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テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
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前回の益世良から続けてみました。18禁です。今→世良で一方通行気味。

拍手[2回]



「あれ、今中先生。まだ居たんだ?」
 夜半と言っても差し支えない時間に急に医局に現れた院長の姿に、我に返った今中はぎょっとした。物思いに沈んでいるうちに、すっかり遅くなってしまったようだ。
「僕は、そろそろ帰るけど」
 戸締りはいつも一番帰りの遅い世良の仕事だ。医局の鍵が戻ってないのに気付いて、3階まで様子を見に来たのだろう。
「たまには掃除くらいしたら。何か男臭いよ、この部屋」
 いつもの軽口だろうに、何だか無性に癪に障った。
「男臭いのは、世良先生じゃないですか?」
 世良はきょとんと目を瞬いた。口が滑ったと慌てる今中を前にして、世良は直ぐににまりと笑った。
「ああ、見てたんだ。どの辺りだった?」
「ど、どの辺りって……」
「ほら、市長は若くて元気だからさ。僕みたいな年寄りにはなかなか荷が重くてね、恥ずかしいところ見せちゃったんじゃないかって」
 ――嘘ばっかりだ……。
『もう終わりですか、市長?』
 誘うとき特有の甘ったるい声音を耳元に注ぎ込みながら、挑発するように焚き付けていたのは自分の方だった癖に……。しかし、まさか、一部始終をドアの向こうで聞いてしまったとも言えず、今中は黙り込んだまま立ち上がった。
「市長は、僕がこの地で花を咲かせるために不可欠な人なんだよ。市議会との確執も、全部あの人が押さえ込んでくれてる訳だし」
「そのために、あんなことを?!」
「どうせ、あの人も僕のことなんて、セフレ程度にしか思ってないって」
 ――そんな訳ない……。
『その言葉、此れまで何度口にしたんですか?』
 嫉妬に満ち満ちた男の言葉は、同じ気持ちを抱く今中の内側で反響していた。そして、益村本人すら恐らく気付いていないだろうことも、第三者である今中には見えていた。
 猫のように気紛れなこの男が、益村の隣に立つときだけ、忠犬のような顔をする。そうしている僅かな間だけ、いつも不安定で拠り所のない軸がぴたりと定まり、全てが磐石に見えるのだ。まるで、そうあることが彼の本質であるように――
 単なる相性の問題なのか、益村という苦難の道を選んだ男だからなのかは分からない。勿論、そんなこと教えてやる気もないが。
「世良先生……!」
 無性に乱暴な気持ちになって、その背に腕を回した。
「ちょっと、今中先生。もう無理だって」
 ――また、嘘……。
 何だ、この媚びるような声は?
 言葉とは裏腹に、身体は更にその先をねだるように絡み付き、今中の欲望を刺激する。根っからの好色男は、疲れも知らない様子で首筋に熱い息を吹きかけながら、とろりとした目で此方を捉えた。たった今まで別な男に抱かれていたのだと思うと嫌悪感が湧いたが、院長室で達した世良の声を聞いてからずっと昂ぶっていた欲が、目の前の据え膳に目を眩ませる。思わずソファに押し倒して、その上に乗り上げてしまった。
「駄目だよ。職場でしょ、此処」
「その職場で最後までシてたのは誰ですか?それも、2回も」
「それは……、あっ……!」
 堪らず、スラックスを下着ごと引き摺り下ろし、後口に指を捩じ込んだ。先程まで別な男のモノを咥えていたそこは、貪欲に今中の指を飲み込んでいく。
「あっ……。駄目、そこは……」
「腰動いてますよ」
「やめ……、んっ」
 口では嫌がる癖に、身体は仰け反るように更に奥へ誘い、小刻みに動かして良い処に当ててくる。その恥も外聞もかなぐり捨てた、剥き出しの情欲を見せ付けられた今中は、ただ煽られた。
「今中先生、もっと……」
 両手で抱き寄せられ、深々と口付けられる。熱い舌に誘われた口内はやたらと甘く、脳天を突き抜けるほど気持ち良くて、あっという間に理性が吹っ飛んだ。
「世良、先生。良いですか?」
 答えを聞くのももどかしく、足を開かせて身体を間に割り込ませた。貫いていく部分の快感に、あっさり果てに押し流されそうで、何度も意識を手繰り寄せなければならなかった。
「んっ。あっ、イイっ……!」
 激しく腰を打ち付け、背中にぐいぐいと爪を立てられているのを感じながら、何時になく反応の良い世良の甘い声を合図に今中は張り詰めていたものを解き放つ。一度無理矢理に収めていた所為で、絶頂とも言える快感が全身を駆け抜けて、全てを出し切った後には惚けたように頭が働かなくなった。
「……大丈夫、今中先生?」
 正気に戻してくれたのは、組み敷いた男の声で、性欲の抜け切った頭にじわりと愛しさが込み上げた。
「はい……」
 まだ少しぼんやりする頭のまま、肩を抱き寄せて何度かキスをした。はあはあと小さく吐息を漏らしながら、甘えるように首筋にしがみ付いた世良が耳元で囁いた。
「それにしても、下だけ脱がせて突っ込むなんて、余裕無さ過ぎじゃない。最後までドアの向こうで聞いてて、ギンギンになっちゃった?意外と特殊なシチュエーションに興奮するタイプなんじゃないの」
 事後の睦言どころか、耳を疑うような言葉に、思わず抜こうとしたら、ぐっと締め付けられ、役割を終えて脱力していたそこに再び快感が走った。
「止めるなら、僕のこともちゃんと終わらせてからにしてよね」
 言いながら腰が引かれ、同時に蠢く襞が熱く今中を包む。
「何で、知って……?!」
「熊みたいなデカい男の影が映ってれば誰でも気付くよ。直ぐ逃げるかと思ったら動かないんだもん。ああ、これは聞いてるんだなって思ったから、わざと大声で喘いじゃった。それが癖になっちゃったみたいで、さっきもイイ声出てたでしょ?」
 信じられない告白に茫然とする今中の唇に吸い付き、身体を押し付けながら、腰を使ってその一点を更に深く穿とうとする。
「全部、わざと……?」
 散々舌を吸われ、同時に、強く締め付けてくる内壁に翻弄されながら、どうにか息が注げる状態になった今中はやっとのことでそれだけ言った。
「これがイイなら、間男プレイでもする?今週末に僕のマンションに益村市長が来るから、今中先生はクローゼットにでも隠れててさ、市長が帰った後に二人で愉しもうよ。あ、途中で隙を見て、触り合ったりするのも興奮するかも」
 さも良いことを思いついたかのように誘いをかける上司の顔には、際どい二股で相手を謀ろうとしている罪悪感など微塵も浮かんではいない。もっとも、こんな関係を最初に許容したのは今中の方だったのだが……。
「駄目に決まってるじゃないですか、そんなの!それに、私は……」
「こういう付き合いが嫌なら止めても良いんだよ。大体――」
 何かを言いかけた世良が、ふと口を噤んではっとしたように身体を離そうとしたのに気付き、思わず今中はその背を抱き締めて止める。
「何ですか?」
「……市長と別れたところで、僕の心は今中先生のものにはならないんだからさ」
 目を見開いた今中の手から力が抜けたところで、世良は艶かしく一度だけ腰を動かした。
「此処まで言われたならさ、今くらい、僕の身体を虜にしたらどう?」
 勝手なことばかり言うなと怒りたい、のに――
 此処で手放したら、二度とこの人を腕の中に抱きとめられないような気がして。
 今中は胸の奥の痛みに耐えながら、幾度も教えられた場所を突き続けた。
「あん!……気持ちイイ!もっと、もっと……!」
 耳朶を塗り潰す嬌声を哀しく聞きながら、世良の身体の何処かに自分を残せたら、と。
 一瞬の閃光に意識を奪われながら、強く強く願った。


嫉妬からの欲望に忠実な今中先生と、振りでも反応良く吠き捲くる院長を書きたかった――っていうか、とにかく、直接的表現でエロいのやりたかった。
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