これまた随分と大仰な呼び名をつけられたものだ。ゴッドハンドの下に傅く悪魔か」
天城は茶々を入れる。その話だけでは自分に何の関わりがあるのか判然としない。素直な感想を口にした。
「後継者候補でありながら佐伯外科の異端児でもあった彼は、不思議と世良君と共鳴するものがあったようです。世良君は入局後直ぐに彼に近づくようになり、随分と親しくしていたようです」
「それで、今は何処に?」
高階は、一瞬視線を虚空に彷徨わせた。
「分かりません。半年ほど前、突然姿を消しました。行方不明といっても差し支えないでしょうね」
「それと私に何の関係が?」
『親しくしていた』という言葉には少々、いや、大分引っかかりを感じたが、それが現在進行形でないのであれば、どうでも良い。天城は、高階らしくない持って回った言い方に結論を急かす。
「プライベートな話なので、あまり大っぴらにしたくはないのですが、世良君と渡海先生は所謂恋仲でした。身体の関係もあったようです。そんな人が突然姿を消した――それは、大変な衝撃だったことでしょう」
「恋仲……?身体の関係……?!あの、確認しますが、その渡海とかいう医師の性別は……」
「男性ですよ、勿論。私も知ったときは驚きましたが。天城先生は海外での暮らしが長いので、こういう話には慣れていらっしゃるかと思って言ったのですが」
勿論、日本よりはカミングアウトされている件数も多いし、他人の趣味に口を出すつもりもない。だが、それは、あくまで他人の場合だ。
世良雅志――彼は、天城を日本に連れ帰った張本人であり、天城の所属するスリジエセンターのただ一人の構成員でもある。もっとも、厳密には、現在の組織としての上司は、目の前の高階講師であるようだが、それでも、スリジエの業務に世良が動き回っているのは事実だ。
天城は世良に惹かれていた。モンテカルロから日本に来たときも、彼の行動に心動かされ、大いに好奇心を揺さぶられたものだが、行動を共にするようになってから、一層その気持ちは強くなった。
世良にそちらの嗜好があるというのは、天城にとって僥倖だ。そういった対象として見る上で垣根がないということは、最大の障害がないということに等しい。
過去の相手には少々嫉妬も感じるが、新しい思いを持って綺麗さっぱり忘れてもらえば良い。
だが、それは『過去の』相手に対して、だ。高階の言い方は、それはまだ現在のものであることを匂わせている。そうでなければ、極力話もしたくない天城のところにこんな話をしにくる訳がない。
「それで、クイーン高階は、ジュノの秘匿されるべきプライベートを告げ口してまで、私に何をお望みかな?」
溢れる疑問、喜び、不安――それらを全て抑え込み、天城は、そんなことは自分には何一つ関係ないという顔で質問した。
「ええ、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。しかし、天城先生にとって、世良君は大事な部下でしょう。それを踏まえた上で接してもらえればと浅薄な知恵を巡らせた次第です」
「と言いますと?」
「世良君は傷ついているんです。先日、随分と落ち込んで、物思いに沈んでいる様も目撃しています。きちんと別れたのであれば前へ進むことも出来るでしょう、しかし、一方的に消えてしまったというのは、死別と大差ありません」
「私が見る限り、ジュノは呑気そのものだがなぁ。さっきも、大欠伸していたし」
「それが眠れぬ夜を過ごしていることの何よりの証拠です。世良君は無関係な天城先生に私情で迷惑をかけてはならないと気丈に振舞っているんです。もし、天城先生に心があるなら、世良君の負担を減らして、そっとしておいてあげて欲しいんです」
「『負担を減らして、そっとして』おくというのは、ジュノを使っている雑務から解放しろと言うことですか?」
「そこまでは言いません。思いやりを持って接してくださって、後は、多少仕事を酌量していただければ十分です」
それはつまり、そういうことだろうと思ったが、天城は敢えてそこには言及しなかった。
それより、聞きたいことがあったからだ。
「ジュノとその相手とは、どんな感じだったんですか?いや、失踪したということは上手くいっていなかった可能性も……」
情報は出せるだけ引き出しておきたい。天城はさり気無く高階に尋ねた。
「私の見る限り、仲は良かったです。世良君はああいう性格ですし、大っぴらに出来る関係でもありませんから、人前でべたべたするようなことはなかったですが、随分と慕っていましたよ。詳しくは言えませんが、失踪の件には佐伯教授が絡んでいるんです」
「で、貴方はどういう経緯でそれを?」
「世良君本人から相談を受けました。天城先生に話したのは、その信頼を裏切る行為だとは分かっていたのですが、何分、心配で……」
高階は真顔で天城を見た。
「天城先生に一つお願いがあります。世良君の前で、渡海先生の話は絶対にしないで下さい。心の準備もなく、何も知らないと思っていた相手から彼の名前を聞いたら、どんなに取り乱してしまうか分かりませんから」
「分かった。約束しますよ」
「よろしくお願いしますね」
コーヒーご馳走様でした、とその場を辞した帝華大の阿修羅の後姿を見送りながら、天城はぼんやりと、此処には居ない愛しい相手のことを思った。
天城vs高階は結構好きなんだけど、間で右往左往する二股忠犬が居ないと何となく物足りない…。
そういえば、公開手術前夜の二人の会話、天城先生、凄いタメ口だったけど、違和感が凄すぎたので、佐伯教授の前と同じ感じで敬語にしてます。あんまりこの二人を喋らせてる人を見たことがないんだけど、どっちで書いてる人が多いのかな?
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