テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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どんだけ七夕書くの、っていうか、もう、7月終わるんですけども…。
今世良クラスタは1年中いつでも七夕書いていいよ、とか言ってたけど、そろそろ恥ずかしい。
でも、まだネタあんだぜー。むしろ、半年後とかにやった方が、先取り!みたいでいいんじゃね?(正月かよ)
とりあえず、あんまり書いたことがない世良ちゃん視点。しかも、結構まともで真面目(と言いながら、天城先生の名前を出すと、際限なく病み始める件)
あ、でも、今世良馴れ初めの中で似たようなの書いてましたね…。
今世良クラスタは1年中いつでも七夕書いていいよ、とか言ってたけど、そろそろ恥ずかしい。
でも、まだネタあんだぜー。むしろ、半年後とかにやった方が、先取り!みたいでいいんじゃね?(正月かよ)
とりあえず、あんまり書いたことがない世良ちゃん視点。しかも、結構まともで真面目(と言いながら、天城先生の名前を出すと、際限なく病み始める件)
あ、でも、今世良馴れ初めの中で似たようなの書いてましたね…。
3階の医局は主を失い、沈黙していた。
世良は傍らの机の上のパソコンを起動させ、その前に座る。
立ち上がるのを待ちながら、片肘をつき、指先で軽くこめかみを押した。
ここ数日は、殆んど眠れていない。隙間の時間にふと意識が途切れたりもするが、それも一瞬で再び覚醒状態に戻る。
目を開けると、デスクトップには見渡す限りの雪原が広がっていた。
――ホントに雪山が好きだなぁ。
思わず、口元が緩む。さすが、極北に来たときにもスキー板が一番の大荷物だったと言っていただけのことはある。
近いうちに、そのスキー板も雪見市に送ってやった方が良いんだろうか。
――元気かなぁ……。
まだ、たった数日だ。慣れない環境での疲労の蓄積が出るなら1月は先だろうし、さすがに事故や何かがあったら連絡があるだろう。
――便りがないのは元気な証拠。
まして、自分を半ば追い出した元上司に今の職場の状況を逐一報告などする訳もない。
それ程に無神経なやり方をした自覚くらいはある。
『今、私がこの病院を離れたら、世良先生は逆風に潰されてしまうかもしれません』
でも、きっと――
本当の気持ちを言ったら、彼は行かなかった。
遠くに響く救急車のサイレンを聞く度、耳を澄まし、途方にくれた顔をする。
市役所、救急センター、患者たち――彼らの希望する救急への要請を退けるときに見せる反抗的な瞳。
そして、何より、彼が次第に元気を失っていく様を、世良は目の当たりにしてきた。患者の来ない病院で時間を潰すばかりの誰も救えない医者――そのやるせなさは世良も分かっているつもりだ。彼は、こんな未来を予想して、此処に残った訳ではないのだから。
更に、追い討ちをかけるように、田所さんの診療拒否事件が起こり、市民病院がマスコミの集中砲火を受けるに当たって、世良は、今中の救急行きを独断で早めた。
それに対して、あのお人好しが本気で噛み付いてきたのには少々驚いたが。気づかぬ振りで強引に手続きを済ませた。自暴自棄な言葉の数々に見せた、傷ついた表情からは目を逸らして。救急センターには速水が居る。彼に仕込まれれば悪いようにはならないだろうし、業務に忙殺されているうちに此処のことなど忘れてしまうだろう。
――これで、良い……。
世良はメールソフトを開き、ざっと件名に目を通した。
今中のやっていたことくらい、幾らでも肩代わりできる。
「此処には、医者はふたりも要らない……」
思い切るように呟き、全ての新着メールを削除した。
「世良院長、コメントを……!」
「証人喚問との記事は本当ですか?!」
病院の前に群がる報道陣を見て、世良は小さく嘆息した。
事件から半月が過ぎ、メディアの攻勢も少し落ち着いてきたかと思いきや、極北タイムスが、救急を巡る世良と市議会との対立を記事にしたりするから、またも節操無く食いついてくる連中が増えた。
現状で、そんな話は世良の耳には入っていないが、それを教えてやる義理もない。
世良はさっさと彼らの間を通り過ぎる。
瞬時、集団はざわざわと湧いたが、そんな世良の対応に慣れてしまっているのか、コメントもなく病院に入ったという旨を口々に報告する声が背中に突き刺さった。
院長室のドアをぴたりと閉め、世良は漸く一息吐く。
――息苦しい……。
最近、眠れない上に、食事もろくに喉を通らない。何処に居ても、落ち着くときがない。様々なものが重苦しく圧し掛かってくる気がする。
足を動かすことだけを考えて、前に進む。そうしないと、膝から崩れ落ちてしまいそうだった。
『世良先生、大丈夫ですか?』
ふと、声をかけられた気がして、顔を上げる。
しかし、そこには誰も居らず、老朽化した病院の古い室内が続いているだけだった。
――そうだよなぁ……。
思わず、唇から笑いが零れる。
居る訳がない。
――なのに、僕はこんなに……。
世良は片手で顔を覆った。しかし、直ぐに強く首を振る。
――此処に居て欲しい、なんて、馬鹿みたいだ。
彼が居たって、状況なんて何も変わらない。
だったら、少しでも、彼がやりがいを感じられるところに居た方が良いに決まってる。
『人のこころは力なんかでは縛れない。安心しな、迷った時はジュノの好きにすればいい』
――え……?
遠い記憶の底で懐かしい声が囁いて、世良ははっと顔を上げた。同時に、その言葉と共に向けられた快活な笑顔までが蘇る。
嘘ではなかった。
確かに、我が儘な人だったけど、あの人は一度も世良を強制的に自分の下に置こうとしたことはなかった。
結局、世良は選べなかった。
否、選ばなかった。
決断することなく、振り回されることに戸惑い迷っているうちに、刻々と運命の歯車は回り続け、やがて望まぬ結末へと世良を押し流した。
――貴方も、こんな気持ちだったんですか……?
言葉通り、世良の選択を尊重しながら。
『ジュノ、ひとりだけ桜宮でサボってるなんて、ひどいじゃないか』
あの笑顔の裏に、どんな思いを隠して――
――僕は……、貴方に……。
世良は唇を噛み締める。
「……好都合、じゃないか……」
犯した咎は巡り、この身に還って来る。
あの人の寂しさを、辛さを、痛みを、同じように味わえば良い。
これこそ、自分が受けるに相応しい罰だ。
世良は応接用のソファへと腰を落とした。背凭れの固い感触が世良の体重を受け止める。
――もっともっと、深く、思い知れば良い……。
「今中先生……」
零れた言葉が宙に浮く。届ける先も見失ったまま。
世良は目を閉じ、浅い眠りへと落ちた。
世良を起こしたのは、鳴り響く電話のコール音だった。
がばりと身体を起こす。かなり時間が経った気がする。変な姿勢で寝たので、身体が痛い。
立ち上がると、頭がくらりとした。
「はい」
「院長先生、どうしましょう。どうしたら……」
電話の発信者は角田師長だった。普段見せたこともないほど動揺している。
「落ち着いて、角田師長。今、何処?」
「あ、あの……、野川キヨさんの家で……。そう、キヨさんが胸を押さえて痛がっていて……、全然、治まる様子がなくて……」
「キヨさんか……。元々、狭心症があったよね。心筋梗塞かな?救急車を……、いや」
世良は現地の位置を思い浮かべ、空を見上げた。
「角田師長、極北号でキヨさんを此処まで連れて来てくれないか」
「ええ、そんな……?!」
角田の声に、電話の向こうで何事かと口々に尋ねる声がする。
佐竹と、家族の誰かだろうか。
「ご家族が居るなら、同乗してもらって。此処にドクターヘリを呼ぶ。その方が早い。それまでに僕が容態も診られるしね」
「でも……」
それでも躊躇う角田に、世良は被せるように言った。
患者のためにも、角田には頑張ってもらわないといけない。
「何かあったら、僕が責任を取る。角田師長なら、大丈夫だから」
「は、はい……」
「救急には僕の後輩が居る。それに、うちのエースも居るでしょ?」
「分かりました、世良院長先生」
僅かに震えてはいたが、角田の声は毅然としたものに戻っており、世良はほっとして通話を切る。
だが、まだ終わった訳ではない。
疾うに暗記している番号を押し、桃倉を呼び出してもらう。
「桃倉先生、ドクターヘリ出動要請です。患者は胸痛を訴えており、心筋梗塞の疑い有り。ランデブー・ポイントは市役所の前庭」
簡潔な世良の依頼に、桃倉は呆れたように言う。
「突然電話をかけてきたら、また思いもかけない申し出だな」
「救急車を呼ぶよりこちらの方が確実で早いと思いまして。到着までに、応急処置と診断は行っておきますので、転院として処理していただけませんか」
「また、無茶を……。でも、まあ、そっちのお手伝いにも頑張ってもらってるからな」
その言葉に、世良もまた、胸に小さな痛みを覚える。
「元気ですか、今中先生は?」
あえて、何事もないように声を取り繕った。その質問が、元上司の世間話として正しいのかの判断までは頭がついていかなかったが。
「自分の目で見てみれば良いだろう。フライトに同行するからな」
「そんな、気遣いは……」
桃倉の言葉に動揺し、咄嗟に上手く返せずにいる世良に、楽しみにしていろ、と告げて、電話は切れた。
溜め息が出たが、ぼんやりしている暇はない。自分を叱咤し、診察室へと向かう。
電子機器一式と、処置用の薬品を確認し、患者を向かえるため、入り口へと足を運んだ。
――今中先生が来る、か……。
ドクターヘリを呼べば当然予想される事態に、全く頭が回っていなかったことに、世良は自分で呆れる。
――こんなことじゃ、駄目だよなぁ。
移籍させた事情はどうあれ、そして、今の世良の心情がどうだとしても、表向きは、市民病院の過剰な人材を救急へと回したという構造は何も変わってはいない。
世良は、レンタル移籍した今中の派遣元の上司なのだ。
彼が成長したというなら、手放しで喜んでやれば良い。
そして、心配されたら、ひとりで大丈夫だと断言すれば良いだけのことだ。
「大丈夫。大丈夫だ……」
目を閉じ、刻み込むように呟いた世良の前に、極北号が停車した。
後部座席に横たわる患者の容態を確認し始めた世良は、その頃、救急センターで交わされていた会話も、フライトドクターとナースが決めた小さな同意も知る由はなかった。
まあ、正直言うと、帰還の裏、いまいち分かってないんですけどね。
何で、市民病院に行くと、雪見峠の患者助けられるの?心筋梗塞患者は1時間も市民病院に居て、処置してるっぽいのに、何で極北号に乗ってるの?世良ちゃん的に患者を連れ帰るのはオッケーなの?(直接救急車呼ぶって方向にいかなかったのは何で?)――誰か、分かる方説明してください…。SS内では完全に誤魔化してます(オイ)
ドララプの速水の「逃がしたんでしょ?」は結構好きだったりする。第三者視点にもちゃんと逃がしたっての伝わってるんだなぁ、とか。寂しくて辛いけど、明確に「逃がした」世良ちゃん。そして、それを承知していながら、戻ってくる今中先生――今世良って良いよねぇvvv(今更)
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