テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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――天城先生が変だ。
いや、いつも変だけど、と不届きなセルフツッコミを入れながら、世良は我が儘な上司の顔色を伺う。
今日は一日中、翌日のカンファレンスの準備に忙殺されていて、旧教授室には、朝と夕方しか顔を出せなかった。
いや、既にスリジエセンターのレンタル移籍の任は解かれているので、天城の雑用依頼の呼び出しになどいちいち応じる必要はないのだが、それを断ることなど世良に出来る訳がない。
「天城先生、コーヒー淹れましたよ」
「ああ……」
話しかけても上の空。此処へ入ったときなどは、飛び上がるほど驚かれた。
何か、心配事だろうか?
こういうときは、そっとしておくべきだろうか。何かしら、声をかけるべきだろうか。
迷ったが、何だか、このまま帰るのも後味が悪い。
「天城先生。……天城先生」
気持ち距離を詰めて、目の前で両手をひらひらと動かしてみた。
「ん……。あ、ジュノ……?!」
露骨に、がばりと身を仰け反らせられ、その反応に世良も驚く。
こんな天城を見たのは初めてだ。
「大丈夫ですか、天城先生?どこか、具合でも悪いんじゃないですか?」
「ジュノこそ……」
「え?」
天城は考えながら、ぼそぼそと口を開いた。
「私に隠し事をしていないか?」
そんなことを言われ、更に訳が分からなくなる。
天城と一緒に仕事をするようになって1年以上が経つが、相手はあくまで仕事上の上司、プライベートに関することで話していないことなど山ほどあるし、それを責められる覚えもない。
「いえ……、特にないと思います、けど……」
「ないだって?」
「はい……」
半ば睨みつけてくるような真剣な眼差しに気圧される。
整った顔だけになかなかに迫力があって、世良は、ああ、やっぱりそっとしておくべきだった、と後悔した。何で、こんな尋問を受ける羽目に陥ってしまったのだろう?
「ジュノ、そんなに苦しそうな顔をしないでくれ」
――それは、この状況の所為なんですけど……。
天城は小さく溜め息を吐いた。その憂いを帯びた表情に、世良は更なる重圧を感じた。
「私では、受け止められないか……?そんなに信用出来ないか、ジュノ?」
――だから、何の話ですか?!
内心では幾らでもツッコめるのだが、まさか、天城にそのまま言う訳にもいかない。
大体、言ったところで、ちゃんと答えがもらえるとも思えない。
「天城先生、本当に俺は大丈夫ですから」
世良は独断で会話を打ち切った。
「先生こそ、体調には気をつけてくださいね」
適当に締めて、逃げることにする。
「『都会』の方では、季節外れの風邪が流行ってるみたいですし」
カシャン。
派手に床に散らばった白い破片と茶色の液体に、世良は慌てた。特に、コーヒーの方は、靴とスラックスの裾に派手にかかってしまっており、それらの価格が自分の1月の給料以上だということを知っている世良は軽いパニックになった。
「何してるんですか……?!火傷してませんか?うわ、どうしよう。これ、クリーニングで落ちるのか……?」
バタバタと布巾を濡らし、天城の元に戻る。
「とりあえず、脱いでください」
「え?!ジュノ……?」
「脱いでください。このままじゃ、しみ抜きも出来ないし。って言っても、俺も大したことは出来ないけど。……とりあえず、俺はカップ片しますから」
破片を拾い、ビニール袋に入れる。振り返ると、天城は靴を脱いだようだった。
思わず、それに飛びついた。
さすが、高級品だ。
撥水性が高く、布巾を当てると面白いくらいに吸い取っていく。地の色も濃いので、染みにはなっていない。少し匂いがついただろうから、何らかの手入れをした方が良いかも知れないが、それは天城の方が詳しいだろう。
ほっとした世良は、天城を見上げた。
「こっちは大丈夫です。ああ、もう、何してるんですか。早くそれも脱いでください……って……」
天城と目が合う。その眼差しを見た瞬間、何だか分からないながらも、ぞわりとしたものが背筋を駆け抜けた。
天城の長い指がそっと世良の頬を撫でる。
「脱いで、欲しいのか?」
何時の間にか、世良は、天城の長い両の足の間の床に座り込み、彼の膝に触れながら見上げていた。ゆっくりと天城の顔が近づいてくるのに、我に返る。
「あああああのっ、失礼しま……」
「此処まで挑発しておいて、逃げるのか、ジュノ?」
足で身体を挟まれ、逆の手で肩を押さえられる。何事、と思ったときには、既に唇を奪われていた。自分の身体に起こっていることが信じられず、硬直しているうちに、天城は次第に深く入り込み、世良を貪っていく。
――何か……、気持ち良い……。
無理の2文字一色だった脳内に、そんな感想が浮かび始めた頃、長いキスは終わり、天城は世良を自分の下に引きずり込んだ。
「他の相手のことなんて、二度と思い出せないようにしてやろう」
耳元に注がれた言葉に、「だから、何の話ですか?!」と今度こそ、ちゃんと声に出してツッコんだが、既に時遅し。何かが外れた天城は、たちまち世良を追い上げ、昇り詰めさせてしまう。
「ジュノ、もしかして……?」
途中で天城が何か呟いた気がしたが、初めての感覚に耐える世良にはそんなことまで考える余裕は勿論なく。繰り返される愛の言葉と経験したことのない快感に、世良は次第に溺れてしまった。もしかしたら、世良の中にも、元々天城への思いがあったのかも知れない。
「クイーンも、まさかこんなことになるとは思わなかっただろう」
事が終わった後、口の端に堪えられないという笑みを浮かべた天城に対しても、それ以上の質問は怖いので止めておいた。しかし、時々、彼が知ってるはずもない、渡海のことを根掘り葉掘り聞かれるのには閉口している。少しだけ、ほんの少しだけ、彼に持っていた思いがバレてしまうのが怖いから――
世良ちゃんは初めてで、高階さんの目論みは潰えたかと思いきや、実は、世良ちゃんは渡海先生を…、っていう…。纏まった?纏まったよね?!(無理繰り)最後の方は、結構楽しく書けましたvvv
いや、いつも変だけど、と不届きなセルフツッコミを入れながら、世良は我が儘な上司の顔色を伺う。
今日は一日中、翌日のカンファレンスの準備に忙殺されていて、旧教授室には、朝と夕方しか顔を出せなかった。
いや、既にスリジエセンターのレンタル移籍の任は解かれているので、天城の雑用依頼の呼び出しになどいちいち応じる必要はないのだが、それを断ることなど世良に出来る訳がない。
「天城先生、コーヒー淹れましたよ」
「ああ……」
話しかけても上の空。此処へ入ったときなどは、飛び上がるほど驚かれた。
何か、心配事だろうか?
こういうときは、そっとしておくべきだろうか。何かしら、声をかけるべきだろうか。
迷ったが、何だか、このまま帰るのも後味が悪い。
「天城先生。……天城先生」
気持ち距離を詰めて、目の前で両手をひらひらと動かしてみた。
「ん……。あ、ジュノ……?!」
露骨に、がばりと身を仰け反らせられ、その反応に世良も驚く。
こんな天城を見たのは初めてだ。
「大丈夫ですか、天城先生?どこか、具合でも悪いんじゃないですか?」
「ジュノこそ……」
「え?」
天城は考えながら、ぼそぼそと口を開いた。
「私に隠し事をしていないか?」
そんなことを言われ、更に訳が分からなくなる。
天城と一緒に仕事をするようになって1年以上が経つが、相手はあくまで仕事上の上司、プライベートに関することで話していないことなど山ほどあるし、それを責められる覚えもない。
「いえ……、特にないと思います、けど……」
「ないだって?」
「はい……」
半ば睨みつけてくるような真剣な眼差しに気圧される。
整った顔だけになかなかに迫力があって、世良は、ああ、やっぱりそっとしておくべきだった、と後悔した。何で、こんな尋問を受ける羽目に陥ってしまったのだろう?
「ジュノ、そんなに苦しそうな顔をしないでくれ」
――それは、この状況の所為なんですけど……。
天城は小さく溜め息を吐いた。その憂いを帯びた表情に、世良は更なる重圧を感じた。
「私では、受け止められないか……?そんなに信用出来ないか、ジュノ?」
――だから、何の話ですか?!
内心では幾らでもツッコめるのだが、まさか、天城にそのまま言う訳にもいかない。
大体、言ったところで、ちゃんと答えがもらえるとも思えない。
「天城先生、本当に俺は大丈夫ですから」
世良は独断で会話を打ち切った。
「先生こそ、体調には気をつけてくださいね」
適当に締めて、逃げることにする。
「『都会』の方では、季節外れの風邪が流行ってるみたいですし」
カシャン。
派手に床に散らばった白い破片と茶色の液体に、世良は慌てた。特に、コーヒーの方は、靴とスラックスの裾に派手にかかってしまっており、それらの価格が自分の1月の給料以上だということを知っている世良は軽いパニックになった。
「何してるんですか……?!火傷してませんか?うわ、どうしよう。これ、クリーニングで落ちるのか……?」
バタバタと布巾を濡らし、天城の元に戻る。
「とりあえず、脱いでください」
「え?!ジュノ……?」
「脱いでください。このままじゃ、しみ抜きも出来ないし。って言っても、俺も大したことは出来ないけど。……とりあえず、俺はカップ片しますから」
破片を拾い、ビニール袋に入れる。振り返ると、天城は靴を脱いだようだった。
思わず、それに飛びついた。
さすが、高級品だ。
撥水性が高く、布巾を当てると面白いくらいに吸い取っていく。地の色も濃いので、染みにはなっていない。少し匂いがついただろうから、何らかの手入れをした方が良いかも知れないが、それは天城の方が詳しいだろう。
ほっとした世良は、天城を見上げた。
「こっちは大丈夫です。ああ、もう、何してるんですか。早くそれも脱いでください……って……」
天城と目が合う。その眼差しを見た瞬間、何だか分からないながらも、ぞわりとしたものが背筋を駆け抜けた。
天城の長い指がそっと世良の頬を撫でる。
「脱いで、欲しいのか?」
何時の間にか、世良は、天城の長い両の足の間の床に座り込み、彼の膝に触れながら見上げていた。ゆっくりと天城の顔が近づいてくるのに、我に返る。
「あああああのっ、失礼しま……」
「此処まで挑発しておいて、逃げるのか、ジュノ?」
足で身体を挟まれ、逆の手で肩を押さえられる。何事、と思ったときには、既に唇を奪われていた。自分の身体に起こっていることが信じられず、硬直しているうちに、天城は次第に深く入り込み、世良を貪っていく。
――何か……、気持ち良い……。
無理の2文字一色だった脳内に、そんな感想が浮かび始めた頃、長いキスは終わり、天城は世良を自分の下に引きずり込んだ。
「他の相手のことなんて、二度と思い出せないようにしてやろう」
耳元に注がれた言葉に、「だから、何の話ですか?!」と今度こそ、ちゃんと声に出してツッコんだが、既に時遅し。何かが外れた天城は、たちまち世良を追い上げ、昇り詰めさせてしまう。
「ジュノ、もしかして……?」
途中で天城が何か呟いた気がしたが、初めての感覚に耐える世良にはそんなことまで考える余裕は勿論なく。繰り返される愛の言葉と経験したことのない快感に、世良は次第に溺れてしまった。もしかしたら、世良の中にも、元々天城への思いがあったのかも知れない。
「クイーンも、まさかこんなことになるとは思わなかっただろう」
事が終わった後、口の端に堪えられないという笑みを浮かべた天城に対しても、それ以上の質問は怖いので止めておいた。しかし、時々、彼が知ってるはずもない、渡海のことを根掘り葉掘り聞かれるのには閉口している。少しだけ、ほんの少しだけ、彼に持っていた思いがバレてしまうのが怖いから――
世良ちゃんは初めてで、高階さんの目論みは潰えたかと思いきや、実は、世良ちゃんは渡海先生を…、っていう…。纏まった?纏まったよね?!(無理繰り)最後の方は、結構楽しく書けましたvvv
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