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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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玲さんがリクを受けてくださるというので、図々しく「冬の今世良下さい!」とお願いして、いただいたのがこれです!
何か、最近、色々いただいて、「サンタさんっているんだねっ」って気分ですvvv
院長、今中先生に会えて良かったよね、って…ううう(涙)
玲さんの書かれる院長って、細かいところでいちいち仕草が可愛くてツボなんですよねvvv

拍手[1回]



除夜の鐘が鳴る。
世良は眺めるだけのテレビから目を逸らし、ため息をついた。
「今年も速かったな…」
(また桜の花を見られなかった…)
新年を控え、お祭り騒ぎのテレビの中とは逆にじわりと無力感が広がっていく。手足が冷えていく錯覚。
除夜の鐘は煩悩を取り去るというけれど、世良にはまるで呪いの言葉のように聞こえた。
「くそっ」
こんな日は飲んで早めに寝てしまうに限る。
世良は置きっぱなしの缶ビールの蓋を勢いよく引き上げた。

「あけましておめでとうございます」
「こちらこそ、おめでとー」
一応ということで正座で礼をする今中に、背中を丸め、行儀悪くこたつの天板にあごをついた世良は手を振り返した。何とは無しに点けているテレビでは、毎年恒例の年末の歌番組が流れていた。
「もう新年なんだ」
「速かったですね…」
一瞬の空白。ふっ、と蘇る記憶。
(あの時と同じだ)
ふと、世良は何年か前の自分を思いだした。
ここに来る前、一本でも多く桜を植えようと焦り、またその結果を自分の目で確認できないことにもどかしさを感じていた頃。
思い出すと同時に、あの日の絶望感がひたひたと押し寄せてきそうで、
とりあえず何も考えないように頭をからっぽにしてから隣の今中に抱き着いた。
「うわっ!?どうしたんですか急に」
「今中先生は温かいね」
それに驚いた今中の問いには答えず、胸に顔を埋めた。
そのまま少しぼうっとしていると、
「何か、あったんですか…?」
今中の声の調子が少し変わった。それからそっと背中を撫でてくる。
「大丈夫だよ」と答えて、
(離れにくいな)
と思う。この男は普段は鈍感なくせにこういう場面ではやけに鋭い。
だからこそ崩壊しかけの病院をぎりぎりとは言え一人で保っていたり、こうして隣にいても違和感を感じなかったりするのかもしれない。
(あぁ、でも天城先生には負けるか)と心の中で勝手に論評をして笑った。
「世良先生?」
心配そうな顔をする今中にまた笑って、
「大丈夫だから」と告げ、また笑って見せる。
あの時に比べれば、自分はずいぶん丸くなった気がする。だけど何故かそれが不快ではなかった。
「あー、花見したいなぁ」
「前にも言ってましたよねそれ…でもまだ先ですよ」
密着したままの会話。
それも、不快ではなかった。
(まぁ、いいか)
そう思って世良は目を閉じた。
世良自身は知るべくもないが、幸せそうに。

今年も、除夜の鐘が鳴る。
――――


で、玲さんの支部のアカがこちらです。
拍手お返事でコメ遣り取りしながら出来た、獣耳ショタ院長とかも小説にしてくださってますvvv
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