テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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何時になく騒がしい声の飛び交うナースステーションの入り口で世良と今中は足を止めた。
「駄目です、繋がりません」
「だから、嫌だったのよ。こういう訳の分からないことは……」
この市民病院でたった二人の看護師・佐竹と角田だった。
受話器を持って困り果てている佐竹を責めている訳ではないのだろうが、甲高く喚く角田の声は酷くヒステリックに響いていた。
「どうかした?」
「ああ、院長先生……」
角田が縋るような形相で近づいてくるのに少し驚きながら、世良は佐竹の方を見る。
「実は、今日は蟹江さんがお休みなんですが、備品の発注をしなくちゃいけなくて……」
「私もうっかりしてたんですけどね、今ってこのパソコンからしか出来ないみたいで」
角田は忌々しそうにパソコンを見た。
「ログインパスワードが分からないんです。蟹江さんとも携帯が繋がらなくて……」
「サポートセンターに事情を話して、今回だけ電話で注文させてもらったらどうでしょう」
今中の提案に、角田は苛立った調子で言った。
「そう思うでしょう!なのに、『極北市民病院様は、サポート付きのプランでの契約ではないから電話での注文は出来ません』なんて、もう、融通が利かないったらないわ!」
此処でも金かと今中は大きく溜め息を吐いた。全く、世知辛い世の中だ。
「今日の発注の締め切りは?」
世良に聞かれ、時計を見ると14時46分を指している。
「15時です」
「後14分か。角田師長はもう1回蟹江さんに電話してみて。いや、待った――パスワードって、もしかして6桁の数字?」
「世良先生、何してるんですか?」
パソコンのキーボードをひっくり返したり、引き出しを開けたりし始めた世良を、今中は派訝しそうに見た。世良は机の上に立てられたファイルを開いて、角田に見せる。
「蟹江さんのことだから、何処かに書き残してるんじゃないかな、と思ったんだよ。ほら、これじゃない?」
「まあ!」
ファイルの表紙の裏側に、ランダムなアルファベットと数字の2行が書かれたポストイットが貼られていた。
「確かに、この上のはパソコン内に残っていたIDと同じです。試してみます!」
佐竹が珍しく興奮した声で、ファイルを受け取り、パソコンに向かった。
「ログイン出来ました!」
世良は佐竹の後ろから画面を覗き込んだ。
慣れないので手が止まりがちではあるが、基本的にこういうサイトはインターフェイスが分かり易いのが売りだ。
普通にネットショッピングをするような世代の佐竹は、全く問題なくクリックして先に進んでいく。
やがて、画面には『注文が受け付けられました』の文字が表示された。
「間に合いました。世良先生、ありがとうございました」
にこにこ笑う二人の看護師の前で、世良は佐竹の手元のファイルを覗き込んで呟く。
「どうでも良いんだけどさ、この『440034』って何の数字なんだろうね?真ん中が00だから、生年月日じゃないよね」
首を傾げる世良の前で、突然彼女達が慌て出した。
「あああ~、思い出しましたわ!親戚の電話番号の市外局番を取った番号だって言ってたんでした!ね、ねえ、佐竹さん?!」
「そ、そうでしたね。うっかりしてました!」
「えええ~」
脱力した今中の脇で、世良は「そうだったんだね。でも、間に合って良かったよ」とだけ言って、ナースステーションを出たので、今中もそれに続いた。
「全く、人騒がせですねぇ」
歩きながら思わず漏らした今中に、世良がくすりと笑って振り返る。
「参ったねぇ。女の勘って凄いな」
「え……?」
世良が少し背伸びをして、今中の唇に自分のそれを押し付ける。まさか、病院内の廊下でそんなことをしてくるとは思わず、今中は茫然とした。
「バレてるのか、それとも願望と現実がたまたま一致しちゃったのか……」
にまりと笑った世良は、そのまま来た廊下を戻る。
そして、ナースステーションの入り口で、楽しそうに今中を手招いた。
「もう……!院長先生に聞かれたときは寿命が縮まるかと思ったわ!明日、蟹江さんにキツく言わなくちゃ……」
角田が珍しく超音波ボイスを制御しながら、不満を漏らしている。佐竹は心配そうにしながらも、幾度か頷いて同意を示していた。その様を世良は、姿を隠しながら面白そうに見ている。
「そんなことだから、うっかり記者の人に妄想バラして咎められたりするのよ……!」
「……確かに、ナマモノジャンルは気をつけないといけませんよね」
「分かってるじゃない。院長先生にバレるなんて持っての他よ!」
いまいち会話の意味が分からない今中に対して、世良は内容を把握しているようだ。
二人の会話を聞き遂げると、唇の前に人差し指を立てて見せ、そっとその場を離れた。
「世良先生、結局あの数字は何なんですか?」
遂に我慢出来なくなった今中が階段を上りながら尋ねると、世良は背を揺らして笑った。
「分からない、ヨシオくん?」
唐突に名前で呼ばれた今中は、何だか恥ずかしくて沈黙する。
「僕の名前は?」
「雅志、さん?」
「そう。今中先生は、10月9日が何の日か知ってる?」
突然飛んだ会話に、今中は真剣に考える。
「祝日……じゃないですよね。体育の日イブ、とか?」
「イブって何だよ。大体、今の体育の日は10月10日じゃないし……」
苦しい回答は、世良に冷たく駄目出しされた。
「色々あるけどね。例えば、塾の日――じゅう、く、で塾」
正解の方が余程詰まらなくて、真剣に考えていた今中は脱力した。冗談にしても、世良が持ち出してくる話題とも思えない。
「それこそ、駄洒落じゃないですか!」
しかし、世良はしれっと返す。
「最近はそんな記念日だらけだよ。で、その語呂合わせで、僕達の名前を数字化すると?」
「ヨシオ――4、4……。えっと、オは……」
「Oだから、0」
最早、語呂合わせですらない。
「無理繰りじゃないですか!」
だが、世良は妙に根気強く拘っている。
「そんなもんだよ」
「じゃあ、マサシさんも?」
世良はさらさらと答えた。
「マはマルと見做して0。サは3。勿論、シは4。で、繋げると、440034」
今中ははっとする。
「え?それって、さっきの……」
「で、角田師長と佐竹さんのあの会話になる訳だ」
と言われても、会話自体が完全に意味不明だったので、何とも答えようがない。
「私達の名前ってことですか?でも、その会話の辺りが良く分からないんですが……」
「うん。まあ、今中先生は知らない方が良いかもね。実は、この順番も重要だったりするんだけど」
世良はにまにまと笑って可笑しそうに言う。
「え?」
思わせ振りな言葉に、再び問いかけるが。
「知らなくて、良いんだってば」
「……確かに、知らなくて良い気もするんですけど……」
「ほら、応援してくれてるってことだよ。……バレても困るけどね」
悪戯っぽく笑った世良に、やっぱりろくな予感がしないのでこの話は此処までにしようと決めた。
くだらなくて、すみません…。
でも、今世良の日は結局設定できなかった。
個人的に、天ジュノの日は10月10日じゃないかなーと思ってるんですが、天(テン→10)ジュ(じゅう)ノ(NO→何もない→0)――それこそ、今中先生に「無理繰りじゃないですか!」ってツッコまれそう…。
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