テレビ先生の隠れ家
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プロフィール
HN:
藍河 縹
性別:
女性
自己紹介:
極北市民病院の院長がとにかく好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
雪国在住。大型犬と炭水化物が好き。
原作・ドラマ問わず、スワンを溺愛。
桜宮サーガは単行本は基本読了済。
連載・短編はかなり怪しい。
眼鏡・白衣・変人は萌えの3種の神器。
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「良いさ。こっちに来なさい、ジュノ」
虐めてしまった分、ゆっくりと慰めてやろうと呼ぶと、世良は困ったように眉を顰めた。
「あ、あの……、実は、夕方からは高階先生の手伝いをするように言われていて……」
「クイーンの?」
自分の声が、明らかに不機嫌になっているのが自覚できた。
上杉会長の手術を控えた今、世良は、スリジエ・ハートセンターにレンタル移籍中という扱いになっているはずだ。
しかし、天城はその不満を飲み込む。
今年度の世良の所属は、東城大学医学部付属病院総合外科学教室の腹部外科グループで、直属の上司は高階講師だ。
そして、世良の気質は、忠実な部下である。
行動の指針を誰かに示されながら、その意志を実行するために動くのが彼の本質なのだ。
だから、それをするなと言われることは、彼にとって酷いストレスになる。
それが分かるから、天城は、世良が高階の指示に従うことに口を挟まない。
だが――
「その手伝いとやらは、どのくらいかかりそうなんだ?」
「はい。残業になるだろうから、食事をご馳走してくれると仰っていました。だから、今日はもう、此処には来られません」
「……」
はきはきと答える世良には、先程の天城のような含みなど微塵もない。
大体、あの、極めて常識的で真面目な高階講師の下心に気をつけろなどと言ったところで、一笑に伏されるのがオチだ。
確かに、尊敬する指導医と、手塩にかけて育てている教え子という関係にある二人を邪推する天城の発想の方に問題があるのかも知れない。
だが、そんな、憧れと尊敬の感情と、それを向ける相手を可愛いと思う健全な気持ちを変えてしまったのは、天城の存在そのものなのだ。
今の天城は、実質上、世良を立場的にも、身体的にも、手中に収めている。
そのことは、必要以上に高階を刺激し、世良に執着させるという結果を生んだ。
世良は天城の唯一の持ち駒でもあるが、天城に対する嫌悪と嫉妬に染まった高階が世良を天城と引き離しておこうとするのは、その執着に端を発していると思っている。
高階の性格からいって、余程のことがなければ一線を越えることはないだろうが、真面目な分、追い詰められたら何をするか分からない側面もある。
世良は世良で、相変わらず、高階には全面的信頼を置いており、出来ることなら、高階の下で真っ当な外科医業務をやりたいと望んでいるのも分かっている。
「ジュノ、遅くなっても良いから、今日は此処に戻ってくるように」
様々な感情を抑え、それだけ言った天城だが、世良は明らかに不満そうな顔になった。また、天城の我が儘が始まったと言わんばかりだ。
「嫌ですよ。何時になると思っているんですか?!」
――何時になるんだ?!
むしろ、こちらが聞きたいくらいだ。苛立った天城は無言で実力行使に出た。
世良をソファに押さえつけ、その唇を乱暴に塞ぐ。
「……んっ……、う……。ちょっ……」
そのまま激しく口内を蹂躙された世良は、バタバタと抵抗するが、長身の天城に圧し掛かられてしまうと逃げようがない。
巧みに動く舌は、あっさりと世良を追い詰め、酔わせてしまう。
「……もう……、やめ……っ……」
漸く解放されたとき、その目は、既に半ば蕩けていた。天城は、大分大人しくなった世良のシャツのボタンを外してしまう。
「だから、俺、もう行かないと……」
世良の言葉を聞き流し、天城は鎖骨の下に唇を押し当てた。
そのままきつく吸う。
「んっ……。天城、せんっ……」
「早く戻って、この続きをしよう、ジュノ」
「だから、早く帰れないんですって……。ああっ!」
胸元に目を落とした世良が声を上げた。僅かに浮いた天城の身体を押し退ける。
「また、こんなところに痕付けて!ボタン開けとけないじゃないですかー!」
じわじわと暑くなり始めてきた7月。
上まできちんとワイシャツのボタンを閉めておくと、とても暑いと世良は不平を漏らす。
「素面のジュノなら心配ないが、ジュノは酔うと見境がなくなるからな。アルコールは程々にしておくように」
その自分で外したボタンを止めながら、天城は口うるさく注意した。
「何ですか、その言い掛かり」
世良はむっとして言い返す。
「さて、異国の地で、初対面の相手の部屋に上がり込んで、酔って眠ってしまったのは、誰だったかな……」
いきなり出された切り札に、世良は真っ赤になった。
「あっ、あれは……!」
「私が紳士で良かったな、ジュノ」
「……紳士がこういうことしますか……」
世良の恨めしそうな視線を受けた天城は澄まして言う。
「鈍感な恋人に対するささやかな主張だ。不満なら、堂々と見せて回れば良い。ジュノは既に私のものだと分からせてやったって別に構わないさ」
何時になく絡むような言い方の天城に、世良は困ったように眉を顰めた。
「そんなこと、出来る訳ないでしょう!」
思わず怒ると、今度は笑みを浮かべてみせる。
「確かに、その方が賢明かもな。それを見たクイーンが、動揺して、とんでもない行為に出ないとも限らない」
最早、支離滅裂だ。
「高階先生と天城先生を一緒にしないで下さい!」
良く考えると、酷い言い草だった。
「それはどうかな?」
しかし、天城は不平を述べるでもなく、含み笑いを漏らすだけだ。
世良は、手に負えないとでも言うように、大きく溜め息を吐く。
「だから、早く帰ってくれば良いんだ」
天城がぽつりと本音を漏らす。
行くな、とは言えない、けれど――
「別に、俺が戻りたくない訳じゃなくて……」
言いかけた世良の言葉が止まる。その視線が、胸元の所有印の位置、自分がこれから出て行くドア、そして、天城の顔、と順番に移動する。
「ええと……」
「とにかく、今日は戻ってくる――それで決まりだ」
天城が再び、自分のソファに腰を落ち着ける様をまじまじと見ていた世良がぽつりと呟いた。
「あの、天城先生……」
「何だ?もう、決定は覆らないぞ」
「俺の居場所は此処で、それは、誰にも代わることは出来ない」
先程の自分の言葉の反復。
あのときは、世良の反応が可愛くて仕方なかったが、今や、立場逆転だ、と天城は皮肉な思いで、元凶を見る。
「少なくとも、俺は、場所を変えるつもりも、誰かに代えさせるつもりもありませんから」
立ち上がり、ぽつりと言った世良は、そのまま足早に部屋を出て行く。
「……」
天城は茫然とその閉まるドアを見ていた。やがて、浸透してきたその言葉に、小さな笑い声を漏らす。
「ジュノも言うようになったな……」
絶対に高階を裏切れないのは面白くないが、嬉しい言葉を貰ったから、まあ、許そう。
「そこまで言ったからには、今夜は戻ってくるのだろう」
随分と遅くなりそうな言い方だったが――
まあ、たまには、可愛い忠犬と旧教授室で夜更かしをするのも良いかも知れない。
個人的に、天城先生が、世良ちゃんが高階さんを裏切れないことを分かってて、「二股忠犬」なんて言いながらも、自分側に付くよう強制していなかったのが吃驚でした。きっと、それやったら、世良ちゃんが今以上に辛くなるって分かってたんだろうなぁ、と思うと、あの暴君が…、とほろりとします。
逆に、スリジエで、天城先生に対抗する高階さんは、物凄く世良ちゃんを意識してて、どうしても高世良を考えずにはいられない。真面目そうな人だから、そうそうないんだろうけど、何かの拍子に糸が切れたみたいに世良ちゃん押し倒したりしそうなイメージ。でも、世良ちゃんに対する好意(師弟愛は勿論あるけど)より、天城先生に対する何か、って気がするんだよなぁ。凄く萌える。単独でも書きたい高世良v
ラスト、世良ちゃんをデレさせ過ぎたかな、とも思うけど、まあ、上杉会長手術前だから、このくらいでも良いのかな、なんて。
虐めてしまった分、ゆっくりと慰めてやろうと呼ぶと、世良は困ったように眉を顰めた。
「あ、あの……、実は、夕方からは高階先生の手伝いをするように言われていて……」
「クイーンの?」
自分の声が、明らかに不機嫌になっているのが自覚できた。
上杉会長の手術を控えた今、世良は、スリジエ・ハートセンターにレンタル移籍中という扱いになっているはずだ。
しかし、天城はその不満を飲み込む。
今年度の世良の所属は、東城大学医学部付属病院総合外科学教室の腹部外科グループで、直属の上司は高階講師だ。
そして、世良の気質は、忠実な部下である。
行動の指針を誰かに示されながら、その意志を実行するために動くのが彼の本質なのだ。
だから、それをするなと言われることは、彼にとって酷いストレスになる。
それが分かるから、天城は、世良が高階の指示に従うことに口を挟まない。
だが――
「その手伝いとやらは、どのくらいかかりそうなんだ?」
「はい。残業になるだろうから、食事をご馳走してくれると仰っていました。だから、今日はもう、此処には来られません」
「……」
はきはきと答える世良には、先程の天城のような含みなど微塵もない。
大体、あの、極めて常識的で真面目な高階講師の下心に気をつけろなどと言ったところで、一笑に伏されるのがオチだ。
確かに、尊敬する指導医と、手塩にかけて育てている教え子という関係にある二人を邪推する天城の発想の方に問題があるのかも知れない。
だが、そんな、憧れと尊敬の感情と、それを向ける相手を可愛いと思う健全な気持ちを変えてしまったのは、天城の存在そのものなのだ。
今の天城は、実質上、世良を立場的にも、身体的にも、手中に収めている。
そのことは、必要以上に高階を刺激し、世良に執着させるという結果を生んだ。
世良は天城の唯一の持ち駒でもあるが、天城に対する嫌悪と嫉妬に染まった高階が世良を天城と引き離しておこうとするのは、その執着に端を発していると思っている。
高階の性格からいって、余程のことがなければ一線を越えることはないだろうが、真面目な分、追い詰められたら何をするか分からない側面もある。
世良は世良で、相変わらず、高階には全面的信頼を置いており、出来ることなら、高階の下で真っ当な外科医業務をやりたいと望んでいるのも分かっている。
「ジュノ、遅くなっても良いから、今日は此処に戻ってくるように」
様々な感情を抑え、それだけ言った天城だが、世良は明らかに不満そうな顔になった。また、天城の我が儘が始まったと言わんばかりだ。
「嫌ですよ。何時になると思っているんですか?!」
――何時になるんだ?!
むしろ、こちらが聞きたいくらいだ。苛立った天城は無言で実力行使に出た。
世良をソファに押さえつけ、その唇を乱暴に塞ぐ。
「……んっ……、う……。ちょっ……」
そのまま激しく口内を蹂躙された世良は、バタバタと抵抗するが、長身の天城に圧し掛かられてしまうと逃げようがない。
巧みに動く舌は、あっさりと世良を追い詰め、酔わせてしまう。
「……もう……、やめ……っ……」
漸く解放されたとき、その目は、既に半ば蕩けていた。天城は、大分大人しくなった世良のシャツのボタンを外してしまう。
「だから、俺、もう行かないと……」
世良の言葉を聞き流し、天城は鎖骨の下に唇を押し当てた。
そのままきつく吸う。
「んっ……。天城、せんっ……」
「早く戻って、この続きをしよう、ジュノ」
「だから、早く帰れないんですって……。ああっ!」
胸元に目を落とした世良が声を上げた。僅かに浮いた天城の身体を押し退ける。
「また、こんなところに痕付けて!ボタン開けとけないじゃないですかー!」
じわじわと暑くなり始めてきた7月。
上まできちんとワイシャツのボタンを閉めておくと、とても暑いと世良は不平を漏らす。
「素面のジュノなら心配ないが、ジュノは酔うと見境がなくなるからな。アルコールは程々にしておくように」
その自分で外したボタンを止めながら、天城は口うるさく注意した。
「何ですか、その言い掛かり」
世良はむっとして言い返す。
「さて、異国の地で、初対面の相手の部屋に上がり込んで、酔って眠ってしまったのは、誰だったかな……」
いきなり出された切り札に、世良は真っ赤になった。
「あっ、あれは……!」
「私が紳士で良かったな、ジュノ」
「……紳士がこういうことしますか……」
世良の恨めしそうな視線を受けた天城は澄まして言う。
「鈍感な恋人に対するささやかな主張だ。不満なら、堂々と見せて回れば良い。ジュノは既に私のものだと分からせてやったって別に構わないさ」
何時になく絡むような言い方の天城に、世良は困ったように眉を顰めた。
「そんなこと、出来る訳ないでしょう!」
思わず怒ると、今度は笑みを浮かべてみせる。
「確かに、その方が賢明かもな。それを見たクイーンが、動揺して、とんでもない行為に出ないとも限らない」
最早、支離滅裂だ。
「高階先生と天城先生を一緒にしないで下さい!」
良く考えると、酷い言い草だった。
「それはどうかな?」
しかし、天城は不平を述べるでもなく、含み笑いを漏らすだけだ。
世良は、手に負えないとでも言うように、大きく溜め息を吐く。
「だから、早く帰ってくれば良いんだ」
天城がぽつりと本音を漏らす。
行くな、とは言えない、けれど――
「別に、俺が戻りたくない訳じゃなくて……」
言いかけた世良の言葉が止まる。その視線が、胸元の所有印の位置、自分がこれから出て行くドア、そして、天城の顔、と順番に移動する。
「ええと……」
「とにかく、今日は戻ってくる――それで決まりだ」
天城が再び、自分のソファに腰を落ち着ける様をまじまじと見ていた世良がぽつりと呟いた。
「あの、天城先生……」
「何だ?もう、決定は覆らないぞ」
「俺の居場所は此処で、それは、誰にも代わることは出来ない」
先程の自分の言葉の反復。
あのときは、世良の反応が可愛くて仕方なかったが、今や、立場逆転だ、と天城は皮肉な思いで、元凶を見る。
「少なくとも、俺は、場所を変えるつもりも、誰かに代えさせるつもりもありませんから」
立ち上がり、ぽつりと言った世良は、そのまま足早に部屋を出て行く。
「……」
天城は茫然とその閉まるドアを見ていた。やがて、浸透してきたその言葉に、小さな笑い声を漏らす。
「ジュノも言うようになったな……」
絶対に高階を裏切れないのは面白くないが、嬉しい言葉を貰ったから、まあ、許そう。
「そこまで言ったからには、今夜は戻ってくるのだろう」
随分と遅くなりそうな言い方だったが――
まあ、たまには、可愛い忠犬と旧教授室で夜更かしをするのも良いかも知れない。
個人的に、天城先生が、世良ちゃんが高階さんを裏切れないことを分かってて、「二股忠犬」なんて言いながらも、自分側に付くよう強制していなかったのが吃驚でした。きっと、それやったら、世良ちゃんが今以上に辛くなるって分かってたんだろうなぁ、と思うと、あの暴君が…、とほろりとします。
逆に、スリジエで、天城先生に対抗する高階さんは、物凄く世良ちゃんを意識してて、どうしても高世良を考えずにはいられない。真面目そうな人だから、そうそうないんだろうけど、何かの拍子に糸が切れたみたいに世良ちゃん押し倒したりしそうなイメージ。でも、世良ちゃんに対する好意(師弟愛は勿論あるけど)より、天城先生に対する何か、って気がするんだよなぁ。凄く萌える。単独でも書きたい高世良v
ラスト、世良ちゃんをデレさせ過ぎたかな、とも思うけど、まあ、上杉会長手術前だから、このくらいでも良いのかな、なんて。
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