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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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素敵な「馴れ初め」イラストを描いてくださったなおさんに捧げますvvv(一応、元ネタはなおさん)
こないだ、Twitterで、「書き手に、『絵描くから書いて』って言ったら絶対書くよ」みたいなツイート見て、あ、これ、こないだの私、って思いました(笑)
いや、ホントに、なおさんいつもありがとうございます。来年も構ってくださいねvvv――ってなメッセージ。
馴れ初め」「馴れ初め・追加分(18禁)」の更に後日という設定です。くっついて数日後の初めてお泊りした朝。天城先生のプライベートを全く知らない世良ちゃんと、ずっと抱きたかった子が自分のものになって結構浮き足立ってる先生。こういう雰囲気も新鮮で良いですね。内容的には微エロくらい。オリキャラが一人(タイトルで分かりますね)上記2本は読んでなくても読めます。単に、私が時間軸はっきりさせとかないと書き辛い、っていうだけの事情。

拍手[5回]



 カゴに放り込まれた洗濯物の表示を見ながら、クリーニングに出すものと手洗い可能なものに選り分けていると、廊下をぱたぱた歩く音が不意に止まった。
 驚かせてしまうことに若干の申し訳なさはある。だから、なるべく気配を消し、目に入らないように動いているのだが、如何せん、透明人間にはなれない。想定外の場所で鉢合わせてしまうこともある。
 此方を見て呆然としているのは、ジーンズにワイシャツを羽織っただけの格好の青年だった。
 緩やかに微笑み、一礼。そして、何事もなかったように仕事に戻れと、紹介所で研修時から徹底的に叩き込まれている。
「あ……。あ、どうも……」
 ワンテンポ遅れて、彼はがばっと頭を下げた。
 胸元を掻き合わせたときに、先ほど一瞬顔を上げたときに見えた鬱血の痕に彼も気づいたようで、「あ、あの……、これは、その……。し、失礼します!」と叫ぶなり、真っ赤になって、少し腰を庇うような足取りで飛び出して行った。
 今度のお相手は、随分と純朴だなぁ、と思う。
 余り詮索するのは、職業柄感心できたことではないが、依頼主――この部屋に出入りする者は自分と同等の扱いにするように、と言い渡されているので、敢えて彼のこともそう呼ぶが――の態度に個人的に好感を持つのは自由なはずだ。
 それに、依頼主たる人間たちの人となりをインプットすることは、とても大切な仕事の一つだ。
「あああ天城先生!」
 青年はベッドルームへと駆け込んで行く。慌てた所為で、ドアがよく閉まっていないことにも気づいていないようだ。
「……何だ、ジュノ?騒がしいぞ」
 答えたのは、起き抜けの不機嫌極まりない声だった。
 因みに、時刻は既に正午を回っており、決して私が非常識な時間に出入りしている訳ではない。
「だ、誰か居るんです!この家の中に!」
 本人は精一杯潜めているつもりなのだろうが、残念ながら丸聞こえだ。ドアが閉まりきっていないのが更にそれを助長する。
「誰か?」
「金髪で青い目の人が、丁寧に御辞儀して……!」
 どうやら、不審者に思われてはいないようだ。
「ああ、今日は土曜か。それはハウスキーパーのクリスだ」
 漸く、少し意識がはっきりしたらしい声がこの騒動を終わらせる。
「ハウス……キーパー?」
 どうやら、私の正体を認識していただけたようだ。
 私はほっとしながら、クリーニングに出す方の服を畳んでいく。
 たった今、雇い主に紹介された通り、私はハウスキーパーを生業にしている。この部屋に足を運ぶのは週5回ほど。
 掃除・洗濯が主だが、要望があれば、大概のことはやる。
 尤も、食事の方はシェフらしき人間が他に居るが。
 国籍は北欧、以前帝華ホテルの客室係もやったことがある、などといった私の履歴は、まあ、語る必要はないだろう。日本語は聞き取りはほぼ問題ないが、喋るのは少し片言になる。
「そんなの、聞いてないですよ!」
 抗議する声は、最早、完全に潜めることを忘れている。
「別に、いちいち報告するようなことでもないだろう。それに、ジュノは私が身の回りのことをどうしていると思っていたんだ?」
 当然のような堂々とした言い方に、青年の声が詰まる。
「それ……は……」
 洗濯物は終わったので、次は掃除だ。
 今日は此処の窓を、と思い、先ほど用意していた掃除道具を手にする。
「そんなことより、ジュノ。起こすときは、おはようのキスからだと教えたはずだぞ」
 依頼主の声は随分と甘い。
 どうやら、相当に入れ込んでいるようだ。
 これは長い付き合いになるかも知れないと、脳内の情報を書き換える。
「で、出来る訳ないでしょう!こんな、直ぐそこに人が居るような状況で!見られたらどうするんですか?!」
「彼らはプロフェッショナルだから安心しろ」
 依頼主はまるで動じる様子はない。
 実際その通りで、我々は、例え濡れ場に居合わせたとしても、あからさまに動揺を見せるような愚は犯さない。そして、依頼主本人も、我々のことは空気のように扱うことに慣れている。
 しかし、まあ、個人として言わせてもらえば、青年の主張も分からなくはないのだが。
「でも……」
 尚も言葉を重ねようとした青年を、依頼主の言葉が遮る。
「昨日はあんなに情熱的だったのに、どうしたんだ?」
「やめ……。んんんっ!」
 不味いかも知れない、と思った。
 無理矢理にでもさっきドアを閉めるべきだった。今更物音がしたら、明らかに彼らの行為の邪魔になる。
「……ジュノ……」
「あっ、やめっ……」
「ちゃんと反応しているじゃないか。いや、もしかして、この状況に興奮してるのか?」
「そんな……こと……」
 私は耳に蓋をし、なるべく音を立てないように窓を磨くことに全神経を傾ける。
「可愛いな、ジュノ」
 小さなくすみも見えないほど、ピカピカに磨くのだ。
「駄目ですって……あ、んっ!」
「そして、此処はとびきり弱い」
 洗剤を染み込ませたスポンジで磨き上げ。乾いたタオルで完全にそれを拭き取る。
「ひぁん!」
「ほら、ジュノ。そんな声を出したら、クリスに聞こえてしまうぞ」
「んんっ」
 突然、耳に入った自分の名に驚く。
 私は何も聞いていないし、そう言い切るのがハウスキーパーのプロとしての正しい在り方だ。
 しかし、それは置いておくとしても、依頼主の言い方は少々意地が悪い追い詰め方だ。
「我慢する必要などない。気持ち良くなってしまえ」
 行為の趣向はそれぞれだし、そういう言われた方が更なる快感を呼ぶタイプも居るだろう。だが、私を見たときの彼の、羞恥と気まずさに耐えられずに動揺していた様子を考えると、余りにも可哀想だ。恐らく、依頼主はその感覚を全く理解していないと思われる。
「だ……、駄目……です……」
「どうして、そんなに意地を張るんだ?身体はこんなに正直なのに」
 若い男の身体だ。刺激を与えられれば、頭では否定していても、容易に快感に流されてしまうのだろう。
「だ、だって……」
「ジュノ、愛しているよ」
 飛び切りの甘い声だった。
 こんな声で囁かれたら、女だろうが男だろうがイチコロだろう。
 しかも、依頼主は容姿端麗な上に、私のような一流ハウスキーパーを雇えるほどの金持ちであり、心臓外科の名医と聞いている。
 実際、切羽詰った喘ぎ声の後に、微かな呻き声、そして、荒い吐息が続く。
「ああ……っ、ううっ。……はぁ、はぁっ……」
 くすくすと堪えられない笑みをたたえた声音が甘く甘く響く。
「良い子だ」
 この人は、本当に、あの青年を愛しているのだな、と思えるほどに優しく耳に届く声音。
 惜しむらくは、その響きが相手に届いていない可能性があることだった。
 小さくすすり泣くような音が空間を満たす。
「気持ち良かっただろう」
「……っ……」
「この間教えたように、私のことも気持ち良くしてくれるな」
 このまま行為に縺れ込んだら、その隙に、この部屋から出ようと目論んだときだった。
「い、嫌です!」
「ジュノ?!」
「駄目って……、言ったじゃないですか!!」
 半泣きの声ががなるように叩き付けられた。その剣幕と気丈さに驚く。
「天城先生なんて、嫌いです!!」
 その言葉は、我々のような雇われ人には思いつくことすら叶わないとんでもない台詞を吐き。
 その勢いのまま部屋を飛び出して行った。
 洗面所で息を潜めていた私は勿論、雇い主にも止める暇など有りはしなかった。
 明快で、シンプル。そして、自分に正直――それが、彼に対し、最終的に私が出したデータだった。
 媚びや打算など欠片もない。
 恐らく彼は、依頼主の本質に惹かれ、男同士という障壁も飛び越え、彼の物になったのだろう。
 だから、彼の持つ欠点――例えば、金持ち故の常軌を逸した部分を許したりなどしない。そこを無神経だと詰る。許さない。いっそ、最低だと怒る。
 ――成程。雇い主が惹かれるのも無理はない。
 彼ほどの人物であれば、自分に阿る人間など吐いて捨てるほど見てきたことだろう。それ故の孤独、などという物は、さすがに実感を持つのは不可能だが、そういうものがあることくらいは理解できる。そこを飛び越え、彼の人間性だけに惚れ込んでくれる人物など早々居るものではない。
「クリス、ジュノが出て行った……」
 雇い主が部屋から現れ、力ない声で呟いた。
「何か、気に入らなかったんだろうか?昨日は本当に可愛かったんだ。私を感じさせようと懸命に頑張ってくれた。まさか、あんなことまでしてくれるとは思わなかったのに……」
 そうだろう、彼は、自分が全てを捧げると決めたなら、本当に一途にそれを実行したに違いない。しかし、縫い包みにでも話しかけるつもりの彼の言葉もまた、あの青年はきっと怒るだろう。
「次ノ時ニハ、私ハ出テ行クト、キチント伝エマス」
「ジュノは戻ってくるかな?私はジュノと身体を重ねている間は他の奴とは寝ないことにすると誓ったんだ」
「先生ガ追イカケレバ必ズ」
 引き止めるくらいのことは私がやっても良いのだが、生憎、それでは問題は解決しないだろう。
「そうか」
 ばたりとドアが開いた。
 私は、素早く新しいシーツと掃除道具を手にし、彼らが戻ってくる前に寝室のベッドメイキングを終了させるべく動き始めた。


勢いで書いたので、読み返したら、盗聴紛いの変態SSだった!なおさんは絶対、此処までやれとは言ってない…。酷いね、ホント(汗)
でも、強引な天城先生に駄目駄目って思いながら蕩けてしまう世良ちゃんに反応しないなんて、男でも腐女子でもない…!(クリス氏は敢えて、どっちかは曖昧にしてあります/笑)
なおさんにお礼のつもりで書くと、どうしていつもこんなんになるの…?次こそは、次こそはっ、ちゃんと書きますんで、とりあえず、今回はこれでお納めください。
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