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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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90年代初頭、「ゴースト」っていうアメリカ映画がヒットしましてですね、いわゆる幽霊モノのハシリで、まあ、粗筋なんかはSS内に書いたんですが、それの展開というか、設定を使用してます。
しかし、天ジュノで今世良で18禁で、ってなると、世良ちゃんの貞操観念どうなってるのって感じにもなってくるので、ちょっとその辺抵抗のある方は避けていただいた方が無難かも知れません。

拍手[1回]



 院長室の前で、一息吐いてからノックをする。
 直ぐに返事がしてドアを開けると、机で作業をしていた世良が微かに口元を歪めたのが見えた。どうやら、呼び出しの用件は仕事の方ではないらしい。
「ねえ、今中先生。今夜、そっちに行っても良い?」
 楽しげに問いかける世良に、今中は近づくのを躊躇する。
 世良が今中の部屋で意図していることが何か、はっきりと分かっている。
 けれど、そこに進むことを押し止める自分が居た。
 ――だって、男同士じゃないか……。
 そんなに簡単にその一線は越えられるものではない。
『それは問題ない。ジュノは大丈夫だ』
『それならば、押し倒して一気に……』
 あの幽霊はそう言って嗾け、結果、今中は、世良と自分との間に仄かに宿った気持ちを掬い上げることになった。
 しかし、それとこれとは別問題だ。
 傍に居て支えるだけなら、そんなことまですることはないだろう。
 その先を考える度、怖気づく気持ちを、そうして今中は正当化していた――
「そっちに行って、何をするんだ?」
 澄んだ声音に、突然、現実に引き戻される。
「あ、天城先生?!」
 思わず言葉にした今中を、世良が茫然と見た。しまった、と思ったが。
「天城先生……?」
「久しいな、ジュノ」
 世良の目が真っ直ぐに天城を捉えているのに、今中は驚いた。
 だが、かつて彼が言ったように、世良に天城の声が届いたというのなら、姿が見えるようになっていたとしても不思議はない。ただ、あのとき、『現世へ干渉する権利』を使って、本来戻るべき場所へと戻った彼が何故また現れたかという疑問は残るが……。
 そんな今中の思いを見透かすように、天城は笑った。
「久し振りに、ハイ・ウインドの気配が見えたんだ。大勝だったよ」
 笑う天城の表情は余裕に満ちている。成程、新たな権利を手に入れた訳か。しかし、問題は目の前の世良だった。何しろ、彼は、天城との関係も、その存在の理由も知らない。少し前に今中が、何とか二人を引き合わせようと四苦八苦していたことなど、想像もしていないだろう。
 そう思いながら、世良を見た今中は硬直した。
 泣いていた。
 あの傍若無人な院長が、と思うほど、無防備に泣いていた。
 そんな世良を、天城は優しく見つめていた。


「『ゴースト』という映画を知っているか?」
 不意に、天城が問いかけた。
 会話の飛躍についていけない今中の隣で、世良が涙を拭いた。
 首を傾げながら、懸命に思い出しているようだ。
「天城先生が来た頃のアメリカ映画ですよね?美和ちゃんと観に行った記憶があります」
 言われて、今中も思い出す。
「結構ヒットしたアレですね。親がビデオをレンタルしてきたのを脇で見たような……」
 思い出し始めると、意外と記憶は鮮明だった。
 確か、愛し合う恋人同士の物語で、男の方が殺されてしまい、ゴーストとなる。普通の人間には姿も見えず、声も聞こえなくなってしまった男が、狙われる彼女を守るために奮闘する物語だ。
 クライマックス手前の、濃厚なキスシーンは思春期の少年には、少し刺激が強かった、などということまで思い出した。
「セ・ブレ。肉体のないゴーストは、愛する恋人に触れることは出来ない。だが、それを可能に出来る存在が居た」
「インチキ占い師でしたっけ?」
 恋人に迫る危機を教えたい男が出会ったのが詐欺師の女性だった。
 彼女は彼の声を聞くことが出来た。彼は無理矢理彼女に協力させ、何とか恋人に信用してもらう。
 そして、物語の終盤。
 愛し合う二人が、互いを求め合うその場面で、彼女は男に自分の身体を貸すと言う。
「トレ・ビアン。そろそろ、私の言いたいことが分かったんじゃないかな?」
 天城は悪戯めいた笑みを見せた。
「天城先生、もしかして……」
 今中は恐る恐る切り出す。
 今回の『現世へ干渉する権利』は――
「ジュノに触れたい。最後にもう一度だけ、ジュノと愛し合いたい」
 天城の言葉を聞いた世良の目に、再び涙が溜まる。
「つまり、私の身体を使うってことですか?」
 今中は考え込む。
 あれほど、必死に避けてきたことを。
 天城は、今中の身体を使ってやってみせるという。
 しかし、曲がりなりにも、世良とは一応、恋人同士という関係になっている。恋人が、自分の身体とはいえ、心情的に他の男とセックスをするという事実には抵抗がある。
 そこまで考えて、何だ、自分にも独占欲があるのだなと、今中は一人妙なところに驚いた。
「嫌な思いをさせることには違いない。無理強いはしない」
 天城は柔らかい笑みを湛えたまま、きっぱりと言った。
 そんな天城を、世良は切なそうに見る。
 今中は、件のインチキ占い師の気持ちが良く分かった。
 少しばかり蓮っ葉な彼女が「勝手にしなさいよ!」といったようなことを言いながら、その身を差し出した瞬間の想いが今中の中に広がったからだ。
「私の身体を使ってください」
「今中先生……」
「済まない。今回は、本当に申し訳ないと思う」
「一つ、教えてください。私の意識はどうなるんですか?」
「身体が自由にならない状態で、全てを見て感じることになる。嫌なら、断って良い」
 それはつまり、天城に抱かれる世良を眼前で見ることに等しい。
 世良はきっと、甘やかな声で天城を呼ぶのだろうと思うと胸が痛いのだが、世良の気持ちを考えると、自分の我が儘で無にすることも苦しい。
「構いません。でも、それは逆に、私が二人の……その、場面を見るということですよね」
 分かっていて、その提案をした天城はともかく、世良は嫌なのではないだろうか?
 そう思って、世良を見たが、彼は天城の姿に釘付けで、そんな些細なことなど問題でないように感じられた。
「世良先生が良いなら……」
 今中は思い切るように言う。
 世良の天城への思いの深さは、今中にも薄々感じ取れている。恐らく、その思いが埋まることはない。
 天城との死別は、そこまで世良にとって辛いことだったのだろうと思う。
 それでも、今中は世良の傍らに居ることを選んだ。
 そして、世良は天城への思いを抱えながら、何処か一部分で今中を認めてくれた。
 その立ち位置を今中は容認した。
 ならば、これだって、その思いの一つの形だ。
 胸の痛みを押し遣り、真っ直ぐに天城を見た今中に、天城が小さく、メルシ、と呟いた。その手が真っ直ぐに今中へと伸びる。すっと天城の姿が消えた。
 何がどうなった訳でもない。意識の途切れも、痛みもなかった。だが、次の瞬間、今中の意志とは関係なく、身体が動いた。その視界に世良が映る。
「ジュノ」
 今中の唇が勝手に動く。
「天城……先生、なんですか?」
「ビアン・シュール。姿が違っても、直ぐに分かるだろう」
 世良の瞳は熱っぽく、今中が一度も見たことがないものだった。そして、堪らなくなったように飛びつき、その身体にしがみ付いた。
「天城先生、天城先生……!」
 今中の――いや、天城の手の平がそっと、そんな世良の髪を撫でる。
「俺は……、俺は、ずっと……!」
「分かっている。だから、もう何も言わなくて良い」
 天城は、世良の顎を持ち上げた。世良は大人しくその言葉に従い、小さく背伸びをして口付けを受け入れた。


 唇は、その感触を確かめるように何度も重なった。
 天城は開いた手で世良の眼鏡を外すと、何度も髪や頬を撫で、その刺激に彼は小さく身を震わせた。たったそれだけのことで、その肌は薄っすら上気し、苦しげに息を継いでいるのが分かる。
 口付けが深くなると、天城の舌は、世良の口内で巧みに動いた。
 上顎を舐め、歯列をなぞり、舌を絡め取る――どうやら、キスというものは、舌そのものの長さや形ではなく、動かし方一つでその効果が変わるものらしい、なんてことを、目の前で蕩けている世良を見ながら思った。
 それは不思議な体験だった。口淫の快感は、今中にも確かに感じられるし、身体もしっかり反応している。
 しかし、身体が自分の意思で動かない所為なのか、目だけがぼんやりと恋人の媚態を観察している。
「んんっ……」
 世良が甘い吐息を漏らす。
 胸にちくりと痛みが走った。こんな風に、素直に快感を表現する世良は可愛いとは思う。しかし、その瞳が映しているのは自分ではない。
 天城の手がシャツの下から入り込み、脇腹を撫で、胸の突起を弄る。その刺激に、世良は啼くような声で答えた。男も愛撫で感じるなどとは知らなかった。世良に誘われるようになってから、男同士のやり方も調べてはみた。もっとも、それを自分達がすると思った途端、どうにも居た堪れず、その先を考えるのは止めてしまったのだが。
 しかし、それを自分であってそうでない存在が今正に行っているなんて、何という皮肉なのだろう。
「あ、まぎ……せんっ……」
 世良が泣きそうな声で訴える。
 指先が縋るように天城にしがみ付く。潤んだ上目遣いの瞳に訴えられ、どきりとする。
「言いたいことがあるなら、ちゃんと言わないと分からないぞ」
 耳を打つのは確かに自分の声なのに、少し気取ったその声音で聞くと、他人のもののようだ。世良も同じだったらしく、びくりと震える。
「……意地悪、言わないで……くだっ……」
 世良は世良で、まるで別人のようだ。思わず、可愛いと思ってしまったが、天城は素知らぬ顔で首筋に舌を這わせている。世良は逃れようと身を捩っていたが、とうとう我慢出来なくなったのか、そこに手を伸ばしてきた。服の上から握り込まれて、咄嗟に声が出そうになったが、身体を支配している天城がぴくりとも動かないので、醜態は曝さずに済んだ。世良が吐息交じりに声を漏らす。
「……まぎせんせ……の、これが、欲し……っ」
「ちゃんと教えた通りにできてるな。良い子だ」
「ぁふっ……」
 ご褒美とばかりに、屹立を撫で返された世良の身体が跳ねる。
 教えたって、というツッコミはあっさり無効化された。
 もっとも、声が出ないので、そんな疑問が湧いたことすら誰にも伝わっていないのだが。
「辛そうだな、ジュノ。1回出すか?」
 天城が気遣うのも尤もで、初めて触れる世良のそれは張り詰め、今にも弾けそうになっているようだ。呼吸も、先ほどから浅く苦しげだ。目を逸らしたいが、支配する天城の意志がそれを許さない。
「だいじょ……ぶ、です……」
「そんなに心配しなくても、まだジュノを一人にしたりしないさ。本番はこれから、だろう?」
 汗まみれの頬を撫でられた世良は、それでも不安そうに表情を曇らせた。
 感情の交錯する切ない視線に、天城は小さく笑みを見せる。
「だったら、二人でイクか」
「え……?」
 言うなり、天城は慣れた手つきで世良の衣服を下げ、零れる先走りを全体に塗りつけた。世良が吐息を飲み込みながら震える。ほら、ジュノも、と促しながら、天城はその耳たぶをねっとりと味わう。世良の震える指が天城のベルトを外し、その奥へと侵入する。
「……気持ち、いいですか?」
 天城を真似るように手を動かす世良が、熱い吐息を漏らしながらも心配そうに尋ねる。上手だと褒めると、熱に浮かされたような笑顔を見せた。愛しい、と思う気持ちは天城も同じだったのだろう。
 気づけば、再び唇が重なっていた。
「……う……、あぁ……」
 深く口内を犯しながら、擦る手を早める。
「……っ……」
 激しい快感に、世良の指は天城自身から離れて、空を掻く。
「あ……ぅん……っ!」
 その背が大きく震え、世良は天城の手の平に思いの丈を吐き出した。


というエロパートのまま終わる。次回は今世良で、最終回のつもり。
天城先生の見た目が今中先生とか、何か笑っちゃうんですが、映画だとそこはちゃんと男優さんが演じてるので、想像の中も天城先生にしていただけると助かります。若しくは、院長、眼鏡外してるから見えてないという近視設定で頼んます…。

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