テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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今年は絶対、七夕書いてやる、と思って、相当早くからネタ出ししてたんですが、全然出て来ない…。理由は、帰還シーンを何度も読み返してて分かった。原作だけで十分萌えるんだよ。救命で何度も院長思い出す今中先生とか、何でそんなに今世良推しなんだよ、な速水とか、戻ってきた瞬間までツンデレ全開な院長とか…。何か、七夕企画やるなら、2次書くより、二部の感想を只管書いた方が面白いんじゃないかとすら思えてきた。が、それも多分私だけが楽しい企画になりそうなので、無理繰り搾り出したネタ上げます。残念ながら、自分的には不完全燃焼――とか、もだもだしてたら、2、3日前くらいからぽんぽんネタが浮かんできて、「何で、今頃…?!」ってなってます。クリスマスもそうだったし、四月馬鹿は2日前に思いついて1時間クオリティだったし、やっぱりリミットのある時節物は相性悪いんだよなぁ…。まあ、思いついたネタは、さすがに来年、ともいかないので、後からこそこそっと上げます。
と、長々言い訳しましたが、七夕今世良。珍しくエロがない…!
と、長々言い訳しましたが、七夕今世良。珍しくエロがない…!
「やだやだー」
今中が電車を待っていたら、子供の声がした。見れば、売店で買い物中らしい母子が何か揉めているようだ。
「ハイパーマンのは売り切れだから仕方ないじゃない。ほら、こっちも同じチョコ。チョコ好きでしょ?」
「いらない。ハイパーマンのじゃなきゃいらない!」
「そんなこと言わないの」
泣き喚いている訳ではないのだが、母親が困り果てているのを周囲は気の毒そうに見て、直ぐに目を逸らす。小学校に上がる少し前くらいの男の子だろうか、ぎゅうっと小さな指を握り締め、唇を引き結んでそっぽを向いている。
「もう……!そんな聞き分けのない子には何も買ってあげないわよ!」
その言葉に、子供の頬がぴくりと動く。けれど、より頑なに。泣く直前のような顔で、全身で拒否した。譲らない子供に、今中と同じくらいだろう母親は小さく息を吐いて、自分の買い物を始めた。
「それなら、もう帰るわよ」
「うう……」
――きっと、本当は、そのチョコでも良いって言いたいんだろうな……。
けれど、面白くないから、お母さんを困らせたい。
怒らせたい訳じゃない。甘えたいだけで。
でも、こんな態度を続けていたら、良いことなんて一つもない――
そんなことを考えながらぼんやり見ていたら、母親がさっとお菓子を店員に手渡した。
――うわ……。
子供は気づかなかったようだ。
何だか、今中の気持ちまで温かくなった。
――さすが、母親だなぁ。
きっと、後で、本当はあれで良いから欲しかったと後悔する頃、「だから、言ったでしょ」と魔法のように取り出すのだろう。
――良かったな。
何処か遠くに自分の敵がいるかのようなへの字口に、心の中で呼びかけた。
目的地は、極北救命救急センター。
赴任初日から、ドクターヘリにサロマ岬に置き去りにされてしまった今中は、雪見への帰還を図っていた。行きは1時間とかからなかったフライトも、電車を乗り継げば数時間の道のりだ。もっとも、田舎特有の接続の悪さの所為もあるのだが……。
電車に乗ってしまえば、特にすることもない。
窓の外を見たが、ひたすらに大自然が広がっているばかりで直ぐに飽きた。
雑誌でも買ってくれば良かったと後悔し、ふと駅の売店の親子連れを思い出す。
――あの子は、ちゃんとチョコをもらえたかな……?
気の強そうな表情を思い出していたら、ふと世良のことを思い出した。
――って、何で世良先生……?!
穏やかな物腰や、余裕たっぷりで人を食った態度、何処までも先を見通す皮肉な笑み――何一つ思い出す要素なんてないのに。不思議と子供の顔があの院長と重なる。たった3日しか経っていないのに、世良が自分に向かって手を差し出した姿が無性に懐かしく感じられた。今中は小さく息を吐き、背凭れに寄りかかる。
――本当に大丈夫だろうか?
先週末からの上司の動向を思い出す。
心配する今中を見て、涙が出るほど笑った人。
『潰せばいいんだ、こんな病院』と、いとも簡単に言い切ってみせた姿。
本人の了承もなく、無期限のレンタル移籍を突きつけた手紙。
「酷い、人だよなぁ……」
やっていることには確かに意味があるのだろう。
そこまでしなければ、この滅茶苦茶になってしまった極北の医療は治療できないのかも知れない。確かに、合理性も整合性も論理性もある。
けれど、心情的に納得できない部分は何処か残り。彼の態度には、ざらりとした肌を傷つけるような不快感が付き纏う。
――だから僕に感謝する必要なんてないんだよ。
――大切な持ち駒だ。
怜悧な、突き放すような言葉。
無頓着で無神経なそれは悪意に満ちている。
そう、悪意だ。
他人を傷つけることを意図して吐かれた発言。
そして、その対象は紛れもない今中だ。
嫌われている、というなら、心情的には穏やかではないが、まだ納得できる。
けれど、だったら――
「最初から追い出してしまえば良かったんだ」
あんな風に、講演会や市長の懇親会に今中を連れ回す必要などなかったはずだ。
連れ歩いた先で様々なものを見せ、自分の見解を語ってくれることなんて。
それでいて、その先で、必ずと言って良いほど今中を突き落とすのだ。
だから、分からなくなる――
今中は、世良が赴任してきてから幾度も繰り返した疑問を再び頭の中で転がしながら、窓ガラスに頭を押し付けた。
あわよくば、睡魔を待ちながら。しかし、眠りは訪れることなく、無情に乗り換えの案内が響き渡る。今中は、不自然に曲げ過ぎて痛くなった首を捻りながら、開くドアの前に立った。
「将軍には今中先生は里心がついて市民病院に逃げ帰りました、と報告しておく」
肩を叩かれ、そちらを見ると、伊達がその言葉を残して今中の脇を通り過ぎて行った。
ドクターヘリのスタッフたちは各々に、自分の仕事へと戻って行く。今中は世良を見た。やっぱり、以前より痩せたように見える。
「世良先生、私はここに必要ですか?」
「そりゃあ、いてくれた方がありがたい。でも、今中先生が極北救命救急で救急対応してくれるなら、そして今中先生がやり甲斐を感じているなら、ここは僕ひとりで大丈夫だ」
「じゃあ私は、この病院には必要ないんですね」
何故だろう、今の世良なら押し切れる気がする。
酷く頼りなくて、苦しげで、寂しそうで――
「市民病院は、世良先生ひとりで支えていけるんですね」
「……」
いつもの世良なら、こんな今中の発言などあっさりひっくり返して、平然とからかってくるはずだ。少なくとも、今中が救命センターに行く前ならそうだった。
――いらない。ハイパーマンのじゃなきゃいらない!
いきなり耳元に蘇ってきた声に、今中ははっとする。売店の前で強がっていた子供の顔が浮かんだ。
――ああ、そうか……。
今中は、目を逸らし、俯く世良を真っ直ぐに見る。
――全部、裏腹なんだ。
何をきっかけにそんな風に考えるようになってしまったのかは知らない。
本当は、それでも仕方ないと分かっているのに――
『ハイパーマンのじゃなきゃ……!』
それでなくては駄目だとひたすらに言い張り続ける頑固な姿。そんなに頑なに望み続ける、一体どんな願いがあるというのだろう。傍で手を差し伸べようとするあらゆるものに背を向けてしまうほどに。
けれど、あの母親は、そんな子供のわがままなどあっさり見通していた。
――世良先生の本当の望みはあげられない。
でも。
――代わりのチョコくらいにはなれますよね?
もう一度、今中は強い口調で問いかけた。
「本当に、私は必要ないんですか?」
世良が本当に首を振ったかどうかなど、どうでも良かった。
今中は赤いツナギを脱ぎ捨てる。そして、ヘリのドアを開けた五條にそれを渡すと、浮上していく機体を見送った。
「今中先生、院長室まで」
――だから、こんな狭い病院で全館放送まで使わなくても……。
今中は溜め息を吐いて、軽く頭を掻き毟り、院長室へと足を向ける。
『本当にバカだな、今中先生は』
微かに詰まったような、掠れた声音で迎えてくれた人は――
「遅い!呼び出しから何分かかってるんだよ。その図体は飾りなの?」
ドアを開けた瞬間ぽんぽんと小気味良く飛んでくる言葉に、今中は首を竦めた。全く、あのときのしおらしさは何処に消えたのだろう。
大体、本人は院長室の椅子から一歩も動いてもいないのに、こっちの速度にどうこう文句を付けられる筋合いなどないはずだ。
「医局で作業中だったんです。これでも、急いで来たんですから……」
不満を乗せたはずの声は、宥めるような響きで口から空気に伝染していく。仕方ない、これも性分というものなのだろう。
世良はそんな今中を詰まらなそうに見ていたが、気を取り直したように、不意に手招いた。
「ちょっと、今中先生。こっち来て」
「何ですか?」
「相変わらず、鈍いんだから。そっちからモニター見えるの?」
「見えませんけど……」
「じゃあ、さっさとこっちに回って。ほら、もたもたしないで」
「は、はい……」
慌てて、言われるままに世良の隣りに立つと、身体を縮めてモニターを覗き込んだ。
メールソフトのようだ。件名がずらりと並んでいる。上司宛のメールを見て良いものなのだろうか?でも、世良が見ろと言っている訳だし――
「ね、この通り」
ご機嫌な世良を、今中は良く分からずに見返す。
「ええと、これは……?」
今中の質問に、世良は眉間に指を当て大袈裟に息を吐いた。救いようがない、と言わんばかりだ。
「この件名とバラバラなアドレスを見てもぴんと来ないなんて、今中先生も良くこれまで世の中を渡ってきたよねぇ――これは、この間の動画配信会見以降の、僕のブログに対する読者の反応だよ。きちんと読んでくれてる人は、僕達の立場をちゃんと理解してくれてる。中には、朝売新聞や市役所に厳しい批判の意見を送ってくれてる人も居るみたいだよ」
かちゃかちゃとマウスが滑り、幾つか開かれたメールには、ちらりと見ただけでも熱心で丁寧な文面が綴られているのが分かる。
「そうですね。でも、あの……、呼び出しの用件ってこれですか?」
世良のブログは今中もたまに見ているが、その反響など突然見せられても反応に困る。
しかも、3階からわざわざ呼び出されるほどの用事だろうか。まして、此処までの速さがどうの、と言われる問題でもない。幾ら暇でもこれはちょっと勘弁して欲しい。
そんな今中の態度に、世良は心外だという様子で反論した。指は忙しく、開いたメールを片っ端から閉じていく。
「ああ、そう。今中先生が此処のことを随分心配してたみたいだから、こういう追い風もあるよって教えてあげたのに。この程度のことで呼び出すな、なんて偉くなったもんだねー、今中先生も」
ほら、もう出てって良いよ、とひらひら手を振る。
「え……?」
今中は世良の言葉を脳内で反復する。
要約すると、世良の主張を理解してくれている人もちゃんと居るということを、今中をわざわざ呼び出して教えてくれた、ということだろうか?てっきり、またいつもの気まぐれだったのかと、と納得しかけて、小さく目を見張る。
こんなこと、初めてじゃないだろうか――
「うわ……!まだ閉じないで、もっと良く見せてください!」
「嫌だよ。僕、忙しいし」
面白くなさそうな口調は、明らかに拗ねている。
「私が悪かったですから!どんな内容なのか、メールを見せて欲しいです!!」
「まあ、今中先生がそこまで言うなら仕方ないか」
必死に謝ると、世良はあっさり引いた。少し椅子をずらして、今中に正面を譲ってくれる。
中腰で少し辛いが、この際我慢することにする。
少しばかり目線をずらすと、メールを選ぶ世良の穏やかな表情がある。
――もう少しくらいは、此処に居てくれるつもりなのかな……。
こういった意見が功を奏したのか、それとも元々ガセネタだったのか、新院長物色の話も全く出て来る気配はない。
最近では、世良も鋭い舌鋒を取り戻し、何やかやと今中に絡んでくる。
けれど、明らかに――
「訪問介護についての質問が多いから、次のブログの連載のテーマにしようかな」
ぽつりぽつりと呟く言葉の中に、継続する時間を思わせるフレーズが増えていることにこの人は気づいているのだろうか?
「……ちょっと、今中先生!」
「は、はい……!」
今中が市民病院に戻って1月。相変わらずの調子のようで、ほんの少しばかりの変化を見せる時間を回顧していたら、不意に名前を呼ばれた。どうやら、有り難いご高説は続いていたらしい。
慌てて返事をしたが、他所事を考えていたのはバレてしまっている。
「今中先生が見たいって言うから説明してるんだけど――何なんだろうね、その態度は?」
「す、すみません」
世良はマウスから手を離す。今度こそ、会話を続ける気を失くしたようだ。
「ホント、こんな調子で大丈夫?今中先生を、受け継ぐ人間だって思ったのは買いかぶりだったかなぁ?」
「え……?」
「別に、こっちの話。もう、良いよ」
「いや、でも……」
「メールは後で転送しとくよ。暇なときにでも読んで、聞きたいことがあったら質問すれば良いさ。今中先生より遥かに見所のある人が沢山いるからね」
「うう……」
不機嫌になったのかと思ったが、口調に反して世良の表情は穏やかだった。
口元に笑みを浮かべ、可笑しそうに今中を見ている。
「まだまだ、今中先生には任せられないかな」
今中の内側にその言葉が浸透したときには、世良は目を逸らして、キーボードを叩き始めていた。
先ほど言っていたブログの連載の下書きか何かだろうか。それとも、新たな施策の根回しだろうか。何にせよ、それは今中には手が届かないこと――『任せられない』こと、だ。
――今は、それで良いです。
いや、それが良い。
そして、いつか、何かをさせようというなら、それに乗ってみせよう。
――貴方がそれを望むなら。
代わりのチョコだって、もしかしたら、結構美味しいのかも知れませんよ。
そんなことを内心で呟きながら。
今中は集中する世良を残して、そっと院長室を出た。
まあ、こんな解釈も有りかな、と。ホント、七夕は原作で十分。2次とか必要ない!
ちょっと、村上先生の本ネタ入ってます。とりあえず、読んだら入れとこう的な。
あと、色々悔しいので、遅刻になっちゃうけど、もう1本馬鹿な話上げる予定。
てか、ホント、2次要らない(2度目)皆、七夕は極ラプ読み返そう。不機嫌な表情をした院長とか、可愛過ぎる…!!!(ホント、それに尽きる…)
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