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原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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長さの関係で中途半端なとこで切れてますが、続きは明日にでも。
以前、ちょこっと言ってた高階世良風味なベロス希望的予想。でも、本命は天ジュノなんだろうと思わせて、実は、今世良っていう、お前、ちょっとは自重しろよ、くらいの。
2012/8/7 最近気づいたんですが、ベロスは2009年7月から9月で、極北のラストは2010年3月なんですね。そうすると、この時点の世良ちゃんはまだ色々吹っ切れる前になるんですが、まあ、それ以前に、単なるケルベロス予想だったので、パラレルだとでも思ってお読みくださいませ。
しん、とした病院長室のソファで、高階権太は書類に目を落としていた。
「……これを発表されたら、Aiセンターは潰される」
それは、警察庁、そして、桜宮病院の生き残りの放った爆弾。
あらゆる手を打ち、駒を配置し、それでも、一歩、及ばなかった。
万策尽き果て、最早、手も足も出ない。
「それどころか、東城大まで……」
バチスタ・スキャンダル以降、いや、病院長になってこの方、死に物狂いで守り通してきたこの付属病院が――
「完敗です……」
書類をテーブルの上に投げ出し、顔を覆う。
そのとき、僅かに空気が動いた気がして、高階は顔を上げた。その鼻先すれすれでテーブルが跳ね上がった。突然脇から伸びてきたスーツの足がその縁を蹴り上げたのだと解る。
「だったら、潰せばいい」
高階は強烈な既視感を感じた。
かつて、弱気になっていた高階を叱咤し、目を覚まさせた声。
けれど、彼はもう居ない。
他でもない、自分がそう仕向けた――はず、なのに……。
「東城大付属病院を倒産させ、民事再生法の適用を申請するんです。そうすれば、この病院は総務省の管轄下に入る。いかに警察庁の無声狂犬といえど手を出せなくなる。そして――」
彼は無造作に拾い上げた書類を握りつぶす。
「病院の再建なら、僕の出番です」
「君が……、助けてくれるというんですか……?」
茫然とする高階の目の前で、彼――世良雅志は微かに目を逸らす。
「正直、もう二度とこの地の土を踏むつもりはありませんでした。でも、僕の中に残ったあの人の思いが言うんです。『桜宮に再び桜の苗木が植えられ、抜き去られようとしているのを、黙って見ているのか』と――」
時が流れたのだ、と思った。自分がこの東城大で時を刻んできたように、彼もまた、何処かで、必死に何かを守ろうとしてきたのだろう。
「世良君は、変わりませんね」
そう言うと、世良はきょとんと目を丸くした。
「むしろ、別人みたいに変わったって言われますけどね」
その言葉には納得する。世良が極北市民病院の院長に就任した後、何度か、TV画面を通して見たが、その姿は、かつてこの地に居たある男の立ち振る舞いを彷彿とさせる。けれど、今なら解る。彼もまた、命よりカネが大事だなどという身勝手な物言いの下に、本当に真摯な思いを抱えていたのだ。彼らはきっと、共鳴し合っていたのだ、と。
「いいえ、心根は何も変わっていませんよ」
それを聞いた世良は微かに頬を緩めた。そのとき、ノックの音がしたので、高階は入室を許可する。
「失礼します。すみません、世良先生は……?あ、先生、酷いですよ!階段の途中でいきなり走り出すなんて……」
「今中先生が運動不足なんだよ。たかだか、4階でエレベーターなんて使ってると、あっという間に太っちゃうからね。メタボの所為で大学病院を追い出された今中先生がメタボとか、笑い話にもならないよ」
ドアを開けたのは、大柄な男だった。縦にも横にも大きい。さすがにメタボとまでは言わないが。彼は息を切らしながら、世良に抗議する。それを聞いた途端、世良がぱっと破顔して、憎まれ口を叩きだしたのを高階は驚いて見つめた。
「高階先生、うちの外科部長の今中です。こちらは、僕の恩師の高階病院長」
慌てて名刺を出そうとする今中に世良はあっさり言う。
「挨拶も済んだし、帰ろうか、今中先生」
「えええ?!まだ、良いじゃないですか。どうせ、戻ったって、お茶飲みながらワイドショー見るくらいしかすることないんですから」
「……今中先生ってさ、本当に空気読めないよね」
思わず、高階は吹き出した。
「世良君は、今も昔も背の高い人が好きですね」
何でそんなことを言ってしまったのかは、高階自身にも解らない。
「……そんなこと、ありませんよ」
世良が、自分より僅かに目線の低い高階をちらりと見て、ぼそりと言った。
色褪せた思いを、その瞳の奥に浮かべて。
颯爽と東城大学医学部付属病院の歴史の中を歩き去ったあの男が現れなければ、もどかしくも切なく持ち寄っていたその感情を、互いに口の端に上らせたりもしたのだろうか。
何にせよ、モンテカルロの一つ星が、そんな淡い関係など木っ端微塵に粉砕してくれたのだが。
『ジュノ』
あの男がそう言う度に、虫唾が走った。
そんな無礼千万な呼び方で、気づけばあっさりと世良を自分の手中に収め、何処に行くにも当り前のように連れ歩いた。
しかも、理不尽なことには相手が誰でも怯まずに噛み付く世良が、不満そうな顔をしながらも、どんなに逃げ場を用意しても、最終的には必ず彼を受け入れるのが、更に高階を苛立たせた。
私怨が全くなかったとは言えない。
いつか、自分は断罪されるのだと思っていた――
本当に、中途半端だなぁ。対今中先生モードの世良ちゃんの喋り方が、drm白鳥さんと書き分けが出来ないのは、最早潔く諦めました(笑)