テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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「今中先生、居ないのー?」
暗い部屋に向かって呼びかけてみたが、返事が戻って来ないので、世良は構わず部屋に上がり込む。
出かけるような話はしてなかったし、こんな時間にふらっと思いつきで動くような性分でもない。珍しいなぁ、と部屋を覗き込んで、世良はぴたりと動きを止めた。
万年床の上で、幸せそうに寝息を立てている家主を発見したからだ。
「ちょっと、ちょっと、まだ10時なんだけど……」
とはいえ、今日来ることも言ってなかったので、彼に非はない。プライベートで何時に寝ようが、世良に口を挟む資格がある訳もない。
しかし、詰まらないのも事実だ。
折角、来たんだから、起きて構って欲しい。戻って出直す気など全くない世良は、躊躇い無く、今中を起こしにかかった。
「起きてってばー。可愛い恋人が来たよ、今中先生」
肩を掴んで揺さぶるが、ぐーといういびきに応えられた。業を煮やした世良は、寝技でもかけてやろうと布団の中に潜り込む。
密着した世良の鼻腔を嗅ぎ慣れた匂いが満たした。
――あ……、しまった……!
甘いコロンなどという気の利いたものどころか、いわば、体臭だというのに、思いがけず、それは世良の下半身を直撃した。要するに、感じた。その気になってしまったのだ。
――これは、もう、意地でも起きてもらわないと……!
今中先生の所為なんだからね、と一方的に責任を押し付け、鼻を摘もうとしたとき、今中が寝返りを打った。
そればかりか、腕が世良を絡め取る。気づけば、抱き締められている状況に世良は茫然とした。起きたのかと思ったのだが、相変わらず寝息は続いている。何なんだよ、と居心地悪くもぞもぞする。
「……世良、先生……」
その唇から零れた名に、世良は頭が真っ白になる。
次の瞬間、顔から火が出るかという勢いで頬が熱くなった。
今中が寝ていて良かった、と心底思う。
「……馬鹿」
ぽつんと呟く。起こしてやろうという気持ちは綺麗に萎んでいた。昂ぶった身体の方は少々キツかったが。
――まあ、我慢してればそのうち収まるだろうし……。
世良はそっとその背に腕を回して、目を瞑る。
どうせ、このままじゃ動けないし、だったら、たまには体温を感じながら寝てしまうのも良いかも知れない――
コンビニに買い物に出たら、道端に座り込んでいる犬が居た。
心細そうな目を落ち着きなく動かす様子に、迷い犬かな、と思う。
何となく放っておけなくて頭を撫でてやったら、ぴんと耳を立てて数歩下がった。
――何か、誰かに似ているなぁ……。
寂しくて不安で堪らないのに、手を伸ばすと逃れようとする。
それでいて、威嚇するでもなく、じっと此方を窺うような様子で。
だから、こんなことをしたくなるのだ――
がばりと抱き締めると、犬は暫くごそごそ動いていたが、やがて首筋を摺り寄せてきた。
ふと、思考の中で何かが繋がる。
――ああ、そうか。この犬、あの人っぽいんだ……。
「世良先生」
小さく呟き、背中を撫でてやろうとしたら、温かい何かが背中に触れた。
――あれ?何で……。
改めて抱き締めたものを見て、仰天した。
「せ、世良先生……!何で居るんですか?!」
腕の中に居たのは、上司であり恋人でもある人だった。
気づけば、カーテンの隙間から朝日が流れ込んでいる。
それで漸く、先ほどの犬は夢だったと気づく。
世良はうるさそうに顔を顰めてから、ぼんやりと目を開けた。
「週末だから折角来たのに、今中先生ってば、ぐーぐー寝てるしさー。まだ、10時だったんだけど」
「だから、来る前に連絡くださいっていつも言ってるじゃないですか!」
いつものやりとりを繰り返しながら、世良の目がふと今中の身体の一部分で止まる。
「今中先生、朝立ち?」
うわっと叫んで、今中は布団を引っ張る。
「僕を押し倒す夢でも見てたんじゃないのー?」
「ま、まさか……。ただの生理現象ですよ!」
抱き締めはしたけど、押し倒してはない。
その相手も、この人ではなかったし……。
今中は真っ赤になって否定した。
「若いねぇ」
そんな今中にふっと笑った世良は、茶化すように言ってその頬に口付けた。
何だかいつもと雰囲気が違う。
「どうしたの?何か言いたそうだけど」
「いえ……。ただ、今日は随分と機嫌が良いなって」
毒気のようなものがやんわりと抜けている気がする。
正直に言った今中に、世良は大袈裟に溜め息を吐いた。
「ホント、今中先生ってば朴念仁」
前言撤回。
素直に感じたことを伝えただけなのに、こんな言い方あんまりだ。
「遥々会いに来た愛しい恋人に対して他に言うことも、ヤることもあるでしょ」
「……何処までも単刀直入な世良先生には言われたくないんですが」
「はっきり言わないと分からないのはそっちじゃない」
こういうときの世良が絶対に引かないのを知っているから、今中は手っ取り早く、世良の手に掌を乗せ、そのまま唇を重ねた。
直ぐ様応えてくる世良の動きは確かに気持ち良くて、今中は夢中で世良を抱き締めていた。
しかし、次の瞬間はっとした。
背中に回された体温。温かい腕の感触。
それは夢の中で感じたものと同じ何かで。
そういえば、起きたとき、世良からも今中にくっ付いて来ていた気がする。
――ホント、今中先生ってば朴念仁。
拗ねたように漏らした世良を思い出し、今中は夢の中の犬にするつもりだったようにその素肌を撫で上げた。
書いてて思い出したんですが、以前一緒に働いていた人のお母さんが保健所から犬を引き取ったって話を聞いたことがありました。その子は二度も捨てられたらしく(何で分かったんだろう?)極度の人間不信になっていて、懐かないわ餌食べないわ噛むわで、飼い主さんも凄い手を焼いたらしいです。職場が変わっちゃったので、その後どうなったのか分からないんですが、少しは新しい飼い主に心を許せるようになっていたら良いなぁと思う。
しかし、ホントに犬って主人に思い入れるんだなぁ。勿論、どの動物も捨ててはいけないのだけど、犬は特に駄目だよ。切な過ぎる…。
まあ、何が言いたいのかというと、忠犬ジュノは年取って猫っぽくなってたと思ったけど、実は、人間不信な犬になっていたのかも、と。
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