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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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ダーク風味、天ジュノ。
内容より、ブラウザの設定によっては非常に読みにくいことが予想されるので、余りにも困難だと感じられた方は、拍手から「読みにくい」と送ってくだされば、文字色を青と紫にする、とかで対応致します(笑)

拍手[6回]


マンションの呼び鈴が激しく鳴り響いた。





「わ……!何なんですか?!」
 俺は慌てて、玄関のドアに飛びつく。
「ジュノ――」
 そこに居たのは、酒気を振りまく上機嫌な天城先生だった。
 驚く間もなく、腕の中に抱き込まれる。


「わ……!何なんですか?!」
 ドアの向こうの声を聞きながら、私はわくわくと待つ。
「ジュノ――」
 部屋から弾かれるように出てきたのは、今日も可愛いジュノだった。
 思わず、腕の中に抱きとめる。





「ただいま、ジュノ」
 ちゅっちゅっと音を立てて顔中にキスの嵐を受け、ひたすら焦る。
 このフロア全てが天城先生の敷地とはいえ、部屋の外であることに変わりない。
 誰かに見られたら、と思うだけで気が気ではない。
 懸命に天城先生から離れようとしたが、きつく抱き締める腕は離れない。


「ただいま、ジュノ」
 愛しくて堪らないこの気持ちを伝えるべく、キスの雨を降らせる。
 腕の中のジュノが驚きながらも、抵抗してみせる気配があった。
 大方、誰かに見られたら困るとか何とか考えているんだろう。
 私は逃がすまいと、もがくジュノを更に強く抱き締めた。





 本当に、どうしたんだろうか。
 今日は、佐伯教授に同行を命じられた酒席だとは言っていたけど。
 焦点の合わない目も、ふらふらの身体も、呂律の怪しい口調も。
 昼間からピンク・シャンパンを飲み続けても、顔色一つ変えないこの人が。
 明らかに、酔っている――



 
本当に、ジュノは分かり易い。
 今日は、佐伯教授に呼ばれたから、ジュノには留守番を頼んでおいたのだが。
 丸く開かれた目も、こちらを注視する気配も、茫然とした表情も。
 大袈裟にふらついて、回らない舌で名を呼び、寄りかかってみせる私の姿に。
 明らかに、騙されている――





「しっかりしてください。ベッドへ行きますよ」
 靴をどうにか脱がし、寝室へ向かう。
 自分より上背のある天城先生を支えるのは、思ったより大変でふらふらした。
 寝室に着くと、天城先生はベッドに勢い良く倒れこむ。
 巻き込まれるように、俺の身体もスプリングの上に跳ねた。


「しっかりしてください。ベッドへ行きますよ」
 靴を脱がしてくれたばかりか、身体を支えて寝室まで連れて行こうとする。
 言い方は冷たいジュノだけど、結構世話焼きで甲斐甲斐しいところもある。
 しかも、寝室に大人しく入ってくれるなんて、好都合だ。
 巻き込むように、ジュノの身体諸共スプリングの上に転がる。





「ジュノ。ジュノ……」
 抱き締められ、息も出来ないくらいのキスをされた。
 ――まだ、心の準備も出来てないのに……。
 天城先生とは何度かこういうことをしたけど、今でも慣れない。
 いつも、身体の奥から溢れる訳の分からない波に滅茶苦茶になってしまう。


「ジュノ。ジュノ……」
 腕に閉じ込め、私を知らしめるようにキスをした。
 ――また、そんな苦しそうな顔をする……。
 ジュノとは何度かこういうことをしているのに、未だに見えない。
 いつも、喉の奥から搾り出すような拒絶にも似た声に迎えられてしまう。





「ジュノは……」
 漸く離れた唇に目を開けると、天城先生の熱に浮かされたような視線が絡みつく。
 心臓がどくりと大きく鳴る。
 突然に、唐突に、俺はその瞳に服従したくなった。
 操られるように、知らず、俺は口に出していた。


「ジュノは……」
 激しく唇を貪って、苦しげに呼吸を整えるジュノが目を開くのをじっと見つめた。
 切ない溜め息が唇を割る。
 突然に、唐突に、身を斬られるような寂しさが身体を支配した。
 操られるように、知らず、私は口に出していた。





「佐伯教授は、救急センターと初期研修システムを天城先生に統治させる、って」


「ジュノ、クイーンを裏切り、私に忠誠を尽くし、私だけのものになれ」





「え……?」
 俺は幾度も目を瞬かせた。
 天城先生と俺の声はぴったり重なって、その内容は聞き取れなかった。
「今、何と言った、ジュノ?」
 聞き返す天城先生にも、俺の声は届かなかったようだ。


「え……?」
 私は、ジュノをまじまじと見る。
 ジュノと私の声はぴったり重なって、その内容は聞き取れなかった。
「今、何と言った、ジュノ?」
 見つめ返すジュノにも、私の声は届かなかったようだ。





 ――良かった……。
 俺は小さく息を吐く。
 高階先生に命令されていたのに、危うく伝えてしまうところだった。
 こんなに酔っ払った天城先生に言ったって仕方ないのに。
 けれど、もしかしたら、俺の中の罪悪感がそうさせたのかも知れなかった。


 ――これで、良い……。
 私は黙ってジュノを抱く。
 人のこころは力なんかでは縛れない。
 無茶を言えば結果的に互いの思いに亀裂を生むだけだ。
 けれど、酔った振りをしてまで私はこれを伝えたかったのかも知れなかった。




――だけど、そんなこと、本当に言える訳がない……。





天城先生の台詞がほぼ「ジュノ」しかない(笑)呼び過ぎ。裏テーマは「ジュノ」だけで、いかにニュアンスを変えて語れるかです(嘘です)
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