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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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久し振りに、今世良くっつくまでシリーズ。相変わらず、ダーク展開。そして、初の18禁ですので、お気をつけて。

拍手[5回]


「世良先生」
 今中は、廊下を足早に通り過ぎていた世良を呼び止めた。彼は、不機嫌そうな目でちらりとこちらを見ただけで、表情も口も全く動かさなかった。
 極北救命救急センターから戻って来て、3日目。
『本当にバカだな、今中先生は』
 市民病院に、世良の近くに居るということを決めた今中にそう一言いって以来、世良の方から言葉が発されることはなかった。特に用がないのなら、それに越したことはないが、日に何度も院長室に呼び出され、これからどうするだの、この政策にはこんな問題があるだののご高説を聞かされ、メールに返信しろ、お茶を入れろ、と秘書のように扱われ、また、それが一日の殆んどの業務だったのだから、こうして放り出されると何とも物足りない。というか、暇だ。2日ほどは様子を見ていたが、全くお呼びがかからないに当たって、今中は自分から行動を起こすことにした。
 もともと、壊されて困るようなプライドもないし、此処に戻って来たことを間違いだとも思ってはいない。
 どう言われようと、此処に居たいと言おうと決めていた。
「何?」
 言葉少なに質問する世良は、自分の方からアクションを起こす気がないというのをはっきりと表していた。あくまで、今中の出方を見るつもりなのだ。気圧されそうになりながらも、今中は姿勢を正し、真っ直ぐに世良の方に向き直った。
「世良先生、勝手なことをして申し訳ありません。でも、私はどうしても、先生の近くで、先生を支えたいんです。だから、此処に居させてください!お願いします!」
 深々と頭を下げ、懇願する今中を世良はたっぷり数秒見つめ続け、やがてぽつりと言った。
「それって、結構、覚悟が居ることだよ。今中先生には、その覚悟がある?」
 世良の口から言葉が出たのが嬉しくて、今中は、深く考えずに大きく頷いた。
「断言は出来ませんが、あるつもりです。ないなら、そうなるように努力します!」
「そう」
 世良は、何処か遠くを見るような目をし、それから薄く笑った。何となく、背筋がぞっとするような笑みだった。
「じゃあ、今日の仕事が終わったら、極北号で僕のマンションに来てくれる?そこでちゃんと話をしよう」
「はい!」
 答えた今中は慌てて背を向ける。この場で、これ以上踏み込んで、世良の笑みの理由や、そこで起こることの片鱗を知れば、怖気づいてしまう気がした。それだけは避けなければならない。
 しかし、そこで交わされる会話は、どんなに考えても今中には見当も付かなかった。


「今中先生、良く来たね。入って」
 マンションの入り口で今中を迎えた世良は、Tシャツにハーフパンツという至ってラフな服装だった。
 シャワーを済ませたのか、髪がしっとりと濡れている。
 世良に付いて部屋に入ると、そこはこざっぱりとした空間が広がっていた。ベッドにテレビ、ローテーブル。室内にある家具は最低限。部屋の隅にダンボールが幾つかあり、そこから本や書類がはみ出している以外は、全くと言って良いほど生活感がない。世良は、ローテーブルに、冷蔵庫から出したお茶のペットボトルを置いた。
「これしかないんだ。悪いね」
「いえ……」
 男の一人暮らしに、急須で注いだお茶が出て来ることなど期待していない。
 今中はキャップを捻り、口を付ける。
 世良は、その様子をじっと見つめていた。
「世良先生?」
「今中先生。今日、昼間、『此処に残る覚悟はある』って言ったよね?」
 頷きかけた今中は、うっすら感じた不穏な空気に、中途半端な状態で首を止めた。
「その覚悟を見せてよ」
「はい。……え?」
 世良が肩を竦めて笑った。何時だったか、『潰せばいいんだ、こんな病院』と言ったときと瓜二つの歪んだ笑みだった。するりと腕が抜かれ、Tシャツが床に落ちる。
「僕の相手をしてもらう。今すぐ、此処で」
 後で思い返しても、たったそれだけの言葉で、良く意味を汲み取ったものだと思う。
 けれど、世良の纏う空気は、明らかに誘うときのそれで。
 僅かに媚を含んだ視線が饒舌に彼の望みを示していた。
 抱け、と。その表情が確かに命じている。
「な……んで……?」
 此処に居たい、世良を支えたい――それが、何故、そんな話になるのかと今中は混乱する。何とか、説得できないのかと必死に考える。百歩譲って、世良が自分を好きだと言うのなら、考えても良い……かも知れない。例え、無理だとしても、考察する意味はある。しかし、挑発的にこちらを見る世良にその感情は皆無だ。冷めた目も、詰まらなそうな口元も、自虐的な笑いも。それなのに、身体を繋げと言う。それが此処に残る条件だと――
「こっちの準備は出来てるから。今中先生は初めてだろうし、サービスしてあげるよ。シャワー浴びながら、考えて来たら」
 世良は、喉を鳴らして笑った。
「僕相手に、勃つかどうか」
 この人は本気だ、と直感した――


 そう思ってからのことは、殆んど記憶にない。
 冗談じゃない、と思ったのは確かだ。こんな方法で、こういった無理難題で、この人は拒絶するつもりなのだ。此処から逃げ出した途端、平然と救命センターへ追い返すために。
 気が付くと、今中は世良をベッドに組み敷いていた。
 目をぱちぱちさせる世良に、少しばかり申し訳ない気持ちを持ちながら、唇を重ねる。
「ちょっ……、待っ……」
 僅かに触れた瞬間、世良が今中の胸を押し返した。
「それは良いだろう、恋人同士じゃないんだから」
 ――じゃあ、この先はどうなんですか?
 目で訴えた今中の気持ちが通じたのか、世良が気を取り直したように言う。
「まあ、今中先生の覚悟は分かったよ。一先ず、退いて。どうせ、この先なんて出来ないでしょ」
「じゃあ……」
「言っただろう、サービスしてあげるって」
 既に、世良はいつもの調子を取り戻していた。
「僕が動いてあげる」
 
 
 躊躇いながらも、促されるままに衣服を脱ぐと、世良は興味深そうに今中の身体を観察していた。この辺は、お互い職業病のようなもので、ついつい健康状態の確認をしてしまう。一気に、立ち上った色気が消える。密かに、これで終わらないかと淡い期待を抱いてみたり。あくまで、ちょっとばかり冗談の過ぎた健康診断で――しかし、世良が今中の中心に巧みに触れてくるに至って、遂にコトは始まってしまった。世良の手扱きは慣れたもので、的確な刺激に、今中に抵抗する術はなかった。十分な固さになると、世良は躊躇いなく今中に跨る。少し腰を落とした途端、先程の指先が与えるものとは全く異質の、熱く収縮した粘膜が今中を包む。思わず、声が出そうになり、慌てて飲み込んだ。
「喘いじゃえば良いのに」
 長い息を吐くなり、減らず口。
 相変わらず、色っぽい雰囲気の欠片もない。いや、この状況でこの人が可愛く見えたりしたら、それこそ問題だろうが。
「でも、今中先生でもこんなこと出来るんだね」
 どういう意味だ、とツッコみたくなるようなことを言うなり、動き出す。
 浅く、激しく先端を弄られ、早くも込み上げて来た射精感を今中は必死に遣り過ごした。
 こんなところで、敗北したら、後で何と嫌味を言われるか分からない。
 ――それにしても、これは一体、何なのだろう?
 快感から意識を逸らすべく、今中はそんなことを考える。
 こうして、確かに世良の深部に触れているのに――
 相変わらず、彼の考えは分からないし、何も伝わって来ない。追い出そうとしながら、こんな行為を強要する。身体は繋ぐ癖に、キスはしたくないと言う。
 そして、こんな支離滅裂なこの人を放っておけない自分が何よりおかしい。
「今中先生、他所事考えてるなんて良い度胸だねぇ」
 今中の全部を見下ろす世良が、試すような面持ちで言う。
 不意に、その余裕ぶった顔を滅茶苦茶にしたくなった。
 そう、滅茶苦茶にしてしまえば良いのだと、頭の中で何かが繋がる。何時だって、我慢してきたのだ、身勝手な彼の行動を。冷たく、突放す彼の言葉を。
 けれど、そうして拒絶しながら、この人の本音は誰かを渇望しているのではないだろうか?
 例え、その穴が余りにも昏く、今中には到底埋めることが出来ないものだとしても。
 覗き込み、呼びかけたら、世良はどんな顔をするのだろう?
 そう思ったときには、今中には珍しく、率先して身体が動いていた。世良の細い腰を掴み、奥に突き立てる。
 そこに触れたのだろう。世良の表情が崩れる。
「何する……?!」
「世良先生も感じてください」
 押さえたまま、腰を動かしたら、世良の呼吸が明らかに乱れた。
「冗談じゃ……」
「どうせ、やるなら、気持ち良い方が良いでしょう」
「ちょっと、止め……」
 見るからに余裕がなくなり、途切れ途切れになった声に甘い吐息が混ざり始めた世良に、今中は夢中になった。
 まるで、何かに縋るように、内側が急速に締まって、今中を追い詰める。
 ――此処に居ますから……!
 伝わって欲しいと願いながら、今中は果てた。後を追う様に、世良が背を仰け反らせたのが分かった。
 ――キスがしたい……。
 繋がったままの身体を引き寄せ、口付ける。目を見開きながらも、世良が為すがままになったのに満足する。
「ちゃんと相手をしましたよ」
 唇を離して言うと、世良が視線を逸らした。
「……後悔するよ」
「覚悟の上です」
 世良は何も答えずに立ち上がり、浴室へと姿を消した。


年内最後の更新がこんなんですみません…。まだ、この時点では身体だけ。次回は世良ちゃん視点で。来年、早々に完結させたいと思っています。宜しければ、お付き合いくださいませ。

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