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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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昨年中は、こんなマイナーなサイトを見つけて、足を運んでくださり、ありがとうございました。
私もまさか、自分が、色気ムンムンのツンデレ誘い受をがんがん書くことになるとは思いもしませんでした。
とりあえずは、天城先生大好きな世良ちゃんを過去と未来に渡って書いていくようなコンテンツにしようと思っていたのに、全く人生というものは何が起こるかわかりませんね。
そして、天ジュノでも十分マイナーなのに、今世良っていう茨に頭から突っ込んでいく自分がさっぱり分かりません。いや、まあ、天ジュノはそれでもまだ書く人居るから。今世良は私が書かなきゃ増える見込みがないんだから!という意味の分からない使命感…。
まあ、ジュノも院長も、間の18年も、まだまだ全然書き足りないので、今年も相変わらずだと思います。
世良ちゃんも今年で50歳だし、2013年初頭のテーマはエロ院長!
今世良エロも解禁したので、ちゃんとくっ付くまでは爛れた関係(笑)で、くっ付いたらくっ付いたで、ベタベタで。
…もうちょっとマシなテーマはなかったの…?
まあ、そんな感じで、今年も宜しくお願いします。
以下、デキてる今世良で、正月SS!

拍手[6回]


「世良先生、正月ですし、今日はお餅にしませんか?」
 台所で何かをしているなぁと思っていたら、突然そんなことを言われて驚いた。
 市民病院が正月休みに入ってから、世良は今中の部屋に入り浸っていた。何をするでもなく、年を越えて、狭い部屋で顔を突き合わせている。いや、ナニはしたか……。
「もしかして、さっきからしてる変な臭いって……」
 世良が顔を顰めると、今中は申し訳なさそうな表情になった。
「少々、あんこを焦がしまして……」
 今中の作るものは典型的な男の料理だ。
「また?!基本的に、今中先生には繊細さがないんだよねぇ」
 どうも、手っ取り早く作ろうとして、火を強くし過ぎる傾向にあるらしい。
「実は、お餅も……」
 今中は大きな身体を縮めながら、炬燵に入っていた世良の前に茶碗を差し出した。そこには、切り餅の原型すら失って、半ば溶けた物体が注がれていた。
「今中先生、僕に何食べさせる気?!」
「ちゃんとお餅ですよ!煮立ったお湯の中で、ちょっと崩れてしまいましたけど……」
 そこに少々焦げ臭いあんこがかけられる。
「次は、ちゃんと弱火で作ります」
 世良は、箸で掴むのがやっとなほどに煮崩れた餅を摘んだ。
「お餅なんか食べるの、何年振りかなぁ――まあ、これを餅と言えば、だけど」
 餅どころか、正月を正月と思ったこともない。せいぜい、無為に過ぎた一年に気づいて愕然とするくらいのものだ。新しい年なんてものに意味を感じたこともなかったし、今やるべきことが変わるとも思えない。そもそも、もう一年、そこに居る保証だってなかった。
「だと思いました。世良先生は、もう少しちゃんと食べた方が良いです」
「まさか、僕まで今中先生みたいな体型にする気?!」
「しませんよ!大体、今が痩せ過ぎでしょう!腰の辺りなんて、皮と骨だけじゃないですか」
「うわ、今中先生ってば何処見てるのー?」
 見えるんだから、仕方ないでしょう、と真っ赤になる今中を尻目に、世良は箸で食べることを諦め、茶碗に口を付けて掻き込むように、水っぽい餅を口に含んだ。
 今中だって、世良と付き合い始めた頃は、デカ盛りのカップラーメンとご飯大盛りのホカ弁なんていう酷い食生活をしていた癖に。最近では、惣菜を買って来たり、不揃いな切り方の野菜で鍋をしたり、とにかく、やたらと世良に食べろ食べろと言う。
 必ずしも美味い料理を作ってくれる訳ではないが、ストレートな好意を突っぱねるほど世良も人でなしではない。まして、彼は、これまで殆んど他人に心を許して来なかった世良が懐に入れることを容認した相手なのだ。
 文句を言いながらも、口に運んで味わう。最低限の栄養を取る目的ではなく、ゆっくりと咀嚼して食事を摂るようになったのも、今中と居るようになってからだ。
「食べ終わったら、初詣に行きましょう」
 黙って食べる世良を満足そうに見ていた今中が言った。
「やだよ。寒いもん」
「子供じゃないんですから」
「あのね、関東の寒さじゃないんだよ。氷点下10度だよ。僕、あったかいところの生まれだから、無理」
 どれくらい待つことになるのかは知らないが、とても耐えられる気がしない。平然と初詣などと言い出す今中の気が知れない。人込みに押された振りをして、引っ付いたら少しはあったかいだろうか。いや、コートの中にでも入らないと暖を取るのは難しそうだ。大体、くっ付くだけなら此処でも出来る訳だし。人目を気にしなくて良い分、こっちの方が遥かに良い。
 それに、と世良は微かに笑う。
「僕は神頼みなんてしないからね」
「え?」
 空になった茶碗と箸を流しに置き、世良は真っ直ぐに今中を見る。
「そんな無駄なことをしてる暇があったら、愛すべき極北市民のために一肌脱ぐよ」
「どういうことですか?」
 今中が素直に尋ねた。
「お得意様の年始回りにでも行くとしようよ、今中先生」
 市民病院のお得意様と言えば、相手は一つだけだ。
「患者さん達のところですか?でも、元旦ですよ。迷惑じゃ……」
「迷惑になる人のところになんて行かないよ。訪問介護もお休みな訳だし」
「仕事するんですか?!」
 世良は、げんなりした声を出した今中の額をぺちりと叩く。
「どうせ、普段、出勤したって大した仕事もしてないじゃない。正月らしいことも出来ないおばあちゃんたちに、新年の風を届けたって罰は当たらないと思うけど」
 言いながら、世良は炬燵の上の蜜柑と煎餅をビニール袋に放り込む。
「今中先生の背なら、高いところの大掃除もしてあげられそうだしね」
 笑いかけると、今中の顔が渋いものに変わる。
「もしかして、ハウスキーパー要員ですか?っていうか、結局、寒いところに行きたくないっていう世良先生の我が儘通しただけなんじゃ……」
 ぶつぶつ言う今中を放置して、世良はコートを羽織る。
「さあ、行くよ、今中先生。僕達の願いを叶えてくれるのは、この地に生きる人達なんだから」
 きっとこうして1年が過ぎていくのだろうと思いながら、世良は今中を振り返った。


今中先生の官舎に入り浸ってる世良ちゃんって構図が何か好きです。
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