忍者ブログ
テレビ先生の隠れ家
カレンダー
08 2025/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
カウンター
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者アナライズ
[203]  [202]  [201]  [200]  [199]  [198]  [197]  [196]  [195]  [194]  [193
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

前回の続きです。バブリー真っ盛りの天城先生からとんでもないプレゼント渡して、世良ちゃんを困らせようというコンセプトだったのですが、何あげても世良ちゃんが全然喜んでくれないので、こんなんなっちゃいました…。まあ、「困らせる」のが目的なんだから、喜ぶ訳ないだけどさ…。

拍手[8回]


「さあ、ジュノ。何でも欲しいものを言ってみろ。私が叶えてやる」
 贈り物の真骨頂は、綿密なリサーチの末に選んだものを渡して、相手を驚かせて喜ばせること。だが、これまでにも、世良には色々なものを与えてきたにも関わらず、困ったような顔をするばかりで、どうにも反応が薄い。男性を恋人にしたのは初めてだから、これまでとは違うのは当然かも知れないが、さすがの天城も困惑していた。必要のないプレゼントなんて、ただの不燃ゴミだ。だったら、例え野暮だとしても、欲しいものをあげた方が良いに決まっている。
「はあ……」
 しかし、世良は、相変わらず、曖昧な返事で心底困惑しているようだ。天城は焦れて言う。
「何でも良いぞ。駅前のマンションの一室でも、外車でも、フランス料理のフルコースでも、何なら海外旅行でも構わない」
「今のアパートでも掃除となると大変ですし、車は特に必要ないし、フランス料理なんて場違い過ぎて落ち着かないし、旅行も良いけど、無理に休みを取るのも気が引けますし」
 漸く口を開いたと思ったら、天城の提案に対する徹底的な駄目出しだった。
 全く、可愛くない。しかし、そんなところも可愛らしい――天城は、世良を抱き締めたい気持ちを抑える。
 今日は、そちら方面も、世良の望む通りにしてやろうと決めていた。
 いつも、天城が思いのままに求めて、世良はそれに呑み込まれるばかりだ。
 最中こそ感じて善がりはするが、行為の直前も事後も、戸惑ったような表情を浮かべていることが多い。
 世良が何をすれば一番歓ぶのか、天城は聞きたかった。
 だから、今日は――
「正直に、ジュノの欲しいものを教えて欲しいんだ。物ではなく、私に何かをさせても良い」
 こんなことを突然言っても困るのは分かっている。
 だが、世良に「考えておくように」などと言っても、曖昧にはぐらかされてしまうに決まっている。彼には日本人の美徳とする、明確に物事を述べない性質がある。多少なりとも強引に進めなければ、求める答えは得られない。
「言わなければ、ずっとこのままだぞ」
「そんなこと、いきなり言われても……」
「ゆっくり考えれば良い。時間はたっぷりある」
 自室として与えられている旧教授室のソファで長い足を組み、天城は悠々と口にする。
 今のところ、特に不都合はない。ゆっくり、想い人の口を割らせる一時を楽しむ余裕は幾らでもある。
「別に、欲しいものなんて……」
 心底悩む世良を本当に可愛いと思う。
 何もないなら、適当なことを言えば良いのだ。そうすれば、この場からは解放されるし、別に損をする訳でもない。だが、世良は律儀に、自分の欲しいものを考えている。
「あの……」
 世良が漸く口を開いた。
「何だ、ジュノ?」
 自然と口元が緩むのを抑えられない。遂に、世良が根負けして口を割るのだ。彼が欲しいと言うなら、どんなことでも叶えてやろう。そして、喜ばれる瞬間のことを考えただけで、嬉しくて堪らない。
「……天城先生も言ってましたけど、俺、もう貰ってます」
「何だって?!」
 この後に及んでまだ屁理屈を言うか、と思わずきつい口調になった天城に、世良は慌てて首を振った。その様子に、天城も我に返って穏やかな声で繰り返す。
「それは、どういう意味だ、ジュノ?」
 世良は、どう伝えようか困惑したように眉根を寄せて言う。
「俺にとっては、天城先生が今此処に居ることがどんなプレゼントより凄いことです。あのとき、天城先生には日本に来ない選択肢だってあった。でも、先生は今此処に居て、俺にとんでもない夢を見せてくれている――俺には、これ以上に望むことはありません」
「ジュノ……」
「うわわっ」
 突然抱き締められた世良は何とか抜け出そうとしたが、天城には逃がす気などこれっぽっちもなかった。
「ちょっ……、こんなところで……」
「ジュノは『今』以上に望むものはないんだろう?だったら、いつも通りで良いということじゃないか」
「明日休みなんですから、帰ってからでも良いじゃないですか!」
 世良は必死に抵抗する。
「お、お願い……!お願い、1つありました!此処でこういうことは止めてください!!」
「何……?」
 人差し指が1本、二人の顔の間に阻むように割り込んでいた。
「つまらない願いだな」
 腕を緩めた天城は面白くなさそうに言う。明らかに興を削がれた。しかし、「どんな願いでも叶える」と言った手前、無視する訳にもいかない。
「だが、一度は断ったんだから、叶えてやるのは半分だけだ」
 頬っぺたにちゅっと音を立ててキスすると、世良は思わず目を瞑った。『最後まで』を全部とするなら、こんなのはまだ序の口だろう。天城は、固く引き結んだ唇に自分のそれを重ね、強引に舌先で歯列を割る。ねじ込まれたそれは、世良の歯茎や上顎を貪るように這い回り、あっという間に、呼吸すら儘ならなくさせてしまう。震える腰を天城は支えた。
「ジュノ、腰が砕けているぞ」
 唇を離しても、わざと顔を近づけたまま耳元で囁く。
 それがどういう効果をもたらすか、自分の容姿を熟知している天城には良く分かっている。微かに上気した頬で目を開けた世良は、その顔を見た瞬間、湯気が出そうなほど真っ赤になった。咄嗟に離れようとしたものの、世良の脚はぐらつき、軽く腰を引き寄せただけで天城の腕の中に収まる。
「此処で、こういうことは止めるんじゃなかったのか、ジュノ?」
 すっかり抵抗の機会も気力も失った世良の髪を梳きながら、天城は喉を鳴らして笑う。その直視に耐えられずに、天城の胸に顔を埋める様子も微笑ましい。
「ジュノ、どうして欲しい?」
「……帰りたいです」
「その気になっている癖に」
「諦めてるだけです」
 じゃあ、そのまま観念していれば良い、と囁き、ベルトを外して、ワイシャツの裾を引っ張り出す。脇腹に指が触れると、世良の身体が跳ねた。口調とは裏腹に身体は素直だ。
 首筋に唇を落としながら、胸の突起を刺激する。世良が息を飲む。指先が強く天城の腕を掴んだ。
 ふと見ると、苦しそうに寄った眉根があった。
 何となくそこを撫でると、熱に浮かされたような瞳が開く。
「どうしたら、もう少し、嬉しそうな顔をしてくれるのだろうな?」
「え……?」
「ジュノを喜ばせるためなら、何だってしてやるのに……」
 言って、そっとその目蓋を食む。
 腕の中の小さな震えを感じた次の瞬間、天城の首筋に世良が飛びつき、唇を合わせていた。
「んっ……、ジュノ……」
 朱に染まった世良の顔が唐突に離れ、そっぽを向く。
「……同じこと、何度も言わせないで下さい。さっき、分かったんじゃないんですか……」
 むすっとした口調の捻くれた言葉。
 全く、可愛くない。そして、そんなところも可愛らしい――
「私と居るだけで幸せで堪らないなら、少しはそういう顔をしたらどうだ?」
「そこまでは言ってません!」
 への字に曲がった口角を持ち上げるように押し上げ、伏せられた視線を持ち上げてから、天城はゆっくりと、自らの存在を世良の素肌に刻んだ。


何か、こんなオチ、前にもやったような…。ホント、こういう関係性が好きなので、仕方ない!しかも、この流れで極北クリスマスを考えたところで、今更、メルヘェンなプレゼントネタとか落ちてきて…、もう無理だよ。来年…?

PR
忍者ブログ [PR]