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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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pixivの桜宮企画に投稿したSSです。
字書きも参加して良いってことだったので、書かせていただきました。
テーマは「キャラが歩いてる様子」で、ちょうど、なおさんにス●マスイッチさんの「桜夜風」が世良院長のイメソンって教えていただいたところだったので、許可いただいて、そのイメージのSSを上げてしまいました。
どうでもいいのですが、私、このブログは使い始めた当初から検索避けタグ付けてたのですが、最近、仕様が変わってタグ編集ができなくなって、ソースコード見るとタグは活きてるようなので、何か、呪術に呪術を重ねたら元のを解除できなくなったみたいな…、厨二脳?うん、ごめん…。
まあ、検索避けなんて、気休めだって分かってるけど!でも、訪問者は少ないから、支部を隠れ蓑にして生きます(笑)

拍手[3回]



 書きかけの地域医療再生についての記事をバックアップして、ずっと同じ姿勢で固まった肩を回しながら、ウインドブレーカーを羽織り、病院を出た。
 真っ暗な窓の外、何かに呼ばれたような気がして。


 まだ、極北の外気は冷たい。
 気持ち首を縮め、襟を立てる。
 向かう宛てもなく、ただ足だけを動かした。

 ずっと、こんな風に歩いている気がする。
 何処へ行くかも見出せないまま――


 舗道はやけにでこぼことして、ぼんやりしていたら何度か躓きそうになった。
 予算配分も儘ならないこの町では、整備も出来ないのだろう。
 大き目の水溜りを跨ぎ、ひび割れを避ける。
 背後から照らす街灯のオレンジの光が、自分の影を長く伸ばしていて、足元が見えにくい。

 歩いても歩いても――
 同じところをただ、回り続けているような錯覚。

 けれど、足は止めない。
 その僅かな思考の隙間に、あの場所を思い出してしまうから。


 おや、と目を止めた。
 門柱の影に繋がれた仔犬。
 不揃いな毛を膨らませ、丸く縮こまっている姿がふと自分に重なる。

 さむいな、そう呟きながら、屈んで頭を撫でた。
 潤んだ瞳がこちらを見上げ、代わりに泣いてくれているように見えた。
 手の平に伝わる熱を名残惜しく感じながら、再び歩き出す。


 ――どうせ、何処へ行っても同じだ。

 自嘲気味な笑いを漏らしながら、機械的に動き続けている足元だけを見つめていたとき。


 風が、吹いた。

 冷たいはずのそれは不思議と優しく。

 思わず、ずっと落としていた顔を上げる。

 ――え……?

 広がる薄紅色の花弁が視界を覆い尽くした。

 ――何時の間に……。

 まるでずっと自分を待っていたかのような、その色に迎えられて目を見張り、首を巡らせる。


『今頃、気付いたのか、ジュノ』


 微かに笑みを含んだ声がはっきりと聞こえた。
 遠いいつかの日、歌うように語ってくれたあの声で。


 風が、吹き抜けていく。
 知らず濡れていた頬を拭うように通り過ぎて。

 ――もう、此処に……。

 胸を占めていた叶わないという諦めは溶けるように消えていく。


 遥か空へ吸い込まれる風を追うように瞬く星を見上げた。


切ない曲だけど、私はこれはハピエンだと思ってます。
これ、地元の桜並木歩いて考えたモノローグなのです。親に危ないから一人で行くなって止められた道を遅い時間に歩いて考えてた。
相変わらず、歌詞を落とし込むのは苦手ですが、素敵企画を立ち上げてくださったあきさく。様に捧げます。
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