忍者ブログ
テレビ先生の隠れ家
カレンダー
08 2025/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
カウンター
バーコード
ブログ内検索
P R
忍者アナライズ
[414]  [413]  [412]  [411]  [410]  [409]  [408]  [407]  [406]  [405]  [404
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

私、基本は犬派なので、猫の出て来る話ってあんまり書かないんですが、せとかちゃんとメールしてたら、何か、そんな話になってた。

拍手[3回]



「おはようございます、今中先生」
 ナースステーションの前を通りかかると、ずらりと集合しているスタッフが口々に言った。時刻は既に10時半。
 通常の病院であれば、この酷い遅刻を咎められる状態なのだろうが、此処に限って、それは当てはまらない。
 何しろ、全スタッフが居るということは、全員手持ち無沙汰なのだから、遅刻だとしても何の問題もないのだ。
 お茶を飲みながら、今年は猛暑だというワイドショーに、「今年こそ、自宅にエアコンを購入した方が良いかしら」「いや、でも、何だかんだ言いながら、去年も30度越えた日は数日だったから、そこまですることはないじゃないかな」「あら、春くらいには今年は冷夏って言ってませんでした?」と罪のない遣り取りを繰り広げている。
「今中先生。立ってるなら、お茶の御代わり淹れてよ」
 どうやら、絶妙なタイミングで通りかかってしまったらしい。いつもなら、溜め息を吐きながら言われた通りにするところだが、本日の今中はぎくりと身体を強張らせた。
「いえ……。ええと、医局に白衣を取りに行かなきゃいけないので、すみませんっ」
「あ……」
 ばっと走り去った今中を見た女性陣は、「3階の医局まで走って行くなんて、ダイエットかしら」「えー、1階の踊り場辺りから歩いているんじゃない」と、これまたどうでも良い会話に興じ始めた。
「ふぅん……」
 世良は、立ち上がって急須に茶葉を入れながら、今中の去った方角を見つめた。
「あら、院長先生。私が淹れましたのに」
「ああ、良いよ。他に御代わり要る人―」
 素早く差し出された角田の湯飲みに苦笑しながら、世良はお湯を注いだ。


 ――ふぅ……。
 無事に一日が終わったと、今中は大きく溜め息を吐いて、自宅の鍵を開けた。
 帰り際に、院長室に呼び出されて、何やかやと仕事を言いつけられたのには参ったけど。
 そこまで優先順位が高そうではなかったので、何とか明日に回してもらった。
 ドアを開け、部屋の中を見渡す。
 床に放り出された毛布の塊の上には――居ない。
 ミルクの皿の所にも――居ない。
 靴を乱暴に脱ぎ捨て、身体を縮めて、狭い部屋の床をくまなく見て回る。
 家具の隅っこまで覗いたところで、にあ、と泣き声が聞こえて振り返る。
 選りにも選って、今中の掛け布団の中で寝ていたらしい。
「こら、お前の布団はあっちだぞ」
 寝場所を奪われてしまったことに溜め息を吐きながらも、元気な姿で居たことにほっとして、抱き上げて撫でようとすると、ふいっとそっぽを向いて台所の方へ行ってしまった。
「なーるほどねぇ」
 声のした方を見ると、慌てた所為で開けっ放しになっていたドアから上司の顔が覗いていた。
「せ、世良先生……?!」
「どうも様子がおかしいと思ったら、そういうことかぁ」
 ――駄目だ。しっかり見られた……。
 真っ白の、昨日からの同居者が、新たな闖入者を見上げ、にゃあ、と誤魔化しの余地のない鳴き声を発した。


「つまり、昨日の夜辺りから、この辺をうろうろしていたと」
 いきなりの訪問者に冷蔵庫からビールを出しながら、今中は、少々警戒態勢気味の猫のために、今朝、買出ししていた所為で遅刻の原因になったキャットフードを用意してやる。
「帰りに見かけたときは、この辺じゃ見たことない猫だなと思ったんですけど、毛並みも綺麗だから飼い猫だろうな、って。でも、夜更けを過ぎても、近くで鳴いてたんで……」
「で、入れてあげた訳?」
 生憎と、昨日は土砂降りの雨で、真っ白の背中はあちこち泥だらけになっていた。迷い猫なら、自力で帰れないのだろうし、誰かに聞こうにも、あの時間では動物病院ももう閉まっていた。
「ドアを開けて、『入るか?』って言ったら、足に纏わりついてきて、撫でようとしたら嫌がって威嚇するんだけど、何時の間にか、部屋の中に入ってしまってて……」
 そこから、その泥だらけの身体を何とか拭かせてもらうまでが一苦労だったのだが、猫も疲れたのか、今中の出したミルクを全部平らげ、出してやった毛布に包まって寝てしまった。
「何それ?全然、可愛くない!」
「あれ、世良先生って犬派でしたっけ?」
 断言されると確かに反論出来ないが、安心したように眠りに就いている様子を見たら、手間をかけさせられた、なんて気持ちは自然と何処かに消えていた。
「犬なら、主人の命令には絶対服従してどっからでも帰ってくる、映画とかドラマの原作になりそうなちゃんとした犬が良いね」
「そんな、血統書付きの特殊訓練受けたみたいな……。雑種の間抜けなところも可愛いじゃないですか」
 自分では飼ったことはないが、今中は一般的なペットになるような動物は大体好きだ。
 世良は、カリカリと音を立てながら餌を勢い良く噛み砕く猫を、缶ビールを飲みながら、頬杖を付いてぼんやり見ている。
「で、動物病院には連絡したの?」
「残念ながら、そこにかかりつけの猫ではなかったようなんですけど、写真を渡して、昨日のことを話したら、掲示板に迷い猫の張り紙をしてくれたみたいです。ホームページでも拡散してくれるって言ってくれました」
「じゃあ、まあ、当分は仕方ないか。感染症とか、猫アレルギーとか考えると、勤務医が猫を預かるってあんまり賛成できないんだけど」
 世良の言うことは、院長としては至極尤もなことだ。
 責任を持って飼う訳ではないし、実際に飼うとなれば、今中としても難しいと言わざるを得ない。
 そんな中途半端なスタンスで、患者に迷惑をかけることなどあってはならないことだというのは今中も分かっている。だから、その言葉は少々痛かった。
「すみません。でも、病院では服は必ず着替えますし、後で動物病院にも連れて行きます。1週間しても駄目なら、新しい飼い主も探しますから、その間だけお願いします!」
 頭を下げて懸命に頼むと、世良は可笑しげに吐息を漏らした。
「分かってるよ――それにしても、ホント、可愛げのない猫だよねぇ。毛艶もいいし、ふてぶてしいし、我が物顔だし。これが、弱りきった仔猫とかいうなら、まあ、仕方ないか、とは思うけどさ」
「性格は仕方ないとしても、大人の雄猫ですからね」
「放っておいても、鼠くらい捕って生き延びそ……あ、痛っ!」
 世良の声に、驚いて見ると、何時の間にか、食事を終えた猫が世良の膝を引っかいていた。
「大丈夫ですか?!」
「布の上からだから怪我はないけど――何か、腹立つな、こいつ……」
「世良先生が意地悪なことばっかり言うからじゃないですか――うわっ」
 その胴を抱き上げて引き剥がすと、嫌だというように、身体を数回震わせて、今中の手から逃れ、自分用の毛布のところで丸くなった。
「本当に、追い出しちゃおうか……」
 あわや、上司命令が下りかねない、という状況で、今中は慌てて言った。
「ほら、猫って、飼い主の一番大事なものを分かって嫉妬するって言うじゃないですか!習性だから、仕方ないんですよ!!」
「……」
 世良が沈黙した。
 何か不味いことを言ったかと、自分の発言を振り返ろうとしたところで――
「いっ、いったぁぁぁ……!」
 今中の手を掴んだ世良が、甲に思いっきり爪を立ててきた。
「な、何するんですか?!」
 ふいっとそっぽを向いている世良とは視線は合わなかった。
「今中先生が随分と猫が好きみたいだったから」
「引っ掻かれるのが好きとか、誰も言ってないでしょう!!」
 思いっきり爪痕の付いた甲を痛ましげに見て撫でていたら、今度はそちら側の手に指を絡めて口付けられた。
 何だか良く分からないけど、この人のご機嫌が直るまでは大人しく寝ていてくれ、と思いながら、今中はされるがままに、その背を抱き締め返した。


院長の、どっから見ても猫っぽいのに、天城先生に対しては無条件で犬なところが大好きです。ツンデレ忠犬って呼んでるvvv
猫好きな方って多いのであんまり言えないのですが、仔猫は普通に可愛いと思うけど、大人の猫って取り立てて好きという訳でもない。振り返ってじろってこっちを見たりするじゃないですか。あと、犬の飼い主大好きなところが大好きなので、猫のお猫様なところは余り愛せない。鍋の中で、いっぱいぐんにゃりしてるのは割と好きでした。あと、日中コンクリートの上に居る子が、夏は平べったくなって、冬は接地面積減らすために細長くなってるのとか見るの好きです(伝わりにくい…)
SSは、仔猫の方が楽しいかなと思ったのですが、好きな動物について話して無意識にお互いのこと言ってたら可愛いなー、ってことで、「君が僕の言うこと聞くんだよ」って態度で示してくる雄の白猫(笑)
序でに、犬萌え話すると、ト●ビアの雑種犬シリーズとか好きでした。全然飼い主守ってくれないところとか、飼い主が他の犬可愛がってると嫉妬するところとか凄い可愛いんですよ~。世良ちゃん世良ちゃんvvvま、私、一番好きなの、ゴールデンレトリバーなんですけど(笑)、雑種のお馬鹿なとこは良いですよねー。
PR
忍者ブログ [PR]