テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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世良先生と飲むのは好きじゃない。
飲み始めは割と饒舌で、テレビ先生節でつらつらとこの町について語る。
そこまで固い話ばかりじゃなくて、本土に比べて山の杉が少なくて紅葉が綺麗だとか、駅前の屋台村で食べたカレーうどんが美味しかったとかいう他愛もないことを話したりする。
ここまでなら別に良い。
けれど、油断してると、あっという間に真っ赤になって、目が充血して焦点が定まらなくなり、言葉がなかなか出なくなってくる。
こうなると、もう駄目だ。
――今日は特に、ペース早かったしなぁ。
「天城先生は最初から分かってたんだ……」
赤くなった頬も、とろんとした目も、どきりとさせてくれるには十分なのに。
「僕なんか、あの人の想いを継ぐには値しないんだって」
名前を呼んでくれたら、手を伸ばしてくれたら、しがみついてくれたら、弱音を吐いてくれたら。
好きだって、言ってくれたら――
幾らでも、言ってあげるのに。
あなたは良くやってる。頑張ってる。その人が見てなくても、私は、私だけは見てますよ――
でも、この人の頭の中はアマギセンセイとやらでいっぱいで、こんな、性欲処理同然に誘っただけの役立たずの部下のことなんて、全く御呼びでないのだ。
「天城先生……」
静かになったと思ったら、想い人は炬燵に突っ伏していて、そして今日も何もできないまま終わってる。
「寝よ……」
このまま寝顔を見てたら、危うく欲情しそうで、無理やりそれを打ち切る。
こんな気持ちでこの人を抱いたって惨めなだけだ。
「お休みなさい、世良先生」
我ながら人が良いとは思うが、そっと毛布をかけてやる。
せめて、夢の中だけでも、会いたい人と会ってください、とか思ったなんて、お人好しを通り越してお笑い草だ。
「おはようございます、世良先生」
翌朝はまあまあすっきりした目覚めだった。
酔い潰れた世良先生に合わせて摂取してたアルコールがほどよく回ってくれたらしい。
疚しい妄想で眠れなかったりしたら、合わせる顔がないから良かった。
「……」
しかし、意外にも、いつのまにかカーペットで寝直していた世良先生の方が毛布の中でもぞもぞ動くばかりで、なかなか起き上がろうとしない。
「二日酔いですか?昨日、ペース早かったですからね」
声をかけても、そのせいかとか何とかぶつぶつ言うばかりで、なんとも歯切れが悪い様子だ。
「世良先生?」
心配になって毛布を持ち上げて覗き込むと、思いっきり目を反らされた。
胸がちくりとする。
――何だよ、酔っ払いを介抱したし、邪念にも堪えたし、そんな顔されるようなことはしてないぞ。
「あのさ、一応聞くけど……、僕、何か変なこと言わなかった?」
――あ、あれ?もしかして、覚えてない、とか?
何時も通り、アマギセンセイアマギセンセイ言ってましたよ、と言おうかと思ったが、何だかそれも癪でちょっとだけ魔がさした。
「もう、大変でしたよ」
そのぎょっとした顔を見て、少し罪悪感がわいたが、小さな報復のつもりで昨日の望みを思い出しながら続ける。
「『今中先生、僕、ちゃんとやってるよね?がんばってるよね?ちゃんと見てくれてる?』って言い出して、『大丈夫ですよ』って返したら、『そういうとこ、好き』って抱き付いてきて、甘えてキスしてびっくりしましたよ」
言ってはみたものの、明らかに途中でトーンダウンした。
ちょっと願望はあったけど、これはない。
酔ったときだとしても、彼がこんなことになってたら、翌日極北大行きを勧めるレベルだ。
「なーんて……」
ふざけるのもいい加減にしてよねそんなことある訳ないじゃないそれ誰だよ、ぐらいの蔑んだ言葉を覚悟して視線を戻す。
気の利いたことを言えなかったのだから仕方がない。
「……」
しかし、意に反して、いつまで経っても世良先生から反論は来ない。
それどころか、顔を背けたままぴくりとも動かない。
いや、よく見ると、小さく震えている。
そして、微かに空気を動かした声が、忘れて、という音を形作った。
「え……?」
頭が真っ白になって、起こってることがよくわからない。
――忘れるって何を?あの、根も葉もない、そんなことある訳もない嘘を?
貴方は、いつだって、アマギセンセイのことで頭がいっぱいで、こっちのことなんて身体だけのつながりで、弱音も吐くにも値しないただの部下なんでしょう?
――私のことなんて、好きな訳……。
「あ……、あの……、さっきのは……」
全部、ほんの出来心で、冗談で――
続きは許されなかった。
ぐいっと伸びた手が頬を押さえつけて、世良先生の顔が近付いて、唇が――
――ああ、柔らかい……。
「……普通はさ、これくらいするでしょ。好きな相手が告白したんだからさ」
おもむろに、唇を話した世良先生は、立ち膝になってこちらを見下ろして言う。
この状況は何なのだろう?
まだ、頭が良く働かない。
ちょっとした腹いせを仕掛けて、そうしたら……。
「あの……、世良先生が私を……好き、とか?」
「ちょっと待って。分かってなかったの?ああ、もう、最低。しらばっくれれば良かったってこと?どうせ、悪いのは僕だよ。今中先生が、呆れるほど鈍いってこと忘れてたんだから」
そりゃ、この人の半分でも言葉が出てくれば、ここまでの言われ方はしないだろうけど……、ってそうじゃない。
「あ、あの、世良先生は私のことが好きなんですね?」
「だから、そう言ってるでしょ。何か文句ある?」
少々上向きの目線から蔑んだように一瞥。
はあ、すみません、と謝ってしまってるこの状況は、どう考えても、仕事でミスをした部下のもので、甘ったるさの欠片もないのが一番の問題な気もするけど。
「何で、世良先生はそれを隠してたんですか?」
一番聞きたかったのはそこだ。
この人のことだから、こちらの気持ちなんてとっくに分かってただろうし、欲に訴えて身体だけ繋ぐより、こちらの精神的な抵抗もずっと少なかったはずなのに。
「だって、嫌じゃない?遥か昔に愛した人に人生捧げ続けてる恋人なんてさ」
この人は、そんなことを気にして――
きっと、自分が別れたいと言ったら、いつでも笑って手を離したのだろう。
『しょうがないなぁ。この都合良い関係気に入ってたんだけど。まあ、今中先生がそうしたいなら仕方ないよねぇ』
そんなことを言う様子が目に見えるようだ。
本当は、好きで、弱音を吐いて、甘えたい、のに。
――良かった……。
そう、しみじみ想いがあふれる。
この手を離さなくて良かった。ここにいて良かった。ずっとそばにいて良かった――
「……って、ことで」
突然、ごろんと押し倒された。
「あ……、ええ?」
「昨日もしていないし、最近、ちょっと溜まってるから相手してよ、今中先生」
にまり、零れた笑みは、スウェットの中に既にもぐりこみかけていた。
「いや、駄目!駄目です!」
必死に抵抗すると、不満そうに、乗り上げていた動きが止まる。
「何で?今さら恥じらう関係でもないでしょ?」
「違います!全然、違います!世良先生が私を好きだって分かったってことは、つまり、恋人同士ってことで、だったら、今までとは全く!」
世良先生は少しぽかんとしてたけど、突然吹き出した。
「そんなものなの?」
「そうです!」
経験的には少ないけど、でも、絶対そうだ。そうに決まってる。
「じゃあさ、今中先生なら、これからどうするの?」
一応真面目くさった顔をしてるけど、その目からは堪えられない笑いが漏れてる。
――いやいやいや、絶対に、そんなおかしなことは言ってない。
「え、えーと、いつから好きだったか、とか、聞いてみたいですし、ちゃんとスキンシップしたりとか、その、キスとかも、もっと……」
あ、それから――
「わかったよ」
最早吹き出したのを隠そうともせずに、世良先生は腕を引っ張って起こしてくれた。
「気の済むようにしたら。まあ、その後で、こっちも気の済むようにさせてもらうけど」
さっきの嘘の話を白状しなくては、という考えは、スイッチの入りかけた世良先生の顔を見た途端、この後、どう過ごそうかということに一瞬で塗り替えられた。
久し振りに今世良書いたら、院長が可愛くて可愛くてどうしようかと思いました。
表向きは天城先生一筋で意地張って頑張ってるけど、本当は今中先生に触れてると落ち着くのに、自分の生き方を曲げられないことで迷惑かけるのが嫌だからずっと隠してる院長と、その辺は全く分かってないけど、救いたいってずっと願ってる今中先生。
今中先生の気持ち知ってる癖に、酔って天城先生の話したりするのは、牽制でもあり、院長の弱さでもあるのです。本当に強い人なら、毅然と自分の道を進むもんね。それが出来ないのが院長の駄目なとこで、可愛さでもある(結局そこ)
はあ、院長好き。
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