テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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1年振りの更新になりました。見てくれてる人、いるんだろうか…。
プライベートが大変多忙で書くこと自体あきらめていたのですが、昨年の冬コミでしょーんさんの天ジュノアンソロに呼んでいただいて、駄目元で引き受けてみたら意外と書けまして、やっぱり書くことって楽しいなぁと思って、書きかけで放置してあったSSを最後まで書き上げてみました。
その1年振りの更新がクロスオーバーで何なのですが、ちょうど1年前、ベイマックスに猛ハマりしていたのです。兄弟フェチに火を付けられ、その兄を失った弟の未亡人感に心を鷲掴まれ、終いにはメカと少年などという新要素に悶える羽目になった恐ろしい映画でした。ディズニーなんて、全く観たことなかったし、リゾートすら30年は行ってないってのに…。年末金ロにて地上波解禁してましたが、本国ではアニメシリーズも公開されてるし、3年後にはアトラクションも出来るらしいので、まだご覧になってない方はぜひ…!天ジュノからの今世良っぽい要素も凄くあるから…。
まあ、そんな訳で、誰得クロスオーバーです。ベイマックスって近未来の話なんじゃないの?とか突っ込んではいけない。一応、七夕の帰還のちょっと後、くらいの時間軸で書いてます。ベイマ的には、映画から7年後くらいの時間が経ってるっぽいけど、気にしちゃ駄目だ!
しかも、無駄に長くて、3回に分けてます。続きはまた時間のあるときに上げますね。言い訳書くのに時間がかかるから、とか言わない!
プライベートが大変多忙で書くこと自体あきらめていたのですが、昨年の冬コミでしょーんさんの天ジュノアンソロに呼んでいただいて、駄目元で引き受けてみたら意外と書けまして、やっぱり書くことって楽しいなぁと思って、書きかけで放置してあったSSを最後まで書き上げてみました。
その1年振りの更新がクロスオーバーで何なのですが、ちょうど1年前、ベイマックスに猛ハマりしていたのです。兄弟フェチに火を付けられ、その兄を失った弟の未亡人感に心を鷲掴まれ、終いにはメカと少年などという新要素に悶える羽目になった恐ろしい映画でした。ディズニーなんて、全く観たことなかったし、リゾートすら30年は行ってないってのに…。年末金ロにて地上波解禁してましたが、本国ではアニメシリーズも公開されてるし、3年後にはアトラクションも出来るらしいので、まだご覧になってない方はぜひ…!天ジュノからの今世良っぽい要素も凄くあるから…。
まあ、そんな訳で、誰得クロスオーバーです。ベイマックスって近未来の話なんじゃないの?とか突っ込んではいけない。一応、七夕の帰還のちょっと後、くらいの時間軸で書いてます。ベイマ的には、映画から7年後くらいの時間が経ってるっぽいけど、気にしちゃ駄目だ!
しかも、無駄に長くて、3回に分けてます。続きはまた時間のあるときに上げますね。言い訳書くのに時間がかかるから、とか言わない!
『ねえ、おじさん。ちょっと暇つぶしに、町を案内してくれない?』
ひょろ長くて痩せっぽっちのボサボサ頭の高校生みたいなその少年の口から流暢に流れた英語に、今中はしばし状況がつかめなかった。論文やら学会やらで、多少の交流レベルの心得はあるが、自分の現在の勤務地であるこの僻地の病院で聞こえることなど皆無の言語だ。しかし、蟹江が銀行に出かけた無人の事務所で半分意識を飛ばしかけていた今中は、今日はそれがここで聞こえてもおかしくない日であったとようやく思い出した。
市民病院に国際的な来客があり、何を隠そう、今中自身が駅まで彼を迎えに行ったのだ。
『14歳で大学に入学して、18歳で博士号取得、21歳でサンフランソウキョウ工科大学の教授に就任した天才ですって!世界的なロボット工学の第一人者で、クレイテック社の相談役で、凄い数の特許を持っているとか。それなのに、まだ少年っぽいところがあって可愛いのよねー。特に、あのロボットといると!』
これは、角田の弁である。
世界的なIT企業・クレイテック社は1月ほど前に、画期的なロボットの発売を告知した。
ベイマックスというそのケアロボットは、従来のロボットの機械的なイメージから大きく外れており、ふんわりと丸くてやわらかく、よちよちとゆったり動くらしい。それでいて、その内部には1万通りもの治療プログラムが内蔵されているばかりか、人工知能により自主的に成長するという。
このロボットが量産され、介護や医療の現場に導入されることになれば、革命的な事態が起こるだろうとニュースではもちきりだった。
「まあ、こんなの入れられるの、よっぽどの大病院か、大金持ちだけだよ。僕たちには縁遠い話さ」
ニュースを見ながら、上司がそうコメントしたのももっともで、きちんと調べた訳ではないが、おそらく、一体数十万から数百万は下らないだろう。
ところが、何と、その開発者の一人が当の上司にアポを求めてきたと知ったのが数日前。極北羅堂まで迎えを仰せ付かった今中の前に現れたのは、バッグに収納された件のロボットと、現在目の前にいる、いかにも着慣れないスーツを身につけたものの、学校帰りにお婆ちゃんの付き添いで来たような高校生にしか見えない日系人の青年だった。
もっとも、そんな印象を持ったのは今中一人だけだったようだが。彼は、クレイテック社のケアロボットのPRのためにかなりのメディア露出をしており、開発の裏話やその非凡な半生の物語は、最近こそ少し落ち着いてきたが、一時はワイドショーで見ない日はないくらいだったという。そのため、今回の訪問も病院スタッフ一同にくれぐれも内密に、という緘口令が布かれたほどだ。
彼の訪問の目的について、院長である世良は言葉を濁して、はっきりとは教えてくれなかった。
財政再建中である極北の現状を哀れんで、ケアロボットの導入の相談に来たのではないか、などとかしましく話していた角田と佐竹が訪問看護へ出かけてしまい、ヒロ・ハマダと呼ばれる来客者が院長室に消えた後は、ぼんやりと数少ない患者を待ついつものルーティンとなり、そんなイレギュラーすら記憶の外に追い出されかけていた。
時計を確認したが、彼を院長室に案内してから、まだ15分も経っていない。
『って言っても、これでも仕事中で……』
居眠りしかけていたのでバツが悪いが、一応嘘は言っていない。しどろもどろにそう答えると、ヒロ・ハマダは子供っぽさの残る大きな瞳を更に丸くした。
『おじさん、運転手じゃないの?』
『一応、ここの医者だよ』
『失礼しました。ええと、……ドクター・イマナカ』
『何で、私の名前を……?』
『この病院のことは一通り調べたから。でも、写真がなかったから、顔まではわからなかったんだ』
『ここ、いい?』と尋ねて、向かいのソファに座る。
子供だと思って侮っていたが、彼は確かにビジネスで来たのだと今中は改めて気づく。
『あのロボットはどうしたの?』
『ドクター・セラと話したいって言うから置いてきた。だから、時間が空いちゃって』
「ドクター・セラ『と』」、ではなくて、「ドクター・セラ『が』」じゃないのか、と思いながら、今中は曖昧にうなずく。
『それにしても、本当にこの病院は静かだね。今日は休みなの?』
耳が痛い質問だが、見栄を張っても仕方ない。
『いつもこんなものだよ。ここは入院も受け付けてないし、救急もやってないからね。どちらかというと、訪問看護が中心かな』
先月起こった診療拒否の騒動がまだ尾を引いていることは割愛した。
『訪問看護?』
『患者さんの家に訪問して、診療や治療をするんだ。この町は高齢者の人口も多いし、交通機関も限られてるから病院に来るのも大変な人が沢山居る。今日も、看護師さんたちが行ってるよ』
『ふうん……』
彼は何やら神妙な顔で腕組をして、少し考え込んだ。
『ねえ。ドクター・イマナカは、この町にベイマックスを導入できるって言ったら、欲しいと思う?』
随分と唐突な話だ。今中はワイドショーで何度か見たことのある、マシュマロのようなロボットを思い出してみる。
『維持費とか、メンテナンスの手間とかはよくわからないから答えられないけど、基本的に、地方の介護は人手不足だからなぁ。力持ちのロボットが支えてくれたりするだけでも助かると思う。話題のロボットと話したりするのも、寝たきりの患者さんには楽しいだろうし』
『そしたら、そっちの方面から強請れるかな……?』
『強請る』という言葉の物騒さに、今中は驚いた。
『君は、世良先生に一体、何を……?』
これでも、今中は世良側の人間のつもりだ。
先日の七夕の一件以来、強くそう思っていた。
『ああ、聞いてないんだ。僕は今、ベイマックスに新しい機能をつけるつもりなんだ。その協力をドクター・セラに頼んだんだけど、断られちゃって』
気負う今中には頓着せずに、ヒロ・ハマダは事も無げに答えた。
『新しい機能?』
『そう。20年前にある外科医が考案したにもかかわらず、余りに高度で後身に引き継がれていない、ある心臓手術の術式があるんだ。それをベイマックスに搭載できたら、最高にクールだと思わない?』
ノートパソコンを閉じると、それに反応したように、壁際からキュインという機械音が聞こえた。
世良は、聞こえよがしにため息を吐いてみせる。
「あのさ、ずっとそこにいられても、僕の意見は変わらないよ」
「構いません。私の役割は、全ての人の健康を守ることです。ですから、ドクター・セラ、貴方も私の患者の一人です」
――これだよ……。
先ほどから、こんな会話の繰り返しで、まるで埒が明かない。
「あのね、僕は医者で患者じゃない。だから、君のケアは必要ない――わかる?」
交渉が決裂するなり、ヒロ・ハマダが部屋をさっさと飛び出し、それで終わりかと思ったのに、このロボットは主人の後を追うこともなく、院長室から動く気配もない。
根負けして話しかけてみれば、『自分は治療のために残った』の一点張りだ。ヒロ・ハマダを追いかけようかと思ったが、それも彼の思い通りになるようで癪で、とりあえず放置して仕事を続けていた。
「先ほど、ヒロと話していたとき、貴方の脳波に不安と苦しみを認識しました。私は、それとよく似た症状を診たことがあります。貴方は癒されるべき患者です」
「それは……、多分、治せないよ……」
このケアロボットは、身体だけではなく、心の痛みまで治すつもりでいるのだろうか?
けれど、だったら、この話をさっさと終了させて帰ってくれるのが一番なんだけどな、というのが本音だったりする。
――そうしたら、こんな気持ちになることは……。
思いに沈みそうになった、そのとき、再び、キュインという機械音が聞こえ、世良は我に返った。
「ドクター・セラ。今、また貴方の脳波が……」
「そうそう、ベイマックス。僕はこれから用事があって出かけるんだ。君もいい加減、ハマダ教授のところに戻ったらどうだい?」
それ以上、つっこまれる前にすばやく言葉をさえぎった。
ベイマックスは逡巡するように、僅かな間をおく。
「私は、ケア対象が『ベイマックス、もう大丈夫だよ』と言うまで離れられません」
それがプログラム終了の合図ということらしい。
しかし、それなら、その単語を言いさえすれば、この状態から解放してくれるということだろうか?
「『ベイマックス、もう』……」
――そりゃあ、いてくれた方がありがたい。でも、今中先生が極北救命救急で救急対応してくれるなら、そして今中先生がやり甲斐を感じてるなら、ここは僕ひとりで大丈夫だ。
そのキーワードを発しようとした瞬間、先日のやり取りが胸によみがえった。
大丈夫。そう思った、そして、答えた――そのつもりだった。
でも、彼は……。
――何で、よりにも寄って、終了の合図があのときの言葉と同じなんだよ?!
内心で毒づきながらも、表情には出さず、世良は気を取り直してベイマックスに提案してみた。
「……そうだな。君のケアロボットの能力も見てみたいし、一緒に来るかい?」
「もちろんです。でも、何処に行くのですか?」
「ああ、患者さんのところだよ。今日は、訪問診療の約束があるんだ」
というところで、中編に続く。
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