忍者ブログ
テレビ先生の隠れ家
カレンダー
08 2025/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
カウンター
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者アナライズ
[299]  [298]  [297]  [296]  [295]  [294]  [293]  [292]  [291]  [290]  [289
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

そういえば、書き忘れてましたが、ビーンズファームでトラジャ飲みました。苦味が殆んどなくて、すっごくマイルドでした。あれなら、利きコーヒーできるかも。私は結構好きだな。さすが、幻のコーヒー!

高世良再会話完結編です。こんな結末だったらいいなって。時間軸は極ラプ、JTの「突然の来訪者」後です。ネタバレ含みます。

拍手[3回]


「お招きありがとうございます、速水君」
「まさか、本当に来るとは思いませんでした」
 定形の挨拶の出鼻を挫くような返答をした速水を、高階は呆れたように見る。これで、本人は全く悪気なく、「大変なところをよく来てくれた」くらいのニュアンスで言ってるのだから手に負えない。
 ――全く、相変わらずというか、何と言うか……。
 この様子では、生活リズムの方も、オレンジ新棟の部長室に沈んでいたときと大差ないに違いない。
「もう落ち着いたんですか?」
「ええ。良い機会だったので、後継者候補に押し付けて休みをもぎ取って来ました」
 本当なら、休みどころか、とんずらするつもりだったのだが、そんなことをわざわざ言う必要もないだろう。そういえば、速水も『彼』にしてやられたのだった。そんなことを思ったら、『後継者候補』という言葉に首を捻る速水に奇妙な親近感が湧く。
「此処の居心地もそんなに悪くはないんじゃないですか?」
「寒いです」
 以前、東城大に顔を出したときに見破られていたので、最早隠すこともないと思ったのだろう。速水はすぱりと答える。端で聞いていたら、全く話が噛み合ってないと笑われそうな会話だと思い返して苦笑した。
「3年経ったら戻って欲しいと思っていましたが、肝心のオレンジがなくなってしまいましたしねぇ」
 東城大再建のため赤字部門を整理した際、ICUは外科に統合されてしまった。今、そこを仕切っているのは、速水が救急の心得を叩き込んだ部下だ。
「オレンジか……。あの花も結局咲かなかったんだな」
 速水が小さく呟いた。
「え?」
「いえ、こっちの話です」
 高階は溜め息を吐いた。
「あれもこれも誤算だらけです。行った施策は殆んど無効化されてしまい、敗戦処理は山積み――今の東城大は、見るも無残な張りぼての巨塔です」
 速水が今更のようにソファを勧めたので、高階は腰を落とした。
「桃倉センター長は、徐々に患者たちも戻って来てると言ってましたが」
「確かに、ぎりぎり経営は繋ぎました。しかし、理想の医療には程遠い。私は時々思うんです、桜宮の命脈は疾うに絶たれていたのではないか、と」
 速水は鋭い視線を上げた。
「それは、高階先生がスリジエを抜いた、あのときのことを言ってるんですか?」
「……」
 高階は答えない。それは肯定を意味していた。
 そのとき、応接室を乱暴にノックする音がした。
「将軍ちゃん、お客様だよ」
「どうぞ」
「客?」
 ドアを開けた桃倉は、高階の姿を見て動きを止めた。
 告知もせず、なるべく人目に触れないように高階を連れて来た速水は素知らぬ顔でそっぽを向く。咄嗟に反応できずに居る桃倉の後ろで人影が揺れた。
「桃倉センター長、どうかしたんですか?」
「いや、何、その……」
 聞こえた声に、高階は耳を疑った。
「世良……君……?」
 年月を経て尚、聞き間違いようのない声だった――
「え……」
「速水!」
 高階の声に、息を飲む気配。明らかに動揺した声。
 速水の思惑に気づいた桃倉が声を荒げたが、高階は思わず立ち上がっていた。
「世良君なんですか?!」
 おずおずと世良が応接室の入り口に姿を現す。丸眼鏡が室内灯を反射し、その表情はよく分からない。実際に見ると、随分と痩せたな、という印象が強く焼きつく。
「お前……」
「ちょっとダブルブッキングしただけじゃないですか」
 速水は平然とソファに身体を預けた。
 桃倉は、そんな速水を睨みつけながらも、高階と世良を交互に見る。
「久し振り、ですね……」
「はい……」
「最近はマスコミの報道も一段落しているようですが、少しは落ち着きましたか?」
「はい……」
 何とか平静を装いながら声をかける高階に応じる世良は、心此処にあらずという面持ちで頷くばかりだった。
「俺はずっと高階さんに聞きたかったことがあるんですよ」
 唐突に速水が口を開いた。話の接ぎ穂を失いかけていた高階は顔を上げる。何か言いかけた桃倉も、その様子を見て口を閉じる。世良はぼんやりと速水に視点を合わせた。


速水を使ってしまうのは、今世良で世良花をサポートした彼のイメージから。最早、どうしても彼を主役になど出来ない病。
次回完結!二人に再会して欲しい思いを込めて!!


PR
忍者ブログ [PR]